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森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 中国バブル崩壊の意味
http://wjn.jp/article/detail/7291839/
週刊実話 2015年8月6日 特大号
中国株のバブル崩壊が、アベノミクスを壊滅させる。そんな恐怖を一部のメディアが煽り立てた。私はそんなことはないと考えている。そこで、まず何が起きたのかを整理しておこう。
中国の代表的な株価指数である上海総合は、6月12日に5166をつけていた。それが急速に下落して、7月8日に3507になった。1カ月足らずで32%もの下落だ。証券会社の前で、「財産をすべて失った」と叫ぶ中国人の映像が世界に配信され、中国バブルの崩壊を印象づけたのだ。
しかし、冷静に振り返ってみよう。上海総合指数は、1年前まで2000前後だった。これは、実はかなり割安な水準だった。例えば昨年は、優良株でも株価収益率が10倍にも届いておらず、配当利回りも5%程度という高い水準にあったのだ。国際的に見て明らかな割安となっている中国の株価を引き上げにかかったのは、中国当局だった。金融緩和を進め、そして御用メディアを使い株式投資を煽ったのだ。
ところが投資家の反応は、当局の予想をはるかに超えるものだった。何しろ1年で株価が2.5倍に上昇したのだ。明らかにバブルだった。このままでは危ないと、中国当局はバブル封じに乗り出した。
最初は、株式の信用取引規制の強化だった。中国の一部の投資家は、信用取引を使って自分の資金以上の株式を買っていた。これはあくまでも単純化したイメージだが、中国では、個人が借金をすることで、自己資金の3倍までの株を買うことができた。ところが、政府はバブル封じのために信用取引の枠を自己資金の2倍に制限した。そうなると、投資家は規制の枠を超えた株式を売らないといけない。売りが殺到すれば、当然株価は下がる。これが暴落のきっかけとなった。
信用取引で3倍の株式を運用すれば、利益は3倍になるが、株価が下がった時の損失も3倍になる。32%株価が下がると、自己資金の3倍の株式を買っていた人は、ほぼ全損になる。これが破産者の正体だ。ところが、自分の資金だけで株式投資をしていた人は、大した被害を受けていない。1年前の株価と比べたら、現在でも2倍近い株価がついているからだ。
しかも、中国は日本のバブル崩壊を10年以上前から徹底研究していた。株価がつるべ落としに下がるのを防ぐために、露骨な株価維持対策を連発したのだ。
信用取引の規制緩和、証券取引所の手数料引き下げといったルール変更にとどまらず、政府系ファンドや年金基金による株購入、証券当局が証券21社に1200億元で投信買い入れを要請するなどの対策に出たのだ。さらに中国政府は、上場企業の経営陣や大株主による6カ月間の株式売却を禁じ、国有企業に自社株買いを要請した。
こうした暴力的とも言える株価維持策が採れるのは、中国が共産党一党支配の社会主義国家だからだ。もちろん、今回の中国当局の慌てぶりは、株式市場を完全にコントロールできないほど市場経済化が進んできたことの表れとも言える。
だが、少なくとも現時点では、当局が株価を操作する力を残しており、中国は、まともな金融市場にはなっていないことが証明された。中国株に投資する人は、そのことを十分に踏まえて行動すべきだろう。
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