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銀行員に会ってはいけない!お金を増やすために必要な「たった5つのルール」を教えよう
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/44436
2015年07月30日(木) 山崎 元「ニュースの深層」 現代ビジネス
■これだけでいい。他は要らない
手前味噌で恐縮だが、『お金に強くなる!』(ディスカバー・トゥエンティワン)というタイトルの本を出す。コンビニのセブン・イレブンと書店との両方で売る予定で、見開き2ページ単位の図解本なので、今回は最大限に分かりやすく易しく書いたつもりだ。
家は買うか借りるか(→投資として考えよ)、生命保険に入るべきか否か(→できるだけ入るべきでない)、安定した収入を得られる人材価値をどう作るか(→28歳と35歳を意識せよ)といった、運用以外の話題にも触れたのだが、お金の運用がメインテーマだ。
近年、NISA(少額投資非課税制度)や確定拠出年金が拡がっていることもあり、様々な「投資教育」が行われているが、残念なことにその多くの内容が不適切だ。
なぜなら、投資教育の作り手あるいはスポンサーが金融機関であるために、彼らの顧客を作るための「カモの養殖」のようなものが少なくないし、運用商品の手数料の重要性のような金融機関にとって不都合な内容をスルーしたものが多い。
そこで、今回は、拙著『お金に強くなる!』の中で取り上げたテーマの中でも特に読者に伝えたかった、お金の運用のコツをお伝えする。
拙著は、見開き2ページで48テーマを扱い、1テーマ2分として96分で一生困らないくらいお金に強くなる、というのが売り口上なのだが、特別に重要なポイントを選んで5つご紹介する。はっきり言って、以下のポイントを完全に理解すれば、お金の運用に関しては必要十分だ。
ポイントは以下の5つだ。
(1) 銀行員と顔を合わすな
(2) リスクと老後を「360」で考える
(3) 手数料をはじめに考える
(4) 年金・NISAと上手く付き合う
(5) 運用商品は3つだけ覚えておく
それぞれについて説明しよう。
■(1) 銀行員と顔を合わすな
銀行、証券、保険を問わず、商品を購入する可能性のある金融マンとは、お金の話をしてはならない、というのが重要な原則だ。先方は手数料を稼ぎたいのであって、あなたにとってベストのアドバイスをすることが仕事ではない。
特に、運用に使える金額を明かして相談してはいけない。投資のリスクの大きさは、リスクを取る商品にいくら投資するかという金額でコントロールしなければならないが、金融マンに手持ちの金額を明かしてしまうと、全額に食い付かれてしまう。
「無料相談ならいいのではないか」という考えは愚かだ。話を聞いて、相手に時間を使わせているうちに、人間は「何か付き合わないと悪いな」という気分になるものだし、相手の勧める商品に有効な反論を即座に思いつくことは難しいから、購入に追い込まれてしまう。高い給料を貰っているプロが時間を使うのだから、金融マンを甘く見てはいけない。
この点で特に手強いのが、銀行員だ。銀行は、預金口座の残高とお金の流れを通して、顧客(カモ)の生活の様子や投資可能資金の額を知っている手強過ぎるセールスマンだ。加えて、銀行の店頭にある投資信託や生命保険に、運用に適する商品は1つもない(!)と言っていい。
銀行は、ATMの利用とインターネットによる取引(残高照会や送金が自宅でできる)を中心に、銀行員と顔を合わせずに利用しよう。時給の高い銀行員様に時間を使わせてはいけない。銀行の運用サービスで利用していいのは、「1人・1行・1千万円」までの預金保険のカバー範囲での普通預金と、個人向け国債の変動金利10年型の購入だけだ。
中高年のお金の運用で最悪のパターンの1つは、「退職金が振り込まれた銀行で、退職金の運用の相談に乗ってもらう」ことだ。絶対にやってはならない。持ち慣れない大金と、よく分からない老後のあれこれに付け込まれて、手数料の高い投資信託を買わされるのが典型的でよくある失敗だ。
なお、NISA口座も銀行に開いてはいけない。最善のケース(ネット証券にNISA口座を開いてTOPIX連動型のETF=上場型投資信託を買う)と比較して、100万円当たり4万円前後損をすることが多く、銀行のインターネット取引専用の投資信託を選んでも、年間数千円は明白な損をする。
ついでに申し上げておくが、証券マンに対しても銀行員に対するのと同様の警戒心が必要だ。特に、近年拡大を見せている「ラップ口座」(信託銀行でも扱いがある)は、手数料が大きすぎるし、中身が不透明で、圧倒的に不適当な運用サービスだ。絶対に止めておこう。
■(2)リスクと老後を「360」で考える
「自分が取ってもいいリスクを考えましょう」と言われても、具体的にどう考えていいのか分からない人が多いのではないか。こうした人にお勧めしたいのは、「360」という数字を使って、手持ちのお金の増減を老後の生活資金の増減に置き直してみることだ。
「360」は65歳から95歳までの30年間が360ヵ月であることに注目した数字だ。例えば、金融資産が360万円あると、65歳以降、年金等の老後の収入に加えて、毎月1万円取り崩すことができる。3,600万円持っていれば、毎月10万円余計に使える。
仮に、お金の運用で360万円損をしたとしよう。これは、「老後の生活費が月に1万円減ることだ」と思えばいい。「それは大問題だ」という人は、そうなる可能性のあるリスクを取ることができないし、「それくらいなら大丈夫だ」という人はもう少し大きなリスクを取ることができる。
リスクを取った投資の内容が、内外の株式のインデックスファンドの組み合わせであれば、損失許容額の3倍が投資できる金額の上限だ。もちろん、もっと長生きするつもりの人は「360」よりも大きな金額で考えるといいし、もう75歳になったという人なら(95歳まで240ヵ月なので)「240」を単位に考えるといい。
■(3)手数料をはじめに考える
運用商品を選ぶ時に、株価や為替レートの先行きなど、相場の見通しから考える人が多い。そして、相場の変動に比べると手数料は小さいので、手数料の比較を忘れて、相対的に手数料の高い商品を買ってしまう。これが、金融商品をセールスする側の狙っているパターンだ。
お金の運用で大切なことは、「損をできるだけ小さくしながら、適切なリスクを取る」ということに尽きる。「それは、そうだ」と思いつつも、考える順序に違和感を覚えるかも知れないが、この順番で考えることがポイントなのだ。
投資信託のような運用商品で、投資家が手にするリターンは、@株式などの市場平均のリターンに、A運用の巧拙のリターンを足して、B手数料(運用管理手数料など)を差し引いたものだ。
例えば、国内株式で運用する商品の中から投資対象を選ぶ場合、@は共通であり、Aは事前には分からない(プロでも評価できないし、過去の成績も参考にならない)。すると、Bがダメなもの、すなわち相対的な手数料の高いものは、「最初から考慮に値しない」と分かる。
分かりやすく考えるなら、例えば、米ドルの外貨預金をする時に、手数料の高いA行を使う場合と手数料の安いB行に預金する場合の比較を考えよう。大きく円安になる場合に儲かるのはどちらも同じだが、B行で預金する方が儲けは大きい。一方、円高になる時に損をするのも同じだが、損はB行の方が小さい。つまり、「相場の上下に関係なく」手数料の高い商品はダメなのだ。
実は、このように正しく考えると、現在五千本以上存在する公募の投資信託のうち99%は最初から検討に値しないクズであると言い切ることができる。身も蓋もない話だが、金融論的には100%正しい。
■(4)年金・NISAと上手く付き合う
まず、公的年金の将来が心配な方が少なくないのではないか。「公的年金は将来破綻する」と考えている人もおられるようだが、年金は確実に減るが、破綻はしない、というのが正解だ。
厚労省は昨年、複数の前提条件に分けて、年金財政の検証のための試算を行った。この試算を見ると、現役世代の収入に対する年金支給額を所得代替率と呼ぶが、厚生年金に加入している夫婦の例でいうと、これが現在の概ね6割から、物事が順調に推移したケースで5割まで下がる(毎年実質1%程度減ると考えておくといい)。
最も悲観的な前提の試算では、将来積立金が枯渇するケースが含まれている。その場合、現役世代から徴収した保険料が右から左へと年金支給に回されることになるが、この場合の所得代替率が概ね4割なのだ。
つまり、現在の年金受給者の年金の「使いで」の3分の2程度となる、ということだ。例えば、現在の年金受給者が毎月20万円の公的年金を貰えるようなサラリーマン家庭は、将来、13万円程度まで減ることを覚悟しておけばいいということだ。公的年金は、会社の倒産のようにポッキリ折れて消滅するようなことはない。
とはいえ、公的年金が「細る」ことは間違いない。他方で、昨年、NISAが導入され、来年にはジュニアNISAもスタートする予定だ。また、確定拠出年金についても、加入対象者や掛け金の枠を拡大する動きが検討されている。
こうした、節税が可能な資産運用枠の拡大は、「公的年金は細るから、自分で老後に備えておきなさい。そのための制度は用意してあります」という行政からのメッセージだと思えばいい。
確定拠出年金(特に個人型は盲点に入りやすい)とNISAは利用できる最大限まで利用して、運用の効率を上げよう。運用の内容は、それぞれの口座の中だけで考えるのではなく、自分の運用全体の合計を考えて、これが適切になるように組み合わせて、NISAと確定拠出年金での節税運用のメリットを最大化するように資産を割り当てるのが原則だ。
NISAではTOPIX連動型のETFが最適な投資対象になる可能性が大きく、確定拠出年金の運用対象は外国株式のインデックスファンドから考えると正解になる場合が多い。
■(5)運用商品は3つだけ覚えておく
あれがダメ、これがダメ、とばかり言われても楽しくなかろうが、目の前に見せられた余計な運用商品を検討してしまうことが、金融機関にカモられたり、運用を失敗したりする原因だ。
実は、覚えておくべき運用商品は3つしかない。
まず、リスクを取りたくない資金でしばらく動かさないものは「個人向け国債変動金利10年満期型」(通称「変動10年」)にしておこう。この商品は、変動金利なので長期金利が上昇しても元本割れしない。利率も10年国債利回りの66%とまあまあであるから、将来、世間の金利が上昇した場合でも放っておいて構わない。
将来、国債の暴落、すなわち長期金利の上昇が起きた場合、国の財政よりも先に、バランスシートの弱い銀行が破綻する。さすがに、「銀行預金よりも安全です」とまで財務省は宣伝しないが、こちらの方が安全無難だ。
個人向け国債は毎月1度発行され、銀行、証券会社、ゆうちょ銀行で買えるが、個人向け国債は、金融機関がこれを売っても、彼らには国から0.5%分の手数料が入るだけで、しかも、資金は10年間寝る(動かない)可能性が大きい。したがって、購入の際にはもっと手数料が高い別の商品(たとえば毎月分配金がある投資信託)を勧められる場合が多いが、絶対に勧められた商品を買ってはいけない。
リスクを取る商品は、TOPIX連動型のETFと外国株式のインデックスファンドで、それぞれ手数料の安い物を選ぶといい。前者はNISAで、後者は確定拠出年金で投資すると最適になる場合が多いのは前述の通りだが、国内株式と外国株式を概ね半々、あるいは国内株4:外国株6くらいで持っているといい。
この組み合わせの場合、1年間で最大3分の1くらい損をすることがあり得るが、同等の確率で4割くらい儲かることがあり得るし、平均的には5%くらいのリターンになると考えて投資額を決めたらいい。
TOPIX連動型ETFとしては「上場インデックスファンドTOPIX」(コード番号1308)、外国株式のインデックスファンドとしては「ニッセイ外国株式インデックスファンド」をそれぞれ勧めしておく。お勧めの根拠は、十分な運用残高があって、運用管理手数料が安いからだ。
せっかくお金を増やそうとして運用するのだから、騙されて損な商品に投資するのは不愉快だ。余計な運用商品に目を向けず、何よりも、金融機関のセールスに一切耳を傾けず、シンプルでローコストな運用を心掛けて、あとは必要に応じて仕事に励み、人生を大いに楽しむといい。
これが、お金と「爽やかに」付き合う方法だ。
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