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中国の異常な株式市場
ジェットコースターのような乱高下はまだまだ続く
2015.7.30(木) リンダ・ユー
中国株式市場のジェットコースターのような乱高下はまだまだ続きそうだ (c) Can Stock Photo
中国の株式市場が再び急落した。今度は8.5%。この市場での1日の下落率としては過去2番目の大きさで、世界金融危機以降に限れば最大だ。ジェットコースターのような相場は、まだ収束にはほど遠い。
実を言えば、中国の株式市場は遊園地の乗り物よりもカジノに似ている。
ほかの主要な株式市場では、情報を比較的多く持っている機関投資家が最大の投資主体だが、中国の株式市場では売買の85%が個人投資家によるものだからだ。
その結果、意外なことではないが、この市場では株価形成においてうわさや感情が過大な役割を果たしており、値動きが極端に荒い。
カジノのたとえが適切な理由
そしてこの値動きの荒さ、つまりボラティリティー(変動性)の大きさが、カジノというたとえが使われるもう1つの理由になる。中国の株式市場は、景気失速の引き金を引くことなく2ケタの変動を記録し得る市場なのだ――少なくとも今までは。
例えば、2001年から2005年にかけてこの市場の株価が半分になったことがあったが、同時期の中国の国内総生産(GDP)成長率はその影響を受けなかった(実際、10%近い成長を遂げていた)。その後に株価が回復した時もそうだった(ただ、株価は2008年の金融危機以降、再び劇的に下落した)。
それ以降の中国の株式市場は、ほかの市場よりも出遅れていたが、昨年は150%超上昇し、世界で最も高いパフォーマンスを上げた。
このジェットコースターのようなパターンはまだ続いている。市場が再開された27日(月)に8.5%下落する前には、2日間の上昇率が2008年以降で最大になる場面もあった。そしてその前には、6月半ばから7月初めにかけて相場が崩れ、市場の価値が3分の1近く失われていた。
このボラティリティーは、中国の金融自由化が間違いなくスムーズに進むようにすることがいかに難しいかを浮き彫りにしている。政府による大規模な市場介入で一部の株主による株式売却が禁止され、市場の売買の大半が凍結された後、確かに株価は反発した。しかし、介入で急落の再来を防止できる公算は小さい。
なぜか。それは、中国の株式市場が完全に流動的だとは言えず、世界市場に統合されているわけでもないからだ。
また、この市場は中国の貯蓄主体――個人投資家――の資金に支配されている。
実際、中国の株式市場にある株のほとんどが売買可能になったのは2009年になってからにすぎない。2005年に改革が始まるまでは株式の3分の2が国有企業(SOE)や法人(国家に支配されているのが普通だった)で保有されている「非流通株」で、売買できない状態にあった。
中国の上場企業では民間企業はまだ少数派だが、今日では中国市場における非流通株の発行済み株式数に対する割合は30%より小さくなっている。
まだ比較的閉じられている市場
確かに、非流通株の割合が低下したことを受け、中国の株式市場にはこのほんの数年で大量の流動性が流れ込んでいる。だが、中国は証券投資目的の資本流入に対して資本勘定の規制もかけており、株式市場は比較的閉じられている。
上海と香港の市場をリンクする上海・香港相互株式投資制度(ストックコネクト)が先日立ち上げられるまで、外国人投資家は中国本土の取引所でA株を直接購入することができなかった。直接購入は割り当ての対象であり、いわゆる適格外国機関投資家(QFII)の免許を限られた数の投資家に交付するという形で実施されている。
そのうえ、人脈やその他の手段を利用できるかなりの富裕層は別にして、中間層になったばかりの何千万人という中国の普通の個人は世界の市場に容易にアクセスできない。
また、預金のリターンは低く(以前はマイナスだった)、国家が支配する金融システムでは金融商品の多様化も進まない。その結果、普通の個人が利用できる投資対象は住宅と国内株式が主体となる。
しかしその後、住宅市場が失速した。不動産バブルへの恐怖心が政府による融資の取り締まりに拍車をかけ、中間層の個人が蓄えを運用できるところは株式市場だけになってしまった。
その後に訪れた株式ブームは1998年から2001年にかけての、つまり住宅市場が自由化されて株式市場が下落した時のパターンの鏡像なのだ。
そこで大きな問題として浮上するのが、昨今のボラティリティーの高さはほかの資産の市場や実体経済にも影響を及ぼすのかということだ。上海総合指数は6月以降2ケタの下落を記録しているが、経済危機の引き金を引くには至っていない。これは恐らく、株式市場に参加している中国人の世帯数が全世帯の10%にも満たず、家計資産に占める株式の割合も15%に満たないからだろう。
しかし、株式投資で含み損を抱えた中国人の世帯が全体のごく一部であっても、絶対数にすればその数は数千万人に上る。このため政府は懸念を抱き、対策を講じるに至った。具体的には、担保の条件を緩和し、信用取引のマージンコール(追い証)に不動産で応じられるようにした。
中程度の下落が簡単に相場の総崩れに転化
そもそも、市場のメルトダウンの引き金を引いたのは、世界市場の下落を背景とした投資マインドの減退に加え、当局による信用取引の取り締まりだったと考えられている。
これも、小口の参加者が支配する市場の特徴である。そのような市場では、同じ方向に「群れをなして」進む投資家の行動が相場の急騰や急落を招く。個人投資家は、ほかの参加者の方が自分よりも良い情報をつかんでいると思い込んでいるからだ。
その結果、目の前で展開されているように、今日では中程度の下落が簡単に相場の総崩れに転化し得るようになっている。そして、出口をふさぐ政府介入は不適切だ。逆に言えば、中国の株式市場が外に開かれ、その制度的な土台が予測可能になるまでは、ボラティリティーがこの市場の唯一の指針であり続けるだろう。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44418
中国ハイテク株、指数採用で上昇期待
株式市場に一定の安定をもたらすか、それともバブルを煽るだけか
2015.7.30(木) Financial Times
(2015年7月29日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
中国、大株主や企業役員の持ち株売却を6か月禁止
7月初め、中国・浙江省杭州で、株価の電光掲示板を見つめる投資家ら。その後、当局の介入で株価は持ち直したが、なお不安定な動きが続いている〔AFPBB News〕
株価下落を食い止めようとする中国当局の猛烈な努力から2週間以上経った今もなお、中国の株式市場は変動が激しい。
今週月曜日(7月27日)、上海A株指数は8.5%下げて3903となり、政府の決めた下限の3500に一段と迫り、上限と見られている4500から遠のいた。
規制当局と政府の支援がなかった場合に市場が取引される水準を巡る不確実性と6カ月間の新規上場禁止措置は、米国市場に上場している多くの中国企業を非上場化して母国の市場へ連れ戻す計画が保留されたことを意味する。
一方、中国本土のハイテク企業が必要額よりはるかに多くの資本を調達してきた非公開市場には、それほど大きな影響は出ていない――少なくとも、まだ出ていない。投資家はバリュエーション(価値評価)が下がることを期待しているが、今のところ、起業家が公開市場で得ることのできたバリュエーションを上回る水準で推移している。
11月に新規採用される銘柄は?
むしろハイテク企業はこれから、上場しているハイテク企業と非上場の同業者の価値を恐らく高めることになる後押しを得る。MSCIはベンチマークの指数に中国株全般を組み込まないことにしたが、11月に中国指数を再編し、10社以上のハイテク企業を大半は米預託証券(ADR)の形でMSCI新興国指数に追加する計画だ。
中国指数は、かつて経済を支配したが、今では中国の経済生産に占める割合が5割を大きく下回る国有企業に大きな比重が置かれている。特に、銀行、エネルギー、通信の3つのセクターの国有企業の比重が大きかった。
対照的に、オンラインゲーム会社からソーシャルメディアに変貌を遂げ、ウィーチャット(微信)を傘下に抱えるテンセント(騰訊)は、中国指数で唯一のニューエコノミー銘柄だ。
香港の投資家や証券会社に現在出回っている、指数に組み込まれる企業のリストには、アリババやバイドゥ(百度)、JD(京東商城)、ネットイーズ(網易)、シートリップ(携程)、58.com(58同城)、VIPショップ、奇虎360(チフー360)が含まれている。
指数が変更されれば、MSCI新興国指数などのベンチマークに対して運用パフォーマンスが測定される投資家は、これらの株式の保有高を増やすことを余儀なくされる。
また、この変化は、起業家が出資者との交渉で新たな力を持ち、非公開市場が一段とバブルめいていくことを意味する。
ヘッジファンドやベンチャーキャピタリストが出資案件で一段と大きなパイを取ろうと競い合う中、エゴがすでに市場で大きな役割を果たしている。これらの投資家は後に金融の食物連鎖の下の階層へ持ち株を売り、その過程で多額の手数料を稼ごうとしている。
こうした低い階層には、富裕層の資産管理会社やフィデリティのようなミューチュアルファンド(投資信託)会社など、市場へのデビューが何度も延期される企業の新規株式公開(IPO)を待つのにうんざりしている投資家が含まれる。JPモルガンのような銀行は、流れに一枚加わろうと非公開市場業務を拡大している。
ニューエコノミーバブルとの大きな違い
問題は、もちろん、この変化が指数に組み込まれている企業の質を高め、市場の安定性向上に貢献するのか、それとも単にバブルを煽るだけなのか、ということだ。
これらのハイテク企業が生み出すトラフィックの量は目覚ましい。モバイルインターネット世代は、ミレニアム(千年紀)の変わり目のニューエコノミーバブルとは大きく異なる。質の低い中国A株のハイテク企業ではなく、米国に上場している比較的質の高いハイテク企業が編入されることは、改善だ。
だが、これら企業の多くはいっそう多くのトラフィックを生み出そうとして、巨額の現金を使い、消費者を助成している。
タクシー配車アプリ、ウーバーの中国市場参入計画に直面してディディ(??)とクアイディ(快的)が行ったように、潜在的に大きな脅威を妨げるために企業が経営を統合するケースもある。
また別のケースでは、58.comとガンジー(ー集網)のケースのように、投資家が企業に統合を迫ることもあった。
だが、シートリップとチュナール(去?)は2度合併を協議し、結局、合併しないことにした。両社は最近、互いとの競争の原資を賄うために、さらに資本を調達した。
不動産市場と似た力学
バリュエーションが高いほど、リスクも大きい――非公開市場でさえ、その事情は同じだ。力学は不動産市場のそれと似ている。ある入札者が著しく過剰な高値で買うと、その他すべての人がポートフォリオの評価額を引き上げるのだ。
認識に大きな調整が起き、劇的なダウンラウンド――後に行われる資金調達ラウンドが、前のラウンドより割安な水準で行われること――が何度も続けば、バリュエーションは劇的に低下する恐れがある。
対照的に、国有企業は希望の星ではないかもしれないが、概して、少なくとも流れ星でもないのだ。
By By Henny Sender
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44421
中国株急落対応、SDR通貨採用へ影響小さく=IMF専務理事
[ワシントン 29日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は29日、中国株急落に対する同国政府の対応が、人民元のIMFの特別引き出し権(SDR)構成通貨採用の是非をめぐる決定に影響する公算は小さいとの認識を示した。
同専務理事は記者会見で、中国政府による株価買い支え策について「SDR採用の是非に影響を与えるとは思わない」とし、IMFは査定作業を続けるなかで、このところの市場の変動に左右されないとの考えを示した。
中国株急落への政府対応、改革本気度問われる=米財務長官
[ワシントン 29日 ロイター] - ルー米財務長官は、最近の中国株急落への政府の対応は改革への本気度を問われることになるとの考えを示した。
長官は記者団に対し「中国は過度に中央集権的な産業モデルから消費者主導の競争的な市場モデルへと転換する必要がある」と指摘。「これは変化を意味し、こうした変化は一定の混乱を伴う」と述べた。
その上で、改革断行への政府の決意という点において、市場への介入が何を意味するのかが真剣に問われるとした。
中国は経済理論と改革の実行ペースの間で均衡を取る必要があるとし、「中国経済、および世界経済のためにも、中国が改革を続行することを望む」と語った。
http://jp.reuters.com/article/2015/07/29/china-usa-jacklew-idJPKCN0Q31VM20150729
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