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東芝、不正1千億超でも“甘い”処分?ライブドアは“たった”53億粉飾で経営陣逮捕(Business Journal)
http://www.asyura2.com/15/hasan99/msg/288.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 7 月 29 日 07:00:25: igsppGRN/E9PQ
 

               東芝本社ビル(「Wikipedia」より/Lover of Romance~commonswiki)


東芝、不正1千億超でも“甘い”処分?ライブドアは“たった”53億粉飾で経営陣逮捕
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150729-00010002-bjournal-bus_all
Business Journal 7月29日(水)6時1分配信


 東芝の不正会計をめぐる問題が、ライブドア事件と比較されるかたちで話題になっている。東芝が行った利益の過大計上は、現段階で総額1562億円に上り、さらに2000億円近くに達するのではないかといわれている。調査を行った第三者委員会は、歴代の3社長が現場に圧力をかけるなどして、「経営判断として不適切な会計処理が行われた」「経営トップらを含めた組織的な関与があった」などと述べており、その責任が明確に指摘されている。

 一方、ライブドアが粉飾したとされた額は53億円で、今回の東芝とは桁違いに少ない。ライブドア株は上場廃止となり、当時の代表取締役である堀江貴文氏など複数の役員が、証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで逮捕された。しかし、今回利益の水増しを指示したとされる東芝の経営陣だが、田中久雄社長が謝罪会見を開き、歴代の3社長が役職を辞任しただけで、刑事責任が追及される動きは今のところない。

 堀江氏も自身のTwitterで、東芝について「徹底的に不正は追求されないと思いますね。日本を『代表』する企業ですからね笑」と、皮肉めいたコメントをしている。確かに、東芝は家電メーカーの枠にとどまらず、原発や重工業など国の基幹に関わるビジネスを展開する大企業だ。旧経営陣が逮捕されたりすれば、その影響は計り知れない。いちIT企業にすぎなかったライブドアとは異なるがゆえに、東芝の旧経営陣は刑事責任を問われず、特別扱いを受けるのだろうか?

●「大企業だから刑事事件にならない」は間違い?

 これに対し、自身もIT企業の経営に携わり上場を経験した佐藤宏和弁護士は「過去の粉飾決算事例を見ると、大企業だから優遇されるとか、影響が大きいから刑事事件にならないということはないでしょう」と言う。確かに、比較的新しい事例でも、オリンパス、カネボウ、西武鉄道などの大企業に対しても刑事告発が行われ、有罪判決が出されている。

「粉飾決算という言葉に明確な定義はありませんが、一つの基準として、金融商品取引法上の『重要事実の虚偽記載』という概念があります。これに当たる場合には『粉飾決算』と呼んでもいいでしょう。金融商品取引法は投資家保護を目的とする法律ですから、投資家から見て投資判断に影響を与えるような事実の虚偽記載があったといえるかどうかが『重要事実』を判断する決め手になります。さらに、刑事事件として立件するには、そのような『重要事実』の『虚偽記載』について故意、つまり“わざと”やったと証明することが必要です」(同)

 今回の東芝のケースも虚偽記載がなされたことは間違いないが、まず「投資家の判断に影響を与える」といえる規模のものだったかどうかが、粉飾決算と認められる大きなポイントになるようだ。では、東芝のしたことは「重要事実の虚偽記載」に当たるのだろうか?

「東芝のケースでは、『1500億円』という額が大きく報道されています。しかし、第三者委員会の報告書によると、1500億円とは2008年度から14年度第3四半期まで約7年間における利益操作の合計額で、単年度では数十億円から数百億円です。利益操作の額をすべて修正しても、10年度以降では毎年千数百億円の税引前当期利益を計上する中、最も利益操作の額が大きい12年度でも税引前当期利益が約700億円程度に下がるだけで赤字にはならず、投資家の投資判断への影響は限定的ともいえます。一方、09年度では、利益操作額に修正を加えると税引前では赤字転落となりますが、そもそも税引後では初めから約200億円の当期損失で、このことは周知されていました。そうすると、この時も利益操作が投資判断にどの程度影響したかは、微妙なところなのです。また、故意の認定についても、東芝の経営陣が使っていたとされる『チャレンジ』という言葉が、虚偽記載や利益の水増しを促していたかどうかも、やはり微妙といえるでしょう」(同)

●ライブドアの場合とはどこが違う?

 それでは、一方のライブドアは利益の過大計上額が東芝より圧倒的に少ないが、投資家の判断に影響を与えることが明らかだったといえるのだろうか?

「ライブドアは、本来なら経常利益が前年比120%減の完全な赤字決算であったところを、自社株の売買による差益約38億円を売り上げとして計上し、関連会社への架空売り上げ約16億円と合わせ、経常利益50億円で前年比300%増の黒字と記載したとされます。この利益の過大計上によって、『赤字を黒字にした』という点が重要です。赤字転落した会社と、多額の黒字を計上して急成長中の会社では、投資判断が正反対になってもおかしくありません。したがって、これは確実に『重要事実の虚偽記載』に当たります。そして、ライブドアはこの当時、自社株の株式交換による企業買収を繰り返していましたが、自社株の評価額が高ければ買収も有利に進められるため、株価維持や吊り上げに対する強い動機がありました。よって、故意を認定するのは比較的容易だったと思われます」(同)

 単純に利益の過大計上額を比較すると、東芝はライブドアよりはるかに悪質に思える。しかし、会社の規模や経営環境によって、投資家の判断に影響を与える数字としての意味は、大きく変わってくるということも事実だ。東芝とライブドアは、そもそも企業としての規模があまりに違いすぎるため、単純に不正会計の額を比較しただけでは、「刑事責任を問うべきか」を正確に判断することは難しい。

 金融商品取引法上の「重要事実の虚偽記載」に対しては、刑事罰までいかなかった場合でも、行政上の課徴金制度が存在する。連結経常利益が数百億円規模だったオリンパスは、約900億円の含み損を計上しなかったことで刑事罰を受けた。一方、連結経常利益が約590億円のところを約780億円と記載した日興コーディアルグループは課徴金処分にとどまっている。

 証券取引等監視委員会は、すでに金融庁に対して東芝に課徴金処分を課す勧告をすることを検討しているから、これがなされる可能性は高い。東芝のケースがライブドアと同じく刑事罰まで行き着くかどうかは、重要性の観点から他の事例と比較して最終的に決まることになるだろう。

【取材協力】
弁護士 佐藤宏和
事業再生、M&A分野に強いセンチュリー法律事務所の所属弁護士。弁護士登録以前に、ソフトバンク、SBIホールディングス等で子会社の上場や、代表者として子会社を経営した経験を持つ。ソフトバンク在籍中に米国公認会計士試験に合格するなど、会計実務にも通じる。

関田真也/フリーライター・エディター


 

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