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50歳からのお金と暮らし2015 (週刊朝日ムック)
50歳で手を打たないと下流老人に! 専門家、老後の赤字ケースを試算〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150728-00000003-sasahi-life
週刊朝日 2015年7月31日号より抜粋
50歳、会社員。「定年までまだ10年ある」と、老後のプランを先送りにしている人もいることだろう。しかし、その10年が勝負なのだ。夫は会社員、妻は専業主婦の50歳家族をもとに、今後40年間の家計や資産のゆくえをシミュレーションしてわかったのは、いま家計を立て直さないとその先に待っているのは“下流老人”という現実だ。
「会社員家庭では、50代前半に金融資産残高がマイナスになる『破産の危機』が訪れる可能性があります。収入がほぼ頭打ちになる中、子どもの大学進学や住宅ローンの返済などで支出が膨れ上がり、家計を圧迫するためです」
こう話すのは、ファイナンシャルプランナーの藤川太さんだ。金利の高い時代に組んだ住宅ローンや年齢とともに上がる生命保険料、私立大学に通う子どもの教育費など、思い当たる人も多いことだろう。
しかし、藤川さんはこうも言う。
「50代は人生最後の『貯(た)め時』でもあります。ここで意識を切り替えて、『お金が貯まる家計』への体質転換ができるかどうかが、老後の運命の分かれ道です」
お金が出ていくまま無策の50代を過ごしてしまった夫婦2人、子ども2人の「転落家族」の家計を、49歳から40年間にわたってシミュレーションした。
私大に通う2人の子どもの教育費がかさみ、400万円あった預貯金も50代前半で底をついて家計は赤字に転落。退職金でいったん残高は1千万円を超えるが、すぐに食いつぶしてしまい、年金生活に入る前から残高は再びマイナスに。以降は雪だるま式に負債が増えていき、89歳で2400万円超の大赤字を抱えてしまった。50代のうちに手を打っておかないと、こんな悲惨な老後が待っているのだ。
いったい、何がいけなかったのか。住宅ローンや生命保険料など、月々決まって出ていく固定費を削れば、その節約効果はずっと続く。このシンプルな原則に気づかなかったのが、「転落家族」の最初の失敗だった。
支出がかさむ子育て期こそ家計改善に取り組むべきだったのに、「子どもが独立すれば楽になる」「退職金が入れば大丈夫」と安易に考え、出費を放置した。夫の収入は限られているため、妻が働くのも一つの方法だが、妻が専業主婦を貫き、収入を増やして貯蓄に回すこともしなかったのが第二の失敗だ。
大型出費への備えもなく、500万円かけて自宅をリフォームした66歳の時点で、預貯金残高はマイナス1千万円を突破。年金生活も月々5万円の赤字で、毎年60万円ずつ負債が増えていく計算になる。
転落家族の基本生活費は、年金暮らしでも現役時代と変わらないままだ。蓄えがないうえに、収入に見合わない暮らしを続けていては、家計が破綻するのも当然だろう。
こうした「転落家族」にならないようにするためには、どうしたらいいのだろうか。
「老後破産を回避するには、年代ごとの家計のリスクを克服することが重要です。50歳からの意識の持ち方や各年代にふさわしい家計管理をおこなうことで、老後も安心の『安泰家計』への道が開けてきます」(藤川さん)
冒頭で藤川さんが言ったように、人生にはお金の「使い時」と「貯め時」がある。
住宅ローンや教育費などの支払いがかさむ50代前半は、人生で最も出費が多い「使い時」だ。こんな時こそ住宅ローンの借り換えや生命保険の見直しなどで固定費を削減し、家計のリストラに着手しよう。50代前半に家計をスリム化しておくと、リタイア後の収入の急減にも無理なく適応できる。
(週刊朝日ムック「50歳からのお金と暮らし」より構成)
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