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人事評価から社員を解放する常識の一撃
年次評価をやめるアクセンチュア、朗報だが何かおかしくないか?
2015.7.28(火) Financial Times
(2015年7月27日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
人事評価から解放されたら大喜びする社員は多いはず・・・ (c) Can Stock Photo
筆者は先週、本当に久しぶりに、とても励みになる出来事を体験した。素晴らしいシンガーで過食症を患っていたエイミー・ワインハウスがアルコールの過剰摂取で亡くなったことを取り上げたドキュメンタリー番組を最後まで見て心を痛め、何か自分を慰めてくれるものはないかと探していたのだが、アクセンチュアの最高経営責任者(CEO)が最新の経営計画について語ったビデオクリップでこれほどの慰めが得られるとは、まさか思ってもみなかった。
わずか1分間の動画の中で、同社のピエール・ナンテルムCEOは素晴らしいことを語っていた。全従業員33万人を毎年の人事評価の茶番から解放する、と述べたのだ。
「成績管理にあれだけの時間を費やすことがそれだけの大きな成果を生んできたかどうか、我々にはよく分からない」。ナンテルム氏は米ワシントン・ポスト紙にこう語った。
「個々の社員についてどう思っているかを、年に1度当人と話す。そんなのはおかしい。社員はみな・・・自分が今ちゃんとできているかどうかを知りたがっている。そういうフィードバックを1年間待とうという社員はいない」
オフィスワーカーと管理職が20年前から知っていたこと
この常識的な考え方の吐露において最も特筆すべきは、この発言がパラダイムを破壊する世界クラスのナンセンスをいくつか世に送り出してきたアクセンチュアから出てきたことだ。あの恥ずかしい「〜より大なり」という不等号を企業ロゴに使ったのは同社だった。
中身のない話をするのはこの会社だけでなく、同社の幹部たちも同様だ。
「High performance. Delivered(ハイパフォーマンス。実現)」というスローガンを編み出したのも同社だ。これはたわ言の度が過ぎていて、文法があまりにもひどい。
西側世界ではもう20年も前からすべてのオフィスワーカーと管理職には明らかだったことにこの会社が今気づいたという事実は、とても喜ばしいことだと筆者は思っている。また、非常にエキサイティングなことでもある。成績評価というものがほどなく、すべての人にとって終わりを迎えるのだから。
年間200万時間かけて評価する意味
この決断を下したのはアクセンチュアが最初ではない。今年の初めにはデロイトが恐ろしく扱いにくい評価制度の廃止に乗り出した。6万5000人の従業員を1度評価するのに年200万時間を要する制度だ。
もしこの機会費用に思いを馳せ、同社で最もランクの低い社員が時給100ポンドでクライアントのために働いていると仮定すれば、報酬を与えるべきでない社員に報酬を与えたり、ほぼすべての社員のやる気を削いだり、倦怠感や冷笑主義を組織中に蔓延させたりしているこの制度に同社は少なくとも年2億ポンドを投じていることになる。
さて、変だと思わないだろうか。そう、この2社はともに「人的資本ソリューション」なるものを売り物にする大規模なコンサルティング部門を擁している。もう数十年前からこの2社は、まさに自分たちが使っているようなとんでもない評価システムを顧客に詰め込んで高額な料金を取り立ててきたのだ。
ハイパフォーマンス。実現、とアクセンチュアは言う。しかし、同社がそのハイパフォーマンスを全く実現してこなかったとしたら、一体どうなるのだろう。思慮分別のある社員を仲間と距離を置く皮肉屋に変えてしまうダサい成績管理「ソリューション」を販売してきたとしたら、一体どうなるのだろうか。
デロイトとアクセンチュアの現経営陣は、過去に処方した役に立たない年次評価システムについておわびを申し上げます、などと言って頭を下げるべきなのだろうか。あるいは、そこからさらに踏み込んで返金に応じたり、損害を賠償したりするべきなのだろうか。
そうなったらいいと思うが、そのような展開にはならないだろう。実は2社とも、自分たちの内部システムはがらくた同然だったと認めるやり方が実に巧みなのだ。
アクセンチュアとデロイトの巧みな釈明
この2社は、人間であるとはどういうことかについての基本を誤解しており、それに基づくシステムだということがそもそもおかしかったとは言っていない。今評価してほしいという新しい時代になったからこれまでのシステムはもう現状に適さない、と主張しているのだ。アクセンチュアのCEOは「これは即時成績管理だ」と言った。
彼らは二重の意味で巧みだ。このやり方なら謝罪は求められないことになるうえ、古いシステムを新しくて速いシステムに取り換える顧客に助言をするという新たな収益源も生まれるからだ。
新しい評価システムがどのように機能するかは、まだ明らかにされていない。ただ筆者は、大量のデータが関わってくるのではないかと危惧している。アクセンチュアは、将来の人事評価は「完全に当人自身についてのもの」になるだろうと述べている。先行きが明るいような感じはするが、筆者は期待していない。
デロイトは自社の管理職がチームのメンバー全員について四半期ごとに聞かれる4つの問いを用意した。
質問(言い換えによって筆者がだいぶ改善したもの)は以下の通りだ。この人はもっとたくさんお金を得るに値するか。自分のチームにいてほしいか。ひどい大失敗をする可能性が高いと思うか。今日、彼らを昇進させるか――。
こうした質問の美点は、シンプルであり、1億ポンドの費用がかからないことだ。さらに良いことに、デロイトは管理職全員に、週に1度は部下と話すことを要求する。これはあまりに合理的なため、彼らがなぜ今になってやっと思いついたのか不思議に思える。
評価制度などなくていい
筆者の提案はもっとシンプルだ。年次評価をやめて、代わりに一切何もしない、というものだ。
管理能力があり、週に1度ではなく常日頃、仕事ぶりがどうかを人に伝えるのが得意な管理職だけを採用すればいい。これができないのであれば、管理職にすべきではない。できるのであれば、支えとしての評価制度など必要ない。そんなものはない方がうまくやっていけるはずだ。
By Lucy Kellaway
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44399
英エコノミスト、利益と名声のプレミアム
ピアソンが50%の持ち株売却へ、評価額は約4億ポンドか
2015.7.28(火) Financial Times
(2015年7月27日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
JBpressの翻訳でもおなじみの英エコノミスト誌
世界で最も影響力のある雑誌の1つを出版している英エコノミストグループほど特異な構造のメディア企業はほとんどない。1928年にロスチャイルド家、キャドバリー家、シュローダー家、そして当時のファイナンシャル・ニューズの出版社の連合によって財政難から救済されて以来、その構造は一握りのメディア企業しか匹敵できない財務と編集の独立性を同社に与えてきた。
エコノミストはこれから、過去80年以上なかった大規模な所有権の変更に直面する。
ファナンシャル・ニューズの後継企業であるフィナンシャル・タイムズ(FT)を1957年に買収したピアソンがエコノミストの50%の持ち株の売却交渉を進めているからだ。
株式の買い手にはロスチャイルド家が含まれると見られているが、イタリアのアニェリ家も含まれる見込みだ。アニェリ家は自動車大手フィアット・クライスラーの支配株主で、それ以外の点では非常に英国的なエコノミストの所有の伝統への新規参入者だ。
株式売却交渉は、ピアソンがFTグループを8億4400万ポンドで日本経済新聞社に売却することに同意した件に続く動きだ。だが、このプロセスがどんな結果になったとしても、どこか1社の投資家がエコノミストグループの支配権を獲得することはほぼあり得ないだろう。
1社の支配を許さない構造、恩恵は高まる名声と配当金
3人の消息筋によると、ピアソン自体が過去15年間でエコノミストの完全な支配権を得ようとしたという。もし成功していたら、エコノミストとFTを一緒にすることができ、両社合計で230万人を超える有料購読者が、より強力なグローバルメディア企業を築いていただろう。
しかし、ピアソンの試みは拒否された。FTSE100の構成銘柄であるピアソンに近いある人物によると、その結果、ピアソンはエコノミストの持ち株でほとんど何もすることができなかったという。
株式所有の恩恵は、戦略ではなく、高まる名声と配当金という形で入ってきた。エコノミストがオンライン上で掲載している社史は、ピアソンに触れることさえしていない。
ピアソンはグループの支配権を得ようとしたかどうかについてコメントをすることを拒み、エコノミストグループの「同僚と仲間の取締役たちとは強固な仕事上の関係を享受してきた」と述べた。
エコノミストグループの議決権株式の売却はすべて、エコノミスト誌の編集の独立性を守る責任を負う4人の信託管理人の承認を得なければならない。
グループの会長とエコノミスト誌編集長の任命も承認する信託管理人は、どこか1社が支配権を握るのを許すことを嫌がる。
そのような規則を変更するためには株主の75%の支持が必要になるが、ロスチャイルド家、キャドバリー家、シュローダー家がエコノミスト誌へのコミットメントを失っていないため、まとまった株式が売りに出されることはなかった。
この構造はエコノミストグループの経営陣に「ものすごい量の自由と独立性」を与えたと、エコノミスト元編集長のビル・エモット氏は言う。
年次総会を除けば、外部の株主はめったに姿を見せない。それでも、ピアソンが持ち株を売却する可能性は「永遠に警戒し続ける」ことを意味したとエモット氏は付け加える。
エコノミストグループの取締役会でレディー・リン・フォレスター・ド・ロスチャイルドが代表しているロスチャイルド家は近年、若干持ち株を増やして21%前後としている。
存在感高めるイタリアのアニェリ家
アニェリ家は、一族の投資会社エクソールの最高経営責任者(CEO)、ジョン・エルカン氏が2009年にエコノミストグループの取締役に任命されて以来、4.7%の株式を取得した。次第に高まるアニェリ家の存在感は、エコノミストが次第にグローバル化し、最大の読者層が米国になっている状況を反映している。
エルカン氏はまた、別の名門出版社に対するアニェリ家の間接的な持ち分も増やしている。イタリアのコリエーレ・デラ・セラを所有しているRCSメディアグループだ。エコノミストグループと同様、RCSの株式保有構造も細分化されている。
長い年月の間には、エコノミストグループはいくつかの戦略、編集上の問題にぶつかった。1つの失敗は、海運専門誌ジャーナル・オブ・コマースを1995年に買収した件で、6年後に売却している。
だが、エコノミスト誌自体は商業的に概ね繁栄してきた。1928年に所有者が変わる前から、編集長が解任されたことはない。
営業利益は過去10年間で2倍以上に増えて6000万ポンドに達した。エコノミストが米国市場に攻め込んだことと、デジタル購読の販売に比較的成功したことを反映した成果だ。
営業利益の倍数で見るとFTより「安い」理由
アーンスト・アンド・ヤングの会計士たちは毎年、従業員による株式購入や株主間の交換を容易にするために、エコノミストグループの株式を評価している。同社の計算は、グループの株式の価値が2003年以降3倍に膨らみ、7億3000万ポンドに達したことを示している。
株式売却交渉に通じた人々によると、ピアソンの50%の持ち株は約4億ポンドと評価される可能性が高いという。これほど大規模な株式売却の希少性を反映したプレミアムだ。
それでも、営業利益の倍数としては、このエコノミストの持ち株の価値は日経がFT買収に払ったもののざっと半分にとどまる。経営の支配権がないためだ。
By Henry Mance, Media Correspondent
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44401
中国人に「もう来るな」の国と「ようこそ」の日本
市民生活を脅かす中国人観光客にシンガポール、香港で高まる不満
2015.7.28(火) 姫田 小夏
香港、中国本土からの入境者を制限へ
香港のビクトリア・ハーバーを訪れた中国本土からの観光客。日用品の購入などを目的に中国本土から香港を訪れる人たちと香港住民間の軋轢が問題になっている。(2012年6月19日撮影、資料写真)。(c)AFP/Philippe Lopez〔AFPBB News〕
観光立国として進化を続けるシンガポール。ここ10年を見ても、チャンギ空港第3ターミナルの完成、地下鉄の路線拡大、総合リゾート施設としてのカジノ開設と、絶え間なくグレードアップを重ねている。
ここには世界からの旅行者を惹きつけてやまない数々の魅力がある。シンガポールへの渡航者は2004年は830万人だったが、2014年には1500万人を突破した。10年で2倍近くにまで渡航者が増えた背景には、もちろん中国人観光客の存在がある。
マリーナ地区の有名なマーライオン像の周りにはわんさと中国人観光客が訪れ、撮影スポットを奪い合っている。空港に近いホテルのロビーに所狭しと並べられているのは、中国からの団体観光客のスーツケースだ。夜のエレベーター、朝のダイニングルームはざっと8割が中国人である。朝食のバイキングは、ドッと繰り出す中国人によって一瞬にして食べ尽くされてしまう。
どこに行っても出くわす中国人観光客に、日本から来た老婦人は「まるで中国にいるみたいだ」とつぶやく。
中国政府による旅行業界の規制強化、2014年のマレーシア航空機の失踪事故などによって、中国からの観光客は減少傾向にあるという。だが、依然としてシンガポールを訪れる外国人観光客の中で中国人が最多であることに変わりはない。一時期より減ったとはいえ、やはりどこでもその姿を目撃するのである。
市況を狂わせた中国人の不動産投機
だが中国からの観光客に対する地元市民の印象は、決して良好なものとは言えない。
シンガポールの不動産価格が高騰している(筆者撮影、以下同)
「中国人観光客がシンガポールをすっかり変えてしまった」と語るのは、中国系シンガポール人のローさんだ。先祖は広東省の出身だというローさんは「不動産が値上がりしたのも、物価が上昇したのも、すべて中国人のせいだ」と恨みをぶちまける。
中国経済が上り調子だった2011年前後、団体旅行でシンガポールを訪れた中国人は、シンガポールの不動産に投資物件としてのうまみを見出し、次々に不動産を購入するようになる。やがて「炒房団」と呼ばれる中国の不動産投機集団が多数シンガポールに向かうようになった。たった5日間の滞在で3件の住宅を購入するといった荒業に、周囲は唖然としたものだ。当時の新聞は、シンガポールにおける中国人の不動産購入を「野菜でも買っていくような感覚」だと書き立てた。
住宅価格も跳ね上がった。ローさんは言う。「日本円にして4500万円の3LDKの集合住宅が、数年で1億円にまで上がった。バブルとしか言いようがない」
シンガポールの物価上昇は中国人のせい?
「買い物天国」を象徴するオーチャードロードでも中国人観光客の消費パワーが期待されている。高級品の値段もどんどん上がっている。
そもそもシンガポールでの買い物は各種税金が盛り込まれるため、香港よりも高くつく。日本人にとっては円安ということもあり、「買い物天国」の魅力はもはや薄れている。20年前にもシンガポールを訪れ「ヴィトンを買いまくった」という日本人女性に会ったが、「今回の収穫はゼロ」だと言う。シンガポール人にとっても買い物を楽しめる場所ではなくなった。
前出のローさんは「今のシンガポールは昔と全然違う」といらだちを隠さない。
高級品だけではない。生活用品の値段もここ2年でかなり上昇している。専業主婦のタンさんが具体的な数字を挙げて説明してくれた。「白米は10キロで14.5シンガポールドル(以下S$、1S$=約90円)だったのが、23.5S$になった。タマゴは10個入りが3.5S$から5.5S$に。月の食費は1000S$も上がってしまった」
5人家族のタンさんは、1カ月の食費に最低でも3200S$が必要になったという。「中国人による不動産や高級品の買い漁りが、回りまわって私たちの生活を直撃している」
もちろん、中国人観光客の爆買いだけが高騰の原因ではない。シンガポールでは中国人のみならず、多くの外国人が不動産を購入する。だが、一部の市民は「中国人による極端な買い物」が市民生活に多大な影響をもたらしたと信じているのだ。
シンガポールの市場。物価も高騰している
香港市民はついに怒りが爆発
シンガポールのみならず、香港でも同様のことが起きている。
現地に駐在していた日本人はこう語る。「2011年前後から、香港に住みたいという中国人が物件を買い込んだ結果、香港の不動産価格が吊り上がってしまった」。いまやセントラル地区から1時間かかる郊外の50平米の住宅ですら、5000万円では購入できない。
また香港では、国境を越えて買い物に来る「担ぎ屋」とも言われる業者の存在が問題視されている。担ぎ屋は香港で仕入れた粉ミルクを大陸に持ち帰って高値で売りさばく。その往来が頻繁になる一方、香港市民は粉ミルクを手に入れられなくなってしまった。
彼らは陸地づたいに1日に何度も往復し、トイレットペーパーから醤油、iPhoneに至るまで日用品を大量に買い占める。今年2〜3月、一部の香港市民が担ぎ屋に対して激しい抗議行動に出た。担ぎ屋が買い物をしている店に押し寄せ「お前たちが買い占めるから市民生活が混乱するのだ」とののしった。「祖国を愛するなら、祖国の物を買え」と野次る声もあった。
香港ではそうした抗議行動に乗じるように、「大陸からの観光客は香港に入れない」という市民運動も行われた。
日本を訪れる中国人観光客が増加している背景には、「歓迎されない香港に行くよりも、歓迎してくれる日本に行きたい」という思いがあることは否定できない。
東京や大阪を目指してやって来る中国人観光客の動きは、少し前にシンガポールや香港に押し寄せていた頃と酷似する。東京の街角では、中国人による、とても商品を自分で使うとは思えない「爆買い」が繰り広げられる一方で、一部の不動産業者が中国人投資家に対して前のめりな営業活動を始めている。
今日のシンガポールや香港の姿を東京は教訓にすべきだろう――経済効果を追い求めるあまり国民生活を犠牲にしては、本末転倒である。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44373
4〜6月期の世界スマホ市場、過去2番目の出荷台数ただし市場を牽引したのは新興国市場の低価格端末
2015.7.28(火) 小久保 重信
韓国、子どもの自殺防止のためのスマホアプリを開発
米IDCによると、今年4〜6月期の世界スマホ出荷台数は2ケタの伸びを維持し、四半期ベースでは過去2番目の最多記録となった〔AFPBB News〕
米国の市場調査会社IDCがこのほど公表した今年4〜6月期の世界スマートフォン市場に関するリポート(速報値)によると、同四半期に出荷されたスマートフォンの台数は1年前から11.6%増え、3億3720万台となった。
4〜6月期の出荷台数は3.37億台
四半期ごとのスマートフォン出荷台数の前年同期比伸び率は、昨年10〜12月期では28.2%増、今年1〜3月期では16.7%増と推移しており、4〜6月期の伸び率はこれらと比較して小さい。
だが3億3720万台という数は、昨年10〜12月期に次いで過去2番目に多い四半期出荷台数。この4〜6月期の台数は四半期平均を上回った今年1〜3月期のそれをも上回っている。世界のスマートフォン市場は依然、わずかながらも前四半期の実績を超える勢いで推移していると、IDCは分析している。
ただ、IDCリサーチマネージャーのアンソニー・スカーセラ氏は、スマートフォン市場の成長は韓国サムスン電子や米アップルの高価格端末の成功のみによってもたらされているわけではないと指摘している。
高価格端末は先進国市場で活発に売れている。だが市場を牽引したのは地場メーカーに支えられた新興国市場だという。「4〜6月期は過去2番目に多い出荷台数を記録したが、これに多大な貢献をしたのは新興国市場だ」と同氏は述べている。
4〜6月期における、スマートフォンも含む携帯電話全体の世界出荷台数は4億6460万台で、前年同期から0.4%減少している。こうしてフィーチャーフォンの減少が続く中、メーカー各社は高機能・低価格の両面で競争力の高い端末を市場投入し、攻勢を強めているという。
サムスン、首位維持も唯一前年割れに
4〜6月期のスマートフォン出荷台数をメーカー別に見ると、サムスンが7320万台で首位を維持し、これにアップルが4750万台で次いだ。アップルの出荷台数は昨年10〜12月期に首位のサムスンにわずが60万台の差で迫ったが、今年1〜3月期に再びサムスンがアップルを引き離し、この4〜6月期もその差が広がった。
サムスンは昨年、スマートフォンのモデル数を25〜30%減らす計画を明らかにした。これは低・中価格帯の製品ラインアップを見直し、地場メーカーの低価格モデルに対抗するという施策だが、IDCはこれが奏功したと先のリポートで分析していた。
今回のリポートによると、サムスンは4〜6月期全般を通して、大幅値引きやキャンペーンを行っており、旧型の「Galaxy」の販売が好調だった。一方で、新型の「Galaxy S6」「同S6 edge」については、需要予測を見誤り、後者のモデルの供給が滞ったため、期待していた成果を出せなかったと指摘している。
こうしたことがあったためか、4〜6月期のメーカー別出荷台数では、サムスンのそれが上位5社の中で唯一前年割れ(2.3%減)となった。
アップル、引き続き中国で首位に
これに対しアップルの出荷台数は前年から34.9%増えた。IDCは今年1〜3月期の中国におけるアップルの出荷台数がトップになったと報告していたが、この4〜6月期もアップルは同国市場で首位だった。
中国をはじめとする世界の主要市場でスマートフォンの普及が飽和に近づきつつある中、アップルは次の四半期に市場投入する「S」モデルで、買い替え需要を狙っているという。
なお、4〜6月期にサムスンとアップルに次いで出荷台数が多かったのは、中国ファーウェイ(華為技術)で、その台数は2990万台(前年同期比48.1%増)。このあと中国シャオミ(小米科技)の1790万台(同29.4%増)、中国レノボ・グループ(聯想集団)の1620万台(同2.4%増)と続いた。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44372
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43683
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44400
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