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通販サイト「アマゾン」より
アマゾン、“日本で税逃れ”問題がついに解消?課税ルール、世界的に見直しへ
http://biz-journal.jp/2015/07/post_10874.html
2015.07.27 文=雨宮寛二/世界平和研究所主任研究員 Business Journal
インターネットにおいて、国家の主権は確立できるのか――。
この命題に対するひとつの解決方法が、まさに議論されようとしている。経済開発協力機構(OECD)が今般、ネット通販事業者に対する課税ルールを見直すことになった。果たして、国家はネットでも国境を確立できるのであろうか。
ネット通販事業者は現行の課税ルールに従い、これまで進出先の国に支店などの「恒久的施設(PE)」を持たなければ、原則として本社が置かれている国で法人税を納めればよかった。そのため、本社を進出国以外に置き、倉庫・配送センターを進出国に置いて事業展開している事業者は、進出国の税制に縛られずに済んだ。というのも、現行の課税ルールでは、倉庫・配送センターはPEに当てはまらないからである。
たとえば、米ネット通販事業者であるアマゾン・ドット・コムのケースで見てみると、アマゾンは日本のフルフィルメントセンター(倉庫・配送センター)から顧客に届けた商品の販売代金を、本社のある米国で受け取り、法人税を納めているという。実質的には、日本国内で製品の売買取引が行われているにもかかわらず、日本政府はアマゾンの利益に課税できないというのが実態である。
そこで、日本では国税庁が2009年に国内に所在するアマゾンのフルフィルメントセンターをPEと認定して、約140億円の追徴課税処分を下したが、現行の課税ルールを踏襲する日米租税条約に基づき、この追徴課税は取り消されている。
こうした弊害を取り除くため、OECDは現行の課税ルールを見直す方針を打ち出した。これは、ネット通販事業者が進出国に倉庫・配送センターを持っていれば、進出国が法人税をかけられるようにするというもので、PEの定義に倉庫・配送センターを含めるとの考え方である。
■ネットと徴税権
元来グローバル企業がどこの国に税金を納めるかといった問題は、ネットが商用化される以前から国家間で重要な問題として認識されてきたが、ネットの登場により、問題はさらに複雑化し、深刻さを増した。ネットでは、顧客から受け取る販売代金を海外に移すことが容易に可能となるのがその象徴であろう。
現行の課税ルールの下では、進出国においてネット通販事業者がコントロールできる余地が十分に残されている。つまり、ネットでは国家の裁量が及ばない範囲はまだまだ存在し、徴税権を含めた国家のさまざまな権利の確保が十分であるとはいえない。
OECDとしては、今年中に新たな課税ルールの承認を各国に取り付け、16年以降にOECD加盟国や新興国が相互に租税条約を改正する方向で対応することを目指している。ネット上での国家権力の支配力は、今後どこまで及ぶことになるのか。
(文=雨宮寛二/世界平和研究所主任研究員)
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