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東芝問題、なぜ「粉飾」と呼ばないの?全国紙5紙に聞いた
http://thepage.jp/detail/20150725-00000003-wordleaf
2015.07.25 12:00
東芝が決算の利益を水増ししていた問題をどんな言葉で表現するかについて、新聞各紙で見解が分かれている。なぜ今回、耳慣れた「粉飾決算」という言葉が使われず、「不適切会計」などと呼ばれているのか。全国紙5紙(朝日・読売・毎日・産経・日経)の広報部門に見解を聞いた。
7月24日時点で、朝日・毎日が「不正会計(決算)」、読売・日経が「不適切会計」、産経が「利益水増し問題」という言葉を使用している。全社に表現の使用基準についての質問状を送付したところ、表現の使用基準について明確な回答があったのは朝日・毎日の2紙だった。
■「不適切会計」とは何か?
まず、今回よく耳にするようになった「不適切会計」とはどのような事態なのだろうか。日本公認会計士協会広報グループに確認すると、次のような回答が返ってきた。
監査・保証実務委員会研究報告第25号「不適切な会計処理が発覚した場合の監査人の留意事項」において、「不適切な会計処理」を「意図的であるか否かにかかわらず、財務諸表作成時に入手可能な情報を使用しなかったことによる、又はこれを誤用したことによる誤り」と定義しております。
つまり、この表現では会計処理上のケアレスミスなども含まれるということであろう。
この問題が最初に明らかになったとき、各メディアは「不適切会計」という言葉を使用していた。朝日新聞社広報部は「不適切会計」という言葉を使用していた理由について「東芝は4月、『会計処理について、調査を必要とする事項が判明』と公表しました。しかし、その内容が不明であったことから『不適切会計』と表現しました」と説明した。毎日新聞社社長室広報担当も、「意図的な会計操作の有無が判然としなかったため」と説明している。
■「不適切会計」から「不正会計」へ
しかしその後、朝日・毎日は「不正会計」という言葉に切り替えた。
日本公認会計士協会広報グループによると、「監査基準委員会報告書240『財務諸表における不正』において、『不正』を『不当又は違法な利益を得るために他者を欺く行為を伴う、経営者、取締役等、監査役等、従業員又は第三者による意図的な行為をいう』と定義しております」とのこと。「不正」と呼ばれるには、「不当な利益を得るための意図的な行為」であったかという要件が必要なようだ。
朝日新聞社広報部は「その後、不正な会計処理が行われていたことが分かったことから、弊紙は7月9日、副会長辞任を紙面化する際に『不正会計』という言葉を使いました」と説明する。その後の紙面では再度「不適切会計」という表現に戻るも、「第三者委員会が7月20日に報告書を提出して以降は『不正会計』『不正決算』と表現しています」
毎日新聞社社長室広報担当は「第三者委員会が意図的な会計操作やトップの関与について指摘する方向になった」として、7月17日朝刊から「不正会計」に切り替えたという。「不正会計」という表現を使っている理由については、「経営トップが認識したうえで意図的な利益水増しの決算を公表したことが判明したため」と説明している。
■「不正会計」から「粉飾決算」へ変わるか?
それでは、「不正会計」と「粉飾決算」は違うのだろうか?日本公認会計士協会広報グループによると、「不正会計」や「粉飾決算」といった言葉自体に定義はなく、一般用語として用いられているのだという。
朝日新聞社広報部によると、7月13日朝刊の東芝に関する記事の中ですでに「粉飾決算」という言葉を使ったことがあるという。その理由については「粉飾決算という言葉の使用について基準はなく、不正会計処理の一種と考えています」(広報部)とのことだった。
「粉飾決算」の用語使用について、唯一明確な基準を示してくれたのが毎日新聞社だ。「強制調査(捜査)の見通しが強まったと判断できた段階で切り替えを検討する」(社長室広報担当)とのことで、強制捜査の有無が一つの判断基準となっているようだ。
■基準は公表せずー読売、日経、産経
産経新聞は21日朝刊一面では「不適切会計」と書いていたが、22日朝刊から「利益水増し問題」という言葉に変更した。読売新聞と日経新聞は、20日に第三者委員会の報告書の概要が公表された後も「不適切会計」という言葉を使用している。3社はいずれも表現の使用基準について答えなかった。以下が回答の全文。
産経新聞社広報部「弊紙のその時点での編集判断です」
読売新聞グループ本社広報部「記事作成の経緯に関するご質問には従来お答えしていませんが、記事中の用語や表記は、事実関係に照らし、その都度適切なものを使用しています」
日本経済新聞社広報室「お問い合わせの件を含め、記事表現をめぐる判断については公表していません」
■「少なくとも不正会計と表現すべき」
以上から、用語の使用基準としては、「不適切会計」は意図的でないものを含む会計処理上のミス。「不正会計」は不当な利益を得るための意図的な会計処理。そして「粉飾決算」は使用基準が明確ではないようだが、強制捜査に踏み切ると切り替わる可能性があるとされることから、「不正会計」より悪質さを強くを感じさせる表現として用いられているようだ。
早稲田大学法学部の上村達男教授(会社法・金融商品取引法)は「第三者委員会が東芝の経営陣による意図的な利益水増しを指摘している時点で、違法な会計であり、明らかに粉飾。少なくとも不正会計と表現すべきで、今もって違法ではないという意味を含む不適切会計という表現をつかっているのはおかしい。他の詐欺事件などでは疑惑の段階で報じているのだから、以前から『粉飾疑惑』という言うべきだったのではないか」と疑問を投げかけている。
(安藤歩美・中野宏一/THE EAST TIMES)
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