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メディア覇権争いに参入 日経新聞「英フィナンシャル・タイムズ電撃買収」極秘プロジェクトはこう動いた
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/44366
2015年07月25日(土) 歳川 隆雄「ニュースの深層」 現代ビジネス
■経済メディアの覇権争いが始まる
7月24日朝、『日本経済新聞』(同日付朝刊)を手にして仰天した。一面トップにヨコ大見出し「日経、英FTを買収」が踊り、タテ見出しに「ピアソンから1600億円―経済メディア世界最大」とあったからだ。『朝日新聞』も一面トップで報じた。
1600億円という巨額な買収額もさることながら、同紙が英有力経済紙フィナンシャル・タイムズ(FT)の親会社である英国有数の教育出版社ピアソンとの間で密かに買収交渉を行っていたという情報を全く耳にしていなかったことが、情報誌を主宰する筆者にとっては不覚であると同時に、最大の驚きだった。
同紙が「メディアブランドとして世界屈指の価値を持つFTを日経グループに組み入れ、グローバル報道の充実をめざすとともに、デジタル事業成長戦略を推進する。
「読者数で世界最大の経済メディアが誕生する」と報じたように、FTを傘下に置くことになる日経グループは今後、米紙ウォールストリート・ジャーナルを傘下に持つダウ・ジョーンズ社(DJ)、米通信最大手ブルームバーグ社と経済メディアの覇権を競うことになる。因みにDJ社は2007年、「メディアの帝王」ロバート・マードック氏が率いる米ニューズ・コーポレーションに買収された。
■一部しか知らなかった買収計画
日本経済新聞社の喜多恒雄会長マターで極秘裏に進められてきたFT買収交渉は、社内では社長室中心に経営企画・特別企画総括の長谷部剛専務、デジタル事業・電子版・人材教育事業統括の野村裕知専務をはじめデジタル事業部門で編成された特別チームが担当し、編集部門で事前に知る者は殆どいなかった。
対FTアプローチは日経側から行われたもので、資金繰りに不安説が囁かれていたFTグループに何社かのインターネット大手が食指を伸ばしているという情報を察知し、交渉・合意を急いだとされる。
2000年代初頭に有料電子版発行に踏み切ったFTは、この世界の先駆けであり、現時点で有料読者数93万を誇る世界ナンバー1である。日本ではいち早く有料電子版発行を始めた『日経』の読者数は約43万でペイラインにあるとされるが、他の全国紙の有料電子版は苦戦を強いられている。
そうした中、『日経』はFTのデジタル部門が持つ膨大な経済情報・分析のデータベースに注目、加えてシンガポールを拠点とするアジア発のビジネスニュース市場の席捲を目指す喜多路線からすれば、今回のFT買収は当然の帰結と言えるかもしれない。
ただ、現実はこれからの人口減少と若者の“新聞離れ”から活字媒体としての新聞読者数が顕著になっていることから、余力がある全国紙が海外事業の展開に傾注するのは避けられないである。
■幻の「FTマガジン日本版」
筆者は、実はFTとの間でジャーナリストを超えた特別な“ビジネス体験”を有している。2001年初頭のことだった。当時、小学館の『週刊ポスト』編集長を退き、新ビジネス誌創刊を模索していた坂本隆氏(現日本雑誌協会専務理事)から相談を受けた。以前からFT日曜版の質の高さとビジュアルに注目していたこともあり、FTへのアプローチを建言したのだ。
知己のジリアン・テット東京支局長(現米国版編集局長)に仲介してもらい、同年5月、坂本氏とロンドンのFT本社を訪れ、当時の編集局長をはじめ海外事業部長、写真部長、データベース室長などと会った。そして長い交渉の末、同紙日曜版のコンテンツ、その他本紙のデータ、チャート、写真の全面提供の了承まで得たが、最終的に『FTマガジン日本版』構想は日の目を見なかった。
こうした経緯もあったので、今回の『日本経済新聞』のFT買収報道には特別な感慨を持って接したのだ。
ところで、最新情報である。『ニューヨーク・タイムズ』のマーティン・ファクラー東京支局長が8月1日付で独立系シンクタンク「日本再建イニシアティブ」(船橋洋一理事長)に転出する。「ジャーナリスト・イン・レジデンス」という肩書きからすると、ジャーナリスト活動は継続するようだが、同所では日本再発見プロジェクトのリーダーを務めるという。当分間、同氏の厳し過ぎる「日本(安倍)批判」は読めない。そう言えば、テット女史の日本システム批判も凄かった…。
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