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小宮一慶 小宮コンサルタンツ代表
東芝の問題は「目的」と「目標」を混同した経営ミス
http://diamond.jp/articles/-/75534
2015年7月25日 小宮一慶 ダイヤモンド・オンライン
● 「目標」であるものが 「目的」化すると問題が起こる
東芝の不適切会計が大きな問題になっています。利益をかさ上げするために1500億円ほどの経費計上などを遅らせたということです。そして、残念ながらこのような事件が何度も起こっています。このようなことが起こるたびに、私は「目的」と「目標」が混在したことが原因だろうと考えています。
これは、粉飾だけのことではありません。働く人が活き活きと働いていなかったり、本来もっと実力が出るような会社がそうでない場合にも、この「目的」と「目標」の混在が起こっていたり、本来の「目的」が忘れられているような場合も少なくないのです。本来目標であるものが、目的化したときにさまざまな問題が起こるのです。
目的と目標は、次のように区別することができます。
「目的」=最終的に行きつくところ、存在意義
「目標」=目的に至るまでの通過点、具体的な評価、目的達成のための手段
もう少し具体的に話したほうが分かりやすいかもしれませんね。私は経営コンサルタントですが、経営コンサルタント小宮一慶の「目的=存在意義」は、「関わる方たちに成功していただくこと」です。これは別に格好良いことを言っているわけではなく、関わる方たち、私のお客さまや、私の本、あるいはこの連載を含めた読者の方たちが、私たちの関わりによって成功されれば、私や私の会社(小宮コンサルタンツ)の成功につながるからです。
そして、私は、単著で100冊本を書くという「目標」をもっていましたが、こちらの方はおかげさまで昨年に達成しました。しかし、目標を達成したからと言って、関わる方たちに成功していただくという目的は、私が現役で働いている限りは存在し続けるのです。
それでは、皆さんの会社の目的は何でしょう?
● 数字は 目的ではなく、目標
会社の目的は、最終的に行きつくところや存在意義です。多くの会社がビジョンに掲げていることです。「お客さまの発展に寄与する」、「自社商品を通じて社会に貢献する」などを指します。もちろん、従業員に幸せになってもらうというのも立派な存在意義ですから目的です。
一方、目標とは、その理念やビジョンに到達するための通過点です。
「○○億円の売上高」というのは、目標になります。利益も自社ビル建設も目標です。目的ではありません。働いている人がしんどくなったり、東芝のように不正まで行う会社は、多くの場合、本来目標であるべき「数字」が目的化しているのです。
売上高は、「お客さまに喜ばれる商品やサービスを作る」、「働く人が十分に活かされている」など、会社のビジョン(目的)の到達度合いの評価に過ぎません。結果です。あくまでも、お客さまに喜んでいただくことや社会に貢献すること、働く人が働くことによって幸せであることが会社の「目的」です。
なぜ、こんなことを言うかというと、普段は「お客さまのため」を目的にして仕事をしている会社も、しんどくなってくると、目的と目標がごちゃまぜになりやすいからです。
「今月は、なにがなんでも○%の売り上げを達成しなければ」と焦ると、それがあたかも会社の「目的」のようになってしまうのです。目標が目的化してしまうのです。東芝の場合もそうで、それが不正にまで発展してしまったのです。
しかし、しんどい時期こそ、立ち返るべきは理念やビジョン、すなわち「目的」の方です。考え方の原点です。「お客さまのために何ができるのか考え、良い仕事をしよう」という目的のもと、「その結果、○%の売り上げ増という目標を達成しよう」という姿勢が大切です。
このように、目的と目標は明確に区別できるものです。しかし、混同しやすいものでもあるのです。目的と目標を明確に区別できるかは、経営者の考え方にかかっていることも少なくありません。
上場したとたんに失速する会社がありますが、こういう会社は、上場することは単なる目標だったはずが、いつのまにか目的化していたことになります。
● 人生にも 同じことが言える
私の知っている企業でも、上場したとたんに、数字を追いかけ出したところがありました。株主の評価を気にするうちに、「お客さまのため」を目的にしていたはずが、「数字を出すため」に働くようになってしまったのです。業績は一時期は良かったのですが、その後、一気に業績が落ちました。
しかし、その会社は、もともと「お客さま第一」を実践していましたから、その原点に立ち返って出直したところ、ほどなくして業績は上向いていきました。
私は、仕事柄、目的と目標を混同すると、結果的に目標であるべき業績も落ちてしまうケースをたくさん見てきたのです。
これは、ビジネスのみならず、人生においてもあてはまります。自分の人生の目的が、目標にすり替わっていないか、時々、立ち止まって確認してみると良いと思います。
人生の「目的」とは、例えば、「充実した人生を送る」などが該当します。
これに対して、「お金を貯める」などというのは、「充実した人生を送る」ために掲げた「目標」になります。お金をどれだけ貯めても、それは、充実した人生を送るための一つの方法にしか過ぎません。でも、お金を貯めるためにがむしゃらに働き、友達もいないし、しまいには身体を壊してしまったということでは、本末転倒で本当に不幸です。しかし、現実には、目標が目的化してしまうとこういうことが起こりうるのです。
常に経営でも人生でも、目的と目標の違いを明確に把握しておくことが大切です。
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