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関西地区、ホンダ鈴鹿工場近くでリコール多発のFIT新車放置場への動画
名阪国道 久我IC 下り出口からホンダ車FIT新車放置場までの動画 2015年4月
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/44308
造っても造っても売れない
「お客様視点を大切にして、数(台数)を追うよりもお客様に夢を与えるホンダらしい商品を造っていきたい」
全世界で600万台販売の旗を掲げて驀進(ばくしん)した伊東孝紳・前社長(61)の後を継ぎ、第8代ホンダ社長に就任した八郷(はちごう)隆弘氏(56)が7月6日、初の記者会見でそう抱負を語った。
ホンダが今、苦境に立たされている。'15年1月から6月の同社国内販売台数は前年同期比17・9%の減少、落ち込み率は国内11社の中でも三菱自動車に次いで2番目に大きかった。
造っても造っても売れない―。それを象徴するような「現場」が、熊谷市、深谷市、本庄市など埼玉県北部に点在している。売れない新車を一時保管する「モータープール」だ。
「私が把握しているだけで、置き場は6ヵ所あります。全部で10ヵ所近くあると地元では言われており、1ヵ所に3000〜5000台は野ざらしで置かれています」(ホンダ関係者)
筆者もそのうち4ヵ所を訪問した。まず訪れたのが熊谷市万吉(まげち)地区。荒川右岸の堤防下の工場跡地に、ホンダの新車がずらりと並ぶ。ざっと数 千台はあるだろう。車種は「フィット」「ヴェゼル」「ジェイド」「グレイス」など。ガードマンにいつから置いているのかと聞くと、「答えられません」と取 りつく島もなかった。付近の住民によれば、「'13年にホンダが大規模リコールを起こした後から置かれ始め、近所でも話題になりました。今年の春ごろが最 も多く置かれていたと記憶しています」という。
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いつの間にか新車置き場に
2ヵ所目は、熊谷市千代(せんだい)地区。雑木林に囲まれた「三本自治会里山保全地」の立て看板がある向かい側の空き地にホンダ車がぎっしり。ここ にも数千台はあるだろう。近くの畑の地主は「今春から車が置かれている。ここは遺跡があった場所で古い壺も出てきた。発掘調査が終わったら工場ができると 聞いていたが、いつの間にか新車置き場になった」と語る。
入り口近くには、ガードマン用のプレハブ小屋も立っていた。その中にはホンダ車を運搬している日本梱包運輸倉庫の従業員の姿も。そこにいた男性のひとりは「今年の2月から置いています」と話した後、冗談交じりで「1台どう?」と語った。
3ヵ所目は深谷市折之口地区。上越新幹線高架下一帯のコンクリート工場の空き地だ。ここは4月にモデルチェンジしたばかりの「ステップワゴン」が目立つ。
4ヵ所目は本庄市にある「本庄サーキット」周辺。この土地の所有者で群馬県高崎市内に本社がある企業の関係者は「5〜6年前にホンダと賃貸契約をし ました。輸出用の車を保管したいと聞いています。最近は増えたり減ったりです」と説明する。ただ、筆者が見る限り、輸出用の海外向け車種は見当たらなかっ た。
こうして一時保管されている場所は、いずれもホンダの主力工場である狭山工場(埼玉県狭山市)と寄居工場(同大里郡寄居町)から車で1時間〜1時間 半以内のところに位置する。車種も両工場で生産しているものだ。中でも目立って多かったのが「フィットハイブリッド」「グレイス」「ジェイド」だ。
ホンダの主力車「フィットハイブリッド」は’13年9月にフルモデルチェンジして以来、立て続けに5度の大量リコールを起こした。その内容は発進・ 停止できなくなる深刻なもので、新たに採用した燃費を高める部品の制御ソフトウェアが不具合を起こしたことが主な要因だ。ホンダ社内ではこのリコールは 「人災」に近いとも言われる。
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大量在庫を生んだ社内事情
「規模拡大を急いだ伊東前社長が、技術が未完成のため発売を渋った技術陣を無理やり押し切って発売させた車」(ホンダ幹部)だという。相次ぐリコー ルの結果、ホンダのブランドイメージは地に堕ち、販売店への来店客数が激減。'14年度の国内販売計画は103万台だったのが、実績値は79万台にまで落 ち込んだ。
これが国内生産にも影響し、狭山工場では昨年10月と11月は金曜日の稼働が止まった。「現在は通常稼働に戻った」(ホンダ広報部)そうだが、国内販売の不振は輸出が少ないホンダにとって在庫置き場に困るほどの事態に進展している。
昨年12月に発売した「グレイス」はインドで開発した車がベースで、日本向けの車と比べるとチープな印象が否めない。日本自動車販売協会連合会(自販連)が毎月発表する上位30位までの車名別ランキングでは発売当月には10位に入ったもののその後は低迷が続いている。
「ジェイド」は「中国で開発された車で、現地では人気ですが、3列目の後部座席が狭くて、インターネット上にはユーザーからクレームが多く載ってい る。日本の顧客を軽視した車」(ホンダOB)だという。同車は今年2月の発売ながら翌月には30位圏外に消えてしまった。あるホンダ社員はこう話す。
「今のホンダは、多くの従業員を抱える国内工場を止めるわけにもいかず、売れない車を造り続けて在庫を増やしている状態。社内では『グレイス』と『ジェイド』にはすでに5年分の在庫があると囁かれています。いずれ社員や取引先に値引きして叩き売るつもりでしょう」
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「負の遺産」が重くのしかかる
大量の新車を各地で保管していることについてホンダに問い合わせると次のような回答だった。
「その時々の販売状況により一時的に在庫数が変化することはあるものの、日々適正在庫になるように管理されています。在庫の内訳や保管場所の具体的 な数については販売状況によって左右されることがあるため、申し上げられません。在庫車の場合、屋外保管がほとんどのため、お客様が決まった場合には、洗 車、点検等を行い、納車させていただいております。品質的な問題は出ておりません」
ホンダは国内に限らず、ドル箱だった北米でもイメージ悪化と商品力低下から販売が落ち込む。そこに品質維持関連費用や、タカタ製のエアバッグ問題が 重くのしかかっているため、円安の恩恵を享受できないばかりか、’15年1〜3月は四輪事業が営業赤字に転落してしまった。コスト削減の圧力も高まり、社 内には暗いムードが漂う。開発部門では依願退職する若い社員も増えたそうだ。
新社長の八郷氏は記者会見で、世界販売600万台の目標を事実上撤回して「伊東路線」を否定。社員のやる気を引き出して商品力を強化しようと「チー ムホンダ」を強調したが、前途は多難だ。マツダやスバルなど格下の企業が目覚ましい業績をあげるなか、大量在庫という「負の遺産」が、ホンダに重くのしか かっている。(フライデー7月31日号より)
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