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森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 若年層負担減は本当か
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週刊実話 2015年7月30日 特大号
7月2日に政府税制調査会が総会を開き、20年ぶりとなる所得税の抜本改革に向けて1年間の議論をスタートさせた。委員からは、「所得水準の低い若年層の税金や社会保険料の負担が大きすぎる」という意見が出され、若年層の負担減にどのように所得税制全体を変えるのかが最も大きな課題となっている。
税制調査会の問題意識は正しいと思う。例えば、所得税の課税最低限の国際比較をみると、夫婦2人世帯の場合、日本の157万円に対して、アメリカ203万円、イギリス152万円、ドイツ291万円、フランス356万円となっている。つまり、日本はイギリスと並んで、世界で最も低所得者に冷たい税制を採る国になっているのだ。
また、低所得者の負担率も非常に高い。課税最低限を超えた人にかかる税率は、所得税5%・住民税10%の合計15%で、これに厚生年金保険料9%、健康保険料5%、雇用保険料0.5%を加えると、実に給料の30%が税金と社会保険料で持って行かれるのだ。日本はすでに重税国家になっていると言ってよい。
しかし、私には今後、若年層の負担減が行われるとは到底思えない。理由は二つある。一つは民主党政権時代に導入された子ども手当を、自民党が政権をとってからすぐに廃止したことだ。もし本当に若年層の負担減をする気なら、子ども手当廃止などしないだろう。
もう一つは、派遣法の改正で採用した理念と逆の法改正だ。派遣法では、正社員から派遣への代替防止と派遣労働者の正社員化という理念の下で、派遣社員を臨時的・一時的労働者と位置付け、派遣期間を3年に限定した。しかしそのことによって、派遣労働者は3年ごとに職場を変わる流浪の旅に駆り立てられることになってしまったのだ。だから今回も、実際には中高年や高齢層の負担を増やすことになるのだろう。
ターゲットは二つあるとみられる。一つは配偶者控除の廃止だ。専業主婦やパートタイマーを抱えている中高年世帯の税負担を増やすのだ。
第二は公的年金等控除の廃止、あるいは縮小だ。現在、公的年金の給付は雑所得の扱いになっていて、年金の額に応じて最低70万円から最大で155万5000円の控除がある。このほかに基礎控除や配偶者控除もあるから、かなりの部分の年金生活者は所得税を一切支払っていないのだ。控除を縮減すれば、今後爆発的に増えていく高齢者からどんどん税金を集められるようになる。
政府がこうした増税策に走るとみられるのは、2020年に基礎的財政収支を黒字化するという目標があるからだ。
だが、本当に税負担を増やすべきは、中高年や高齢者なのだろうか。国民生活基礎調査によると、生活が「苦しい」とした世帯は62.4%だったが、高齢者世帯も58.8%が苦しいと答えており、決して余裕があるわけではない。
一方、富裕層の所得の多くは金融所得が占めている。ところがその所得にかかる税金は20%の分離課税で、庶民よりもずっと低い税率になっている。だから、所得税の抜本改革を行うなら、分離課税をなくして、すべての所得を合算して課税する総合課税にすべきで、そこで生まれた税収を若年層に回せばよいのだ。
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