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北京中心部の繁華街・王府井
中国、クルマが売れない!政府が販売台数制限、経済急失速と株価低迷が直撃
http://biz-journal.jp/2015/07/post_10825.html
2015.07.23 文=桃田健史/ジャーナリスト Business Journal
「これから先、中国市場はどうなるのでしょうか?」
ここ1〜2カ月、自動車業界や金融業界から、筆者への問い合わせが増えている。中国汽車工業協会の発表によると、2015年5月期の自動車の生産総数と販売総数はそれぞれ167万6900台と160万9300台だ。これは前月比でそれぞれ4.4%減、3.6%減となった。1〜5月期の累積でも、市場の成長が大幅に減速していることが明白となった。
こうした市場の冷え込みの理由について、5月と6月に上海と北京の現地取材をした際、地元の自動車業界関係者らは「庶民の株式投資が過熱していた中、株式市場が低調となり、自動車の購買意欲が薄れているからだ」と説明した。
確かに、中国庶民の株式投資の熱狂ぶりは、日本人から見ると“度が過ぎる”状態が続いてきた。「仕事中、中国人従業員たちはスマートフォンや会社のパソコンを使い、当たり前のような顔で株取引をやっているため、日常業務に支障を来している。本当に困っている」(複数の在中日系企業関係者)という声が多く聞かれた。
1990年代から00年代にかけて経済成長が続く中国では、車は豊かな生活を送るための“憧れ”であり、同時に“資産”でもあった。そうした考えが、00年代後半から10年代に入ると、沿岸部大都市の北京、上海、広州等で徐々に薄れていき、資産は不動産、さらに株にシフトしていった。その結果、多くの中国人が車に対して“ベストバリュー”を求めるようになった。
そうした中、多様な目的を1台で満喫できる“オールインワン”型のSUV(スポーツ用多目的車)の販売比率が急激に上がっている。セダンが主体だった中国市場の変化に、日系メーカー各社は慌てて後追いしている状況だ。
●過剰な多ブランド化とディーラー拡大
中国の富裕層には、学生時代にアメリカに留学し、企業人や政府関係者としてアメリカ本土での駐在を経験した人が多いため、中国にもアメリカンライフを持ち込む傾向がある。それは、車選びにも反映される。
一方、中国の自動車業界では「ヨーロッパの技術を見習え」との意識が強く、部品サプライヤーではドイツ勢の影響力が大きい。
さらに自動車産業を投資案件として見れば、中国地場メーカーは日米欧韓との株式出資比率50:50による合弁事業を基盤として、独自ブランドの構築を進めている。
こうした社会背景の下、中国市場ではほかの市場では考えられないほど多数の自動車ブランドが乱立している。上海や北京の日系ディーラー経営者らは「狭い地域で顧客の奪い合いがどんどん激しくなり、経営を圧迫している」と頭を抱える。
また、北京では自動車購入の前にインターネット上でのナンバープレート取得申請が必要になるが、「少し前は倍率が10倍程度だったが、最近は15倍以上になった」(北京在住の中国人)という。交通渋滞と大気汚染に対する配慮から、地方政府による自動車販売台数の制限がさらに厳しくなっているのだ。
こうして、沿岸部での自動車販売が伸び悩む中、自動車メーカー各社が期待するのは内陸部市場だ。特に日産自動車は内陸部市場の開拓に積極的で、00年代後半から独自の販売キャラバン隊を仕立てるなど、さまざまな策を講じてきた。
しかし、株安の影響は中国全土に広がり、自動車メーカーの思惑に反して、内陸部での自動車販売も伸び悩んでいる状況だ。
●IT企業が自動車市場に参入
経済成長がスローダウンする中、中国の自動車業界にはITを駆使した最新のサービス業が進出してきている。
主役は「BAT」だ。これは、バイドゥ(百度)、アリババ・グループ(阿里巴巴集団)、テンセント(騰訊控股)という、中国IT企業の御三家の総称である。
BATはデジタル地図情報分野の企業買収や出資、車載器とスマホとの連携、さらに自動車のネット通販等、自動車関連産業に一気に参入してきた。
世界最大の自動車製造および販売国となった中国。次世代の自動車ビジネスでも、ITを駆使して大きな影響力を与えそうだ。
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