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日本企業の4割が海外からの撤退を選んだ理由(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/15/hasan99/msg/139.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 7 月 23 日 12:43:05: igsppGRN/E9PQ
 

               なぜ多くの日本企業が海外から撤退を選んでしまっているのでしょうか?


日本企業の4割が海外からの撤退を選んだ理由
http://diamond.jp/articles/-/75399
2015年7月23日 疋田正人 [株式会社ヘッドウォータース取締役 兼 経営企画室室長] ダイヤモンド・オンライン


 多くの企業がグローバル化を進めているなかで、残念ながら全ての企業の海外進出が上手くいっているわけではありません。むしろ海外進出を進めた企業のうち、実に約4割もの企業が撤退・または撤退を検討したことがあるといいます(帝国データバンク「海外進出に関する企業の意識調査」2014年10月15日)。また、先月には中小企業庁が「中小企業の海外事業再編事例集」を公表し注意喚起を促しており、中小企業にとって海外進出は課題が多いという現状が見受けられます。なぜこれほど海外進出の撤退が多いのか、これから様々な実例を踏まえ、お伝えしていきたいと思います。

■仲間のクチコミがきっかけ?経営者に足りない海外進出の動機

 今後の日本国内の既存マーケットは、後期高齢化、少子化、大企業の現地生産・現地販売体制の推進などを考えると、拡大は難しく、縮小していくと見るのが順当でしょう。それは数字云々以上に中小企業の経営者の方々が、身をもって感じていらっしゃることだと思います。

 たしかに、2020年の東京オリンピック需要や、国内の新規マーケット開発などで、必ずしも日本の全てのマーケットが縮小するとは言い切れません。ただ、それは希望的なものであって、今後企業を継続させ伸ばすという責務を背負った方々からすれば、悲観的に予測し、もし国内マーケットが拡大に進めばそれは想定外のプラスと考えるのが当然でしょう。

 さて、最近、多くの中小企業の経営者にお会いすると、まず話に上がってくるのは、やはり海外進出についてです。

「今までは国内マーケットのシェア争いで売上を伸ばしてきたが、ここ数年売上利益の伸びは鈍化し、今後縮小が見込まれる日本マーケットだけで競い続けるのは難しいのではないか。やはり3年後、5年後、10年後を見据えた場合、今海外マーケットに出ざるを得ないのではないか」

 このようなお話をしばしば伺います。また、2020年の東京オリンピックを見据え、早期に海外認知度を増すことで、国内売上の増加を見込む企業もあります。ただ、いざ海外展開を目指そうと思っても、そもそもどこの国がいいのか、また誰に相談すればいいのか分からない。例え相談相手が見つかったとしても、社内では海外事業戦略や海外販路の開拓などの経験者は勿論、英語や中国語を話せる人材などいないので、進めるとしてもどうすればいいのかといったことに悩んでいます。

 逆に現場から見た場合はどうでしょうか。既に海外進出先の選定は終え、現場に指示を出し進めているという経営者の方に「なぜその国を展開先として選んだのですか?」とお聞きしてみました。すると、最も多い理由の一つとして挙げられたのは、経営者仲間からここの国が良いと聞いた、であるとか、成功しているようだからウチの会社も出そうと思う、というものでした。また、競合他社が展開しているから、もしくは、逆に展開していない国だからという理由もよくお聞きします。つまり、なぜその国を選んだのか、経営者の明確なビジョンや理由があまりないことが多いのです。

 そういった流れで展開先を決めた場合、確かに信頼できる経営者仲間から聞いた情報をもとに進めて成功することもあると思いますが、海外展開を任された現場としては、明確なビジョンもないプロジェクトを、知識も経験も乏しい中で進めることは困難を極めるでしょう。また、明確な海外展開イメージが出来上がっておらず暗中模索的に進めていくため、予算も期限もはっきりせず、そもそも何が成功で何が失敗かも把握しづらいということもあります。

 そのような中で、「とりあえず任せたからよろしく」と任命された現場の社員は、それこそ相談相手もなく、何から始めればいいのか分からず、モチベーションは低下し始めます。そして、海外展開を成功する方法ではなく、「いかに海外展開はすべきでないか」を上層部に訴えて、海外展開を止める方法を模索することさえあるでしょう。

 また、「任されたからには…!」と奮起し、誰か相談相手はいないかと、藁をも掴む状況でアドバイザーやパートナーを探し、やっと掴んだ藁が実はとんでもない“藁”だったということもよくあります(多くの企業が陥りがちな失敗するポイントがいくつかあるのですが、それはまた次の回でお伝えしたいと思います)。

 こうして、やっとの思いで海外進出をスタートしたものの、実に企業の約4割が撤退していきます。現時点で撤退していない企業でも、単月黒字はまだまだ遠く、3年〜5年程度を事業準備期間と割り切って進めている企業も多いため、今後撤退する企業の割合は増す可能性があります。

■実質中身はからっぽの海外拠点も 知られざる「撤退」2つのパターン

 ただ、この「撤退」という言葉には幾つかのパターンが存在します。一つの例として、IT業界のケースをご紹介しましょう。

 2004年以降、国内IT需要の拡大により国内IT企業は潤いを取り戻し、人材が足りなくなり、米国がインドで先行して進めていたオフショア開発を進めようと考え始めました。国内事業の伸びと併せて為替レートの良さもあり、各企業が次々と様々な国を訪れ、IT人材や教育体制を視察し、こぞってインドや中国をはじめとしたアジアに拠点を作り始めました。しかし、その後2008年のリーマンショックの影響により、急激にIT需要は冷え込み、国内事業の立て直しやコスト削減のために海外から撤退を始めたのです。この撤退には大きく分けて2つのパターンが存在しました。

 一つ目は「全面撤退」です。文字通り支社や子会社ごと閉めるものです。ただ、こちらを選択した企業は少ないように感じます。

 そして二つ目は「支社や拠点のみを残し、実質中身はからっぽ」というパターンです。撤退、閉鎖となると、企業の体面上良いイメージではないため、実質的には小さなオフィスに移り社員も最小限、もしくは現地社員は無しとし、対外部的には撤退と見せないものです。ただ、形として残したものの、経営者自身もその国に対する興味や意欲が薄れ、一度失敗した国へ再チャレンジするよりは、新たな国で展開したいと考えます。そうすることで、名ばかり海外拠点が増え、実質的には事業をおこなっていないという状況も見受けられます。このようなパターンを実際に見聞きした方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 こうした現地撤退は、撤退後にも大きな問題を残しました。多くの企業は現地展開当初に優秀な現地社員を早期に確保するため、給与をその国の平均値より著しく上げて採用しました。平均的な給与の2倍や3倍といっても、日本と比べればまだまだ安く、また給与を上げることでモチベーションの維持を図り、マネージメントも楽になるため、ますます安易な給与上昇を進めました。

 現地社員は今までの給与の2倍、3倍と払ってくれる企業が増えてきたことで、より高い給与を払ってくれる企業へ転職を重ねていきます。そして最終的に撤退のためリストラ、転職となった現地の多くの人は給与水準を下げることができず、これから意欲的に進出しようと考えている日本企業の進出コストにも、大きく影響を及ぼしました。

 もちろん上記のような給与上昇は、現地撤退理由にも大きく影響します。採用争いに日本企業ばかりでなく、欧米や韓国企業などが参入し始めています。その額は数倍に跳ね上がり、結果コストは増え当初の目論見から大きく外れていきます。と言うのも、日本企業の多くは、海外マーケットの開拓と言うものの、結局は海外現地法人をコストセンターとして考えていたにすぎないからです。給与上昇を重ねていった結果、日本より人件費が安くあるべきコストセンターが、それ程日本と差がなくなってきたため、将来的にも採算が合わず、手間も労力も掛かる現地に魅力がなくなってきたのです。

 また、コストセンターという役割だけの海外展開は、現地マーケットが成熟するほど、現地の給与も上がるため、より単価が安い国安い国と、それこそ発展途上国を渡り歩かなければなりません。一時的に安価な労働力として事業を構築し、その後現地マーケットが成熟した時に、現地でのシェアを確保するという一連の流れで海外進出が考えられるべきだと思います。

■海外現地で生き残る企業は一体何が違うのか?

 ただ、こういった撤退がある一方で、継続し、業績を伸ばした企業も多くあります。国内売上が減る中、現地社員を採用したからには何とか耐え続けようと、現地と協力しながら生き残った企業は、現地の人々から「どの日系企業も撤退していく中、あの企業だけはここに残って、社員も雇用し続けた。信頼できる会社だ!」ということで、採用希望や現地企業からの信頼感が増し、大きく発展した例もあります。

 また、決して他社のように高い給与ではないけれども、共に何をすべきなのかを共有し、成すべき事業を進めたいという社員だけを集め、順調に進められている企業もあります。もちろん撤退していった企業も決して安易に決めたわけではなく、苦渋の決断として、断腸の思いで撤退された企業も多くあったと思いますが。

 私自身、様々な海外進出を現場で見ながら、日本企業の製品やサービス、品質やホスピタリティは、海外に誇れるもので、海外に進出可能な日本のものはまだ沢山あると実感しています。ただ、やはり目先の安価な労働力だけを求めたり、美味しそうに見える上部だけの情報を頼りに進めてしまうことは、撤退に繋がる大きな理由だと思います。発展途上の国だからといって、そのマーケット展開が日本より楽なわけではありません。むしろ厳しいハードルは沢山あります。

 しかし、だからと言って、それに怯え海外への一歩を踏み出さないよりは、誇れる自社商品やサービスを海外に出していく未来の方が、きっと将来的なリスクは少ないと思います。海外進出の失敗が全てマイナスではありません。失敗することで社員も成長し、海外から自社がどのように判断されたのか評価でき、それを次の戦略へと繋げることこそが、海外展開成功への一歩だと思います。

 多くの中小企業の海外進出に成功に少しでも寄与できるよう、次回からは更に深く踏み込み、お伝えしていきたいと思いますので、引き続きご愛読いただければ幸いです。


 

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コメント
 
1. 2015年7月23日 19:04:47 : wnt7llvOcA
 カネを稼げなくなった。本社もカネの余裕がなくなってきた。
たったそれだけの理由だよW。
日本企業はバカマスゴミがセンズリ記事を垂れ流している間に競争力を失ったwww。

2. 2015年7月24日 00:26:53 : 8DFaIxapqM
海外での展開というのもよくしくみを考えるべきなんだろうね。
なにをもってその会社の海外展開なのかを。

僕はネットで海外の商品を買うことがあるが、アメリカの商品化と思って注文したら中国から届いたり、ドイツの商品だと思ったらこれも中国から届いたり、オーストラリアの商品だと思ってたら日本国内から届いたり。

販売拠点がアメリカだけども生産拠点は中国だったとか、現地で生産して現地から販売したいたとか、単に輸入するしくみだったとか、海外で何の部隊がいてどこまでをそこでやるのかとかの仕組みをよく考えずにやるからうまくいかないのではないかな?

現地に日本人つれていって製造させるのか、監督までさせるのか、販路だけ作ってきて商品は日本からもっていくのかとか、現地人で作って現地の市場で販売するだけなのかとか・・・いろいろ仕組みをよく考えてかからないともうかるしくみにならないのではないかな?


3. 2015年7月24日 06:32:33 : 87iPO2IZCE
国内回帰の引き金が円安だとしたら、それだけでもアベノミクスを評価すべきだ。

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