http://www.asyura2.com/15/hasan99/msg/130.html
Tweet |
昨年のNTTドコモのiPhone 6/6 Plus発売記念イベントより。iPhoneのように高額な端末をユーザーが安価に購入できるのも、2年縛りの存在があるからこそだ。
悪名高いケータイの2年縛り、実はメリット大?なくなると料金高騰の恐れも?
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150723-00010003-bjournal-bus_all
Business Journal 7月23日(木)6時1分配信
2年間の契約を前提として端末代や基本料を大幅に割り引く代わりに、契約期間内に解約すると高額な違約金を支払う必要がある、携帯電話のいわゆる「2年縛り」。この2年縛りによるトラブルが多発していることを受け、総務省が携帯電話会社(キャリア)に対し改善を求める報告書を取りまとめた。ユーザーの不満要因のひとつとなっているこの仕組みは、改善に向かうのだろうか。
そもそも、なぜ携帯電話の契約には2年縛りが存在しており、それによって実際どのような問題が発生しているのだろうか。また今回の総務省の方針によって、今後どのように変化すると考えられるのだろうか。まずは、過去から現在に至る経緯を改めて振り返ってみよう。
●2年縛りはどのようにして常態化したのか
2年間の契約を前提に割引を提供するという仕組みは、ソフトバンクの前身であるボーダフォン日本法人が2006年に提供していた割引サービス「ボーダフォン ハッピーボーナス」に端を発しており、その後KDDI(au)が同年に単身者向け割引サービス「MY割」で追随するなど、実は10年以上前から存在しているものだ。だが、その2年縛りが常態化したのには、総務省が07年より主催していた「モバイルビジネス研究会」の影響が大きい。
同研究会では、最近解除が義務付けられたSIMロックの問題に加え、毎月の通話・通信料の一部を販売奨励金として端末の割引に用い、端末を1円、0円など極端に安い価格で販売する手法を問題視していた。同研究会の方針を受け、07年前後より各キャリアは端末代と基本料金の分離を進めていったのである。
結果、当時少なくとも4000円近くはかかっていた携帯電話の基本料が、販売奨励金が差し引かれることで半額近くに値下がりした一方、割引がなくなった携帯電話端末代は、0円から5万円近くに高騰。端末を分割払いするなど買いやすくする工夫をしたものの、携帯電話端末の年間出荷台数が07年から08年のたった1年間で、約5000万から約3000万に激減するという結果を招くこととなった。
そこで各キャリアは、2年間継続して分割払いを続けることにより、毎月の端末代を割り引く仕組みを導入した。この仕組みは、携帯電話事業に参入したばかりのソフトバンクモバイル(現在のソフトバンク)が06年に「スーパーボーナス」として導入したものだが、端末価格の高騰で販売減に悩む他のキャリアもこれに追随したことで、2年縛りの土台が築かれたのである。
さらに07年9月には当時導入されたばかりの、番号を引き継ぎ他社へ契約を変更するモバイル ナンバーポータビリティ(MNP)対策を強化するべく、auが従来提供していた長期割引サービスの「MY割」と、家族割引サービスの「家族割」を統合し、2年契約を前提として基本料を半額にする割引サービス「誰でも割」の提供を開始。
これにNTTドコモが追随したほか、10年にはソフトバンクモバイルが、当時の主力料金プラン「ホワイトプラン」を2年契約必須にしたことで、端末代だけでなく基本料にも2年契約が求められるようになっていった。
●2年縛りのメリットとデメリット
2年縛りにはもちろんメリットもある。ユーザーが2年間、確実に料金を支払ってくれることから、それを前提として基本料や端末代が割り引かれるというのが、最大のメリットといえるだろう。
基本料も10年前は4000円近くかかる上、通話料も従量制であったのが、現在では通話定額がセットで2700円と、大幅に下がっている。また定価では8万円以上する人気の「iPhone 6」も、キャリア経由であればとても安価に購入できる。こうしたメリットを享受できるのも、2年縛りによってキャリアが安定した売り上げを得られるからこそなのだ。
だが一方で、数多くの指摘がなされている通り、2年縛りがユーザーに与える問題点やデメリットも決して少なくない。中でも特に問題視されているのは、解約がしづらい上に解除料が期間を問わず高額だということだ。
2年契約が必須となる料金プランは基本的に2年間解約することができず、どうしても解約したい場合は9500円の解除料を支払う必要がある。この解除料は契約直後であっても、1年11ヵ月が経過した後であっても変化しないため、契約中の解除が非常にしづらいものとなっている。一方無料で解約するには、1カ月間設けられた更新月内に解約しなければならない上、このタイミングを1日でも逃してしまうと、再び解約に9500円の解除料が求められてしまうのだ。
加えて、各キャリアとも2年契約が常態化したことで、2年縛りがない場合の料金を積極的に提示することが少なくなっている。そのため契約者が、実質的に2年縛りが必要なプランを選ばざるを得ない状態になっているのも事実であろう。そうしたことから、解除時期を知らずに解約しようとして高額な解除料が請求されるなど、2年縛りをめぐり多くのトラブルが発生していたようだ。
こうしたトラブルの多さに加え、2年縛りの影響でユーザーのキャリア間移動が進まず、解約率が1%以下と非常に低い水準で推移するなど、主要3キャリアが協調的寡占に陥っていることへの危惧もあり、総務省は各キャリアに2年縛りの改善を求める方針を打ち出したといえよう。
●2年縛りは緩和に向かうのか
総務省が求めた通話料と端末代の分離が実質的に2年縛りの常態化を招き、再びキャリアに改善を要求する事態となっているのには皮肉さを感じさせるが、今回の総務省の動きによって、キャリアの2年縛りに対する対応、そして携帯電話市場はどのように変化していくと考えられるだろうか。
前述の通り、2年縛りはデメリットばかりではなく、長期契約による割引という明確なメリットも存在する。また、2年経過後に自動的に割引契約を解除した場合、突然料金が高騰することで逆に苦情が増えることも考えられる。現在の2年縛りがある料金プランの存在自体が必ずしも問題があるわけではなく、その存在がなくなるとは考えにくい。
だが一方で、2年縛りが料金の選択肢を実質的に奪っており、なおかつ2年以上ユーザーを縛りつける要因となっている点は、改善が求められるところだ。それゆえ今回の措置を受け、更新月の長期化や、2年契約以外の料金プランの選択肢が用意されるなど、2年縛りに関してなんらかの緩和が進む可能性は高い。
実際、総務省が実施した「ICTサービス安心・安全研究会」の第6回会合では、主要3キャリアが更新月を2カ月に延長し、さらに更新月をSMSなどでプッシュ通知するなど、今後、より無料で解除しやすい仕組みを用意するとしている。また最近では、一部キャリアがより縛りの緩い、新しい料金プランを用意するとの報道もなされている。義務化がなされたSIMロック解除のように、キャリア側の対応が進まなければ総務省がより強い措置を取ることも十分あり得るだけに、自主的な努力で改善が進むことを期待したいところだ。
ちなみに、縛りに関しては大手キャリアの問題が指摘されがちだが、総務省が推進しているMVNO(携帯電話会社から回線を借りる仮想移動体通信業者)の側にも、MNPでの転出時に1万円を超える転出料を課すなど、解約に厳しい制約を設けるケースが出てきている。多くのMVNOは、大手キャリアのキャッシュバックを目当てとしたMNPによる短期間での転出を防止するために、縛りや転出料を設けているのだが、これも度がすぎると競争を妨げる要素のひとつとなってしまうだけに、こちらの動向も注視する必要があるだろう。
(文=佐野正弘/ITライター)
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。