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東芝の第三者委員会・調査報告書をどう読む?/東芝の「不適切会計」について書き足りなかったこと(闇株新聞)
http://www.asyura2.com/15/hasan99/msg/125.html
投稿者 五月晴郎 日時 2015 年 7 月 23 日 07:27:32: ulZUCBWYQe7Lk
 

http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-1478.html

2015年07月22日

 東芝は本日(7月21日)の臨時取締役会で、「不適切会計」について第三者委員会から「経営トップが関与した組織的なもの」と断定した調査報告書を受領したことを踏まえ、田中社長、佐々木副会長、西田相談役の歴代3社長が本日付で辞任すると発表しました。

 また同時に16名の取締役(社外4名)のうち、田中社長と佐々木副会長(西田相談役は取締役ではない)を含む8名(社外ゼロ)が本日付けで辞任し、9月下旬に開催される臨時株主総会で新経営陣が選任されるまで室町会長が暫定的に社長を兼任するとも発表しました。

 本日全文が発表された第三者委員会の調査報告書では、2008年度決算(2009年3月期)から2014年4〜12月期決算まで累計で1518億円(これに東芝独自の調査分が別途44億円ある)の「不適切な利益のかさ上げ」があったと算定しています。この間の東芝の税引き前利益は約5800億円だったので(2008年度の約2600億円の赤字もそのまま算入)、その4分の1以上の利益が「不適切」だったことになります。

 また第三者委員会の調査報告書では、「不適切な会計処理」がほとんどのカンパニー(事業本部)で同時並行的に行われておりトップの経営判断だった、各事業本部はトップから厳しい目標を掲げられ必達しなければならないとプレッシャーを強く受けていた、社内には上司に逆らえない企業風土が存在しており「不適切な会計処理」を行わざるを得なかったという「いかにもわかりやすい動機づけ」が行われています。

 さて東芝の「不適切会計」は、巷間で囁かれるように西田相談役と佐々木副会長の確執から本年2月に証券取引等監視委員会に「タレこみ」があり幕が上がりました。5月8日に第三者委員会が設置された後も、東芝は経団連会長(2名)や上場を控えた日本郵政の西室社長らを輩出した名門企業であり、何よりも1兆9000億円もの銀行借り入れがあるため上場廃止を含む大事には至らず、この時期には玉虫色の第三者委員会の調査報告書を受けて「何事もなかったような」IRが発表されているはずと考えられていました。

 そう考えると随分厳しい調査報告書だったように思われますが、この流れをよく読めば「刑事責任は問えない」と言っていることになります。その代わりに田中社長を含む歴代トップの責任を「ことさら強調」して辞任に追い込んだだけでなく、その影響も完全に排除してしまいました。

 証券取引等監視委員会は第三者委員会の調査報告書を受けて、858億円と最も「不適切な会計処理」が大きかった2012年度決算(2013年3月期)を中心に、有価証券報告書の虚偽記載にあたるとして東芝に課徴金を課すように金融庁に勧告するようです。

 つまり課徴金処分(行政処分です)以上の厳しい処分は課さないと言っていることになります。

 また東京証券取引所も上場契約違約金を課すとしており、合わせて「上場廃止にしない」と言っていることになります。

 つまり今回の東芝に対する第三者委員会の調査報告書は、法人としての東芝をしっかり守り、田中社長を含む歴代トップとその影響力を完全に排除してしまった「秀逸」なものです。

 法人としての東芝をしっかりと守った理由は、西室・日本郵政社長ら諸先輩の名を汚さないためと、万が一にも1兆9000億円もの銀行借り入れを毀損させないためです。そして田中社長だけでなく歴代3社長を辞任させた理由は、社内のほとんどがこの3社長の影響下にあるはずなので、これから選任する新経営陣が「すみやかに」社内を掌握できるようにするためです。

 8月中旬に発表される新経営陣の顔ぶれが注目されます。

 どう考えても東芝は(検察を含む)官僚OBと銀行に支配されてしまいます。

 東芝の(良くも悪くも)徹底的に利益を追求する姿勢が完全に否定され、今後はコンプライアンス重視の「行儀のよい」経営となるため、利益水準は低下してしまいます。

 しかし刑事事件化も上場廃止も「無くなったようなもの」なので、株価だけは「何事もなかったように」回復するような気がします。

http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-1479.html

2015年07月23日

 昨日(7月22日)付け「東芝の第三者委員会・調査報告書をどう読む?」だけでは書き足りなかったので、頂いているコメントも反映させてもう1回だけ続けます。

 まず「株主資本に匹敵するのれん・無形固定資産に誰も触れないのは、国や金融機関や何やら大きな力が働いているのか?」とのコメントからです。

 のれんの代表は2006年に英国原子燃料会社(国営)から77%を41.6億ドルで買収したウエスティングハウスの原子力部門ですが、2008年に10%をカザフスタン国営企業に売却し、2013年1月には逆に米国企業から20%を買い増して、最終的に87%を約6000億円で取得しています。資産が2000億円で、のれんが4000億円といわれています。

 ところが2011年3月の東日本大震災に伴う世界的な原子力発電の低迷で、本来はのれんの4000億円だけでなく6000億円全額の減損が必要となっていると思われます。2013年の20%の買い増しは2006年の買収時に付与したオプションを行使されたようです。

 さらに東芝が継続的に収益を上げることを前提に、繰り延べ税金資産も5000億円ほど計上しています。

 つまり今回の第三者委員会の調査報告や、その後で出てくるはずの証券取引等監視委員会が、これらのれんや無形資産などの「資産性」を厳密にチェックしていないのか?とのコメントですが、答えは「まったく」していません。

 まず第三者委員会は「不適切な利益のかさ上げ」の調査を委任されただけで、東芝の資産全体を精査するように誰からも頼まれていなかったからです。意識的に避けたわけでもなく、要するに最初の「タレこみ」に入っていなかっただけです。

 それを受けて出てくるはずの証券取引等監視員会は、独自に過去の決算を調査する権限がありますが、そこは諸般の事情を(特に1兆9000億円も貸し込んでいる銀行の立場を)忖度してか、コトをこれ以上荒立てず課徴金処分で済ませてしまうようです。

 ところが2013年5月には、同じように第三者委員会が調査している最中に証券取引等監視委員会が強制捜査に乗り込み、一気に刑事事件化させたインデックスのケースがありました。インデックスは翌月に民事再生法適用申請に追い込まれたのですが、何と同年9月には(驚異的に早い!)その中核事業がセガサミーに格安で(140億円)で譲渡されてしまい、抜け殻になったインデックスは消滅してしまいました。まあ、良くも悪くもケース・バイ・ケースのようです。

 次が「ライブドアと比較して、東芝はこの間に1兆円も資本市場から調達しているのに問題にはならないのか?」とのコメントです。

 2006年1月に事件化したライブドアは53億円の粉飾決算でした。そのうち37億円はライブドア株を連結対象ではない投資子会社に割り当て、その利益でライブドアの決算を黒字化したものでした。まあ「犯罪か?」と言われれば犯罪ですが、それでライブドアは即刻上場廃止となり堀江社長(当時)ら幹部数人が逮捕され、堀江社長は実刑となりました。

 実はこのライブドア事件より以前の2004年に、全く同じ手法でベルシステム24の株式を使い187億円も決算を粉飾していたのが日興コーディアルでした。日興コーディアルはライブドアとは比べ物にならない専門知識を駆使し、社長(当時)が主導した「かなり悪質な会社ぐるみの粉飾決算」だったのですが、なぜか全く事件化しませんでした。

 東京証券取引所は早々に「会社ぐるみではなく悪質性はない」との奇怪なコメントとともに上場維持を決めてしまい、証券取引等監視委員会はその間に日興コーディアルが500億円の社債を発行していたので1%に相当する5億円の課徴金を課しただけでした。2010年11月17日付け「ライブドアよりはるかに重大なのに課徴金で終わった日興コーディアル」に書いてあります。

 さて東芝ですが、「不適切な利益かさ上げ」が行われていた期間に1兆円をこえる社債を発行しているため、規定では2.25%(225億円)の課徴金が課されるはずです。しかし「粉飾決算」ではなく「不適切会計」としてしまったため、何か別の規定を適用してはるかに軽微な課徴金で終わるような気もします。

 要するに経済事件とは、事件化するのかどうかも含めて、悪質性とは全く違ったレベルで落としどころが決められるもののようです。

 最後に最も重要なポイントですが、いろいろな周囲の思惑はあるにしろ「トップが主導した組織ぐるみの利益かさ上げだった」と断定してしまったことは、東芝にとってあとあと海外投資家からの損害賠償請求だけでなく海外事業の推進を大変不利にしてしまったことは間違いありません。  

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コメント
 
1. 佐助 2015年7月23日 08:14:39 : YZ1JBFFO77mpI : KTZjxPAPgA
内閣の土台が保てなからです
そしてこの現象は東芝やシャープだけではありません
続々と財閥系の大企業の消失劇を体現します。犯人は蜃気楼化された経済指数が正体です。

会社設立資本金は見せ金(借りてスグ返す)でもバレることはマレである。そして株式自身が、額面50円株が5000円でも売買されるので、最も信用膨張係数の高い金融商品となっている。そして、株券を持たなくても、カラ売りカラ買いができる。上場株価の平均指数にすぎないダウやニッケイとよぶ平均株価指数でさえ売買可能である。

これらの金融商品の売買行為は「値上がり益を狙うのが目的ではない。変動リスクを軽減するための手段だ」と、自分も神様も信じないウソを、ぬけぬけと言い張ることを許す不思議な空間である。この空間は、プライバシー保護に守られ、そのベニスの商人的犯罪は一切追及されない。

少しだけ犯罪が公開される時は、バブルの英雄の転落の立証に、必要最低限の一幕だけと考えてよい。全幕が公開されれば、内閣の土台は保てない。

こうして、株式バブルの膨張係数は、一時的に足踏みしても「上昇するから買う」の繰り返しさえ妨害されなければ、宇宙よりも大きく膨らませることができる。しかし貧乏人には我慢、金持ちには借金棒引き・救済では、バブルの発生は避けらないし、回復する時間を長期化させます。

しかし今回の世界恐慌で日本の有名大企業は、馬鹿政府のてこ入れにもかかわらず、消失・消滅する。そして、生き残った企業も、既存店の売上や国内販売の売上高の低下を解消できないまま、経済指数三分の一以下という長期不況に突入しなければならない。

2007〜10年に世界金融大恐慌のスタートが、不可避だったのは、人間がバブルに巻き込まれ財産を失うのも、ムズムズ(機会損失)の心理法則に支配されるためだ。そこで、ムズムズの法則に言及しておこう。なぜなら、この経済常識を否定する論文を読んだ人の3%ぐらいは、バブルに巻き込まれる不幸から逃れられるかもしれないからだ。

人類がはじめて体験する金利ゼロを我慢してきた日本人を、先祖の遺言で固く拒絶してきた投機に巻き込むのも無理はない。かくて、国家予算の二倍もの150兆円の個人資産は、山頂から崩落する溶岩のように、一気に流出する。

ナゼ、日本だけが、90年代に経験した失われた10年間の苦痛を、再び10年以上も経験しなければならないのか? 今度の苦痛は、いざなぎ景気越えの見かけの景気をともなわない。なぜなら、見かけのいざなぎ景気越えは、国内市場の縮小を海外市場の拡大によってカバーされた、蜃気楼化された経済指数が正体だからだ。

それは、ドルのキン離れによる世界の信用膨張で、最も恩恵を受けた国が日本だからだ。そのため、日本は、最大の打撃をこうむる。


米国を襲った30年代の大恐慌が、各産業のトップ企業を入れ替え、次の時代をリードする企業を誕生させ急成長させた。1950年代以降の世界的企業の多くは、1930年代をチャンスにして登場した企業なのだ。同じことが起きます。

カジュアル期(2000-2020年)は、新しいルールを受け入れ、古いルールを破壊する社会的心理が多数派となる。そこで、新しいカジュアル商品と、新しい技術商品の市場の普及が加速される。そのために、先覚商品市場の打撃は、更に軽減される。

新テクノロジーと新スタイリングの商品は、景気後退期でもスーパーバブル期でも、市場の縮小度が軽減され、成長テンポは減速するが市場は拡大する。

だから、慣習期の商品にあぐらをかき、市場拡大のインパクトのある商品を開発できなかった企業は、縮小&倒産は避けられない。

従って次世代産業革命へ大胆にシフトすると世界の技術革新をリードし、全産業を活性化させることができます。又、第二次産業革命に早期シフト企業は、大不況下でビジネスを飛躍できます。抵抗する大企業は解体し再生すべきです。特に原発企業を解体しないと大変なことになります。

次世代産業革命とは「放射能・CO2を発生させない動力」への転換革命です。このエンジンレスに成功した巨大な産業・企業が自動車だけでなく誕生するはずです。


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