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焦点:ドル/円が「黒田ライン」に接近、TPP合意なら突破も
http://jp.reuters.com/article/2015/07/21/kuroda-forex-dollar-idJPKCN0PV0Q620150721
2015年 07月 21日 17:28 JST
[東京 21日 ロイター] - ドル/円が、いわゆる「黒田ライン」に迫ってきた。124円半ばは黒田東彦日銀総裁の発言で約2円急落する前の水準であり、要人発言への警戒感が強まっている。
一方、突破口となり得るのが、環太平洋連携協定(TPP)だ。交渉決着までは口先介入への警戒が残るものの、合意に至れば、政治的圧力は緩和され、節目突破の圧力が強まりやすいとの見方も出ている。
<125円接近、当局発言に神経質>
「トラウマ」──。そう表現する市場関係者もいる。
6月10日の衆院財務金融委員会で、黒田総裁は、当時の円安進行に関連して「実質実効為替レートでは、かなり円安の水準になっている」としたうえで、「ここからさらに実質実効為替レートが円安に振れるということは、普通に考えればありそうにない」などと発言した。
外為市場では、これを「円安けん制」と受け止め、124円半ばで堅調に推移していたドル/円は、122円半ばまで急落した。「円安容認とみられていた黒田総裁の発言だけに大きなサプライズとなり、それまでの円安基調にストップをかけた」(国内銀行ストラテジスト)という。
その後、黒田総裁自身が円安けん制の意図はなかったと説明、いったんこの議論は下火になっていたが、週明けの市場でドル/円が124円半ばまで上昇。外為市場では「黒田ライン」が再び意識され始めている。
足元では、ギリシャ問題や中国株下落などへの懸念が一服。米国の利上げに目線が移り、ドル買いが優勢になりやすい地合いとなっているが「125円は政治的な領域。124.50円以上の水準では、いつ日米サイドからけん制発言が飛んできてもおかしくない」とIG証券のマーケット・アナリスト、石川順一氏は話す。
<政治的圧力>
政治的圧力が緩和するかどうかの1つのポイントとみられているのが、TPPだ。米通商代表部(USTR)は7日、TPP交渉に参加する12カ国の閣僚会合を今月28─31日にハワイのマウイ島で開催すると発表した。TPP交渉は同会合で最終段階に入る見通しだ。
クレディ・アグリコル銀行のエグゼクティブディレクター、斎藤裕司氏は、TPPが大筋合意に至れば、為替はより自然な流れに任せられるようになるとみている。「米利上げ観測の台頭で米金利が上がればドル/円は素直に上昇しやすい。黒田ラインも意識されていたが、それほど関係なくなるのではないか」という。
TPPについては合意内容が確定しておらず、不確定要素もある。ただ、中長期的には日本経済にとってプラスとみられている。TPPが合意されて関税障壁、非関税障壁が大幅に削減された場合、2025年時点の日本の国内総生産(GDP)は、そうでない場合に比べて1.2%多くなるという試算もあるという。
みずほ銀行のチーフマーケット・エコノミスト、唐鎌大輔氏も、TPPが大筋合意すれば、基本的に為替に対するけん制は出にくくなるとみている。「この2年間、アベノミクスにとっていい材料は、ほとんど円安と株高で処理されてきた。構造改革のパッケージであるTPPがまとまれば、アベノミクス前進と受け止められるのではないか」と指摘。円安で反応しそうだという。
<円安けん制に残る警戒感>
ただ、要人からの円安けん制発言が出やすい環境は、まだしばらく続きそうだ。
日本では安全保障関連法制の審議や新国立競技場の予算問題により、世論調査で安倍晋三政権の不支持率が支持率を上回る結果も複数出てきた。一段と円安が進めば、輸入物価の上昇を通じて、さらに支持率低下を招く可能性もある。
政府・与党にとって、さらなる円安は来年に控える参院選での逆風にもなりかねない。「日本国内の内政面の事情から、TPPで大筋合意しても、けん制発言が出てくる可能性は捨てきれない」(クレディ・アグリコルの斎藤氏)との声もある。
(杉山健太郎 編集:田巻一彦)
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