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円安で景気は良くなるのか 日本のバーゲンで外国人喜ぶだけ
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150720-00000010-pseven-bus_all
週刊ポスト2015年7月31日号
「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」を「3本の矢」とした第2次安倍政権がすすめたアベノミクスは、うまくいっているとばかり喧伝されがちだ。そのうちのひとつに、円安で景気が良くなるという言い方があるが、本当だろうか。経済学者で投資家でもある小幡績氏が、円安で景気がよくなるという言説のからくりと真相を解説する。
* * *
安倍政権成立が確実視された2012年の衆議院解散時(11月16日)の1ドル=80円の水準から、今年6月5日の一時125円台まで、円の価値は40%程度下落しました。
円安で「日本企業が復活」と政府や新聞・テレビは歓喜しています。本当に喜んでいいのでしょうか?
円安で一部の企業の利益は増えました。しかし、これは米国に輸出して3万ドルで売っていた自動車が、1ドル=80円なら240万円、120円なら360万円、と円ベースで見た価格が上昇したことによって円ベースの売り上げが増えただけです。輸出「台数」が増えなければ、国内生産も、国内雇用も増えないので、実質的には意味がありません。
一方、海外子会社の利益の円換算額も増えています。10億ドルの利益は1ドル=80円なら800億円ですが、120円なら1200億円です。この分、利益が膨らんでいるように見えるのです。
しかし、国内の生産も雇用も増えていませんから、円建ての企業収益が改善しても、それほどプラスの効果はありません。
一方、円安により生活コストは急騰します。原油も小麦もドルで国際的に価格が決まっていますから、円での価格は1.4倍になり、輸入物価が上昇してしまいます。必需品が値上がりして生活は苦しくなります。
この輸出と輸入のプラスマイナスでどちらの影響が大きいかというと、トータルでは必ず輸入価格上昇の損の方が大きいと経済学上わかっています。
さらに、私たちの資産はほとんどが円建てですから明らかな損失で、国富総額(国の資産総額)も一人あたりの国民所得も、40%目減りしてしまったのです。
政府は観光業収入が増えたと胸を張っていますが、それは「4割引きの大バーゲンセール」をどう考えるかによります。
1泊1万2000円のホテルは、海外から見ればかつて150ドルだったのが、今は90ドル台です。お土産もすべてそう。4割引きなら行かなきゃ損、買わなきゃ損、ということで「爆買い」が至るところで見られます。日本に失業者が溢れていれば別ですが、みな、他のお客さんへの仕事を犠牲にして、海外からの観光客にバーゲンセールを行なっています。
つまり、国内消費者の私たちに商品は回らず、観光客だけがおいしいもの、良い商品を安く買っていくのです。日本ファンは増えるでしょうが、日本人は確実に貧しくなっています。
象徴的なのが不動産です。香港やシンガポール、台湾の個人が、1億円のマンションを5戸も10戸も買い、一番良い間取りの3億〜5億円の部屋も彼らが全部買います。最も良いものの多くは彼らが4割引きで買い、日本人の手には入らなくなってしまいます。温泉もスキーリゾートも、水資源も同じです。喜ばしいこととはいえません。
●小幡績(おばた・せき)1967年生まれ。1992年東京大学経済学部卒、大蔵省(現・財務省)入省、1999年退職。2003年より慶應義塾大学大学院経営管理研究科准教授。『円高・デフレが日本を救う』など著書多数。
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