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出版崩壊の序曲?老舗取次が破綻!出版社に“多重の苦しみ”与える再建策に業界猛反発(Business Journal)
http://www.asyura2.com/15/hasan98/msg/834.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 7 月 19 日 00:27:00: igsppGRN/E9PQ
 

出版崩壊の序曲?老舗取次が破綻!出版社に“多重の苦しみ”与える再建策に業界猛反発
http://biz-journal.jp/2015/07/post_10791.html
2015.07.19 Business Journal


栗田出版販売が民事再生手続きの申請を債権者へ通知する文書

 6月26日午後3時頃、出版社の営業担当者が東京・神保町の某ビル7階に集まり始めた。そこは出版取次4位、栗田出版販売のオフィスである。同社の仕入れ担当者を呼び出すものの、返答は要領を得ない。続々と人が集まり、最終的にフロアは40人近い人であふれ返った。事態を見かねた栗田側は改めて状況説明をすると言い、詰めかけた人々を8階会議室に誘導。それから、約1時間半すぎの午後5時頃、民事再生の申請資料と大阪屋からの支援表明の書類が一斉に配られた。

 栗田が民事再生を申請したことが確認された瞬間だった。負債総額は約135億円で、債務超過額は約30億円。2001年に自己破産した専門取次・鈴木書店を超える取次会社としては最大の破綻事案となった。
 
 栗田から配られた資料【編注1】に大きな疑問を見つける出版社が続出した。それは、栗田からの返品方法に関する次の箇所だった。

「平成27年6月26日以降の返品分につきましては大阪屋様の買掛金支払いと相殺させていただきたく」

「申立日である平成27年6月26日以降は、同日搬入分以降の請求分との相殺となるため、6月25日以前の仕入れに伴う債務との相殺処理はできないことになります」

 出版業界関係者でもわかりづらいこの文言は、以下のような意味である。

 まず、民事再生や自己破産などの法的整理は申請が受理されると、当該企業の債権債務がいったん凍結され、破産管財人や監督委員、裁判所の同意なくして資産や負債を勝手に動かすことができなくなる。栗田も同様で、6月25日までの債権債務はいったん凍結された。出版社からすれば、栗田から入金される予定だった売り上げ(売掛金)が当面入ってこないのである。そのために、新たな資金繰りを余儀なくされる出版社が出てくる可能性もある。

 そういう状況下に出版社を置いた上で、栗田と大阪屋は、(26日以降は新取引のため)破たん以降、栗田からの返品分は栗田の口座にお金がないので、支援元の大阪屋が出版社に支払うお金から控除する――そう提案してきたのである。

 もっと要約すれば、これまでの債権(出版社側からみれば売掛金)は凍結するが、債権に含まれる商品も交えて返品するので、その分は大阪屋が出版社に払うお金から天引きするというものだ。ある出版社の経営者は言う。

「経営者や経理担当者なら、このいびつで偏った提案にはすぐに気付きますよ。売掛金は戻ってこない、そのくせに返品だけは引き取れという。返品代金の中には凍結された債権の書籍もある。返品を引き取れば、大阪屋の売り上げから差し引かれてしまう、こんな2重、3重の負担を、よくも出版社に強いようという気になったものだ。栗田さんとは長年一緒にやってきた仲間だと思っていたが。本当に信じられない」
怒号も飛び交う債権者説明会


 業界が騒然とする中、7月6日午前9時、債権者説明会の会場である東京・銀座のベルサール汐留には、すでに300人くらいが列をなしていた。結果的として1500人近い業界関係者が集まったが、その規模は毎年新春に開かれる出版取次最大手のトーハン、日販の新年会に匹敵する。

 債権者説明会では、栗田側が提示した返品方法をめぐり紛糾。質疑応答で2時間半を超える長丁場となった。「返品方法の提案を撤回せよ」「再生スキームを撤回せよ」「できないんだったら、破産しろ」などの怒号も飛び交った。

 しかし、栗田側は最後まで撤回しなかった。ただ、「一部の債権と返品とを相殺することを検討している」と返品の質問が出るたびに繰り返し、出版社への妥協案を提示するだけだった。最後のセリフはお決まりの「貴重な意見として参考とする」といって流した。しかも、応答はほとんどすべて弁護士が対応。その状況に、栗田に対して当初は同情的な視線を送っていた親しい出版社も呆れていた。この説明会に出席したある出版社の経営者は言う。

「書店のため、読者のために商品供給をしてほしいと言っているが、出版社からすれば栗田が書店をたてにして、商品を要求しているようにしかみえない。そういう情に訴えかけるような言い方だった。さらに弁護士は、私たちが提案するスキームを出版社が呑まないと、栗田は破産して、書店や読者も困ってしまう。栗田が破産すると配当は減り、よいことはない、だからこのスキームに協力してほしいという繰り返しだった。はっきり言って、栗田がなくなっても本の流通にはそれほど影響はない。書店や読者が困るのも栗田の責任だ。出版社に責任転嫁するのはいかがなものか」

■不自然な民事再生


 その一方で、今回の民事再生で不自然な点を指摘する声も出ている。出版社の営業担当者は言う。

「今年の東京国際ブックフェアが始まった頃の7月2日に、栗田の債権者リストがインターネット上に流れた。東京商工リサーチが債権者リストを同日から販売していたのだが、それをネットで流した人がいたようですね。そのサイトは現在消滅していますが、おかしなことにそのリストには、金融機関が一切載っていないのです。ただ、記載された内容の真偽について債権者説明会で聞くと、申請代理人は特殊なケースだとしつつも、それを認めました。つまり、金融関係の債権者がいないというのです」

 栗田は説明会で破たん理由について、本社社屋など担保にできるものをすべて売却したために、新たな融資を得られずに資金繰りが行き詰ったと説明していたようだ。

 また、別の業界関係者も今回の再生スキームについて疑問を投げかける。

「栗田の民事再生の裏には、小学館、集英社、講談社の大手出版社3社が関与しているとみられている。栗田のスポンサー候補として出版共同流通の名が挙がっているが、この大手3社が同社に資金を出すというかたちを取るのではないか。3社は栗田支援の雰囲気を業界につくり上げようとしている。破たん当日には、トーハンや紀伊國屋書店に3社が自ら出向いて、状況を説明したと聞いています。こうした一部の大手出版社だけが裏で栗田支援の枠組みを決めていることが、返品問題も伴って他の出版社の不信をあおっている」

■出版社離れ加速

 さらに、ある取次関係者は言う。

「栗田は債権者説明会で、事態は最小限の混乱にとどめたといっていたが、現実には出版社は返品問題もあり、栗田への出荷を止めたり、返品を逆走したりしている。それも相当な数です。取次会社と関係を持つ一部の倉庫会社が、出版社に出荷の依頼をするなど栗田支援を働きかけ始めているが、こうした動きが出るのも、栗田帳合(栗田から商品を仕入れる書店)への商品供給が滞っているからだ。現に、栗田帳合の書店は、トーハンとダブル帳合の店が多いので、トーハンに書店が駆け込んでいるとも聞く。さらに日販のトラックが、栗田帳合の書店に荷物を運んでいるとも聞こえてきます。7月7日には大阪屋から改めて出版社へ出荷を求める通知が出されるほど、事態は深刻だ。このまま迷走を続けるならば、栗田の再建は危ういだろう」

 さまざまな意見が飛び交っている最中だが、結局どれをとっても出版社に多重の苦しみを与える栗田再建策。その手法をトリッキーと評する出版社もいたが、このスキームを前提にした再建策は1歩目から躓いた。

 ある出版社の営業幹部は、今後の成り行きを冷静に見据えている。

「栗田の再建にはある程度の金額がかかる。だが、実は半年後に大阪屋に統合されることになっているので、今の栗田とわざわざ取引を継続する必要はない。あえて火中の栗を拾う必要はないのです。いずれ、栗田帳合の書店も大阪屋帳合となる。商品が滞るならば、書店側も他の取次に帳合を変更すればいい。少なくとも私はいまの栗田と取引するつもりはありません」

 出版関連の業界団体である日本出版者協議会は、栗田のスキームの撤回を求める声明を発表し、今回の再建策に徹底抗戦する姿勢を見せている。さらに、団結して質問状を提出したり、再建策を阻止することを狙っている出版社もいるようだ。業界全体の反発を受け、思い通りに事を進めることができない栗田は最近、出版社をまわって返品問題解決のための検討をしていると説明し始めた。

 取次会社の民事再生は初のケース。まだまだ、新たな章の幕が用意されていそうな気配だ。

(文=佐伯雄大)

【編注1】「栗田出版販売株式会社の民事再生手続き開始申立てに伴う実務上のご対応に関するお願いにつきまして」「栗田出版販売(株)民事再生手続き開始の申立てについて」「ご連絡(弊社民事再生手続き開始申立について)」「栗田出版販売(株)民事再生申立にともなう表明」など栗田の民事再生手続き大阪屋が支援表明する内容の書類


 

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コメント
 
1. 2015年7月20日 10:23:10 : 9Rl1jJIGHM
日本の書物流通は、世界的に見ても特殊な形態である。

出版取次
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%87%BA%E7%89%88%E5%8F%96%E6%AC%A1

●当方が解説するよりも分かりやすく書かれているので、一部転載します。

(一部引用)

歴史

明治の初めは出版社や書店が取次を兼業していたが、雑誌販売の増加に伴って専業取次が現われる。

大正時代には雑誌・書籍を取り扱う大取次、書籍を地方まで運ぶ中取次、市内の書店を小刻みに取り次ぐ小取次やせどりやなどへと分化しており、その数も全国で300社余りもあった。

1941年、戦時統制の一環として全国の取次が強制的に解散させられ、日本出版配給(日配)に統合されてしまい、この時点でそれまでの取次はほとんど消滅した。戦後の1949年に日配は解体され、現在も続く取次会社の多くがこの頃に創業している。

取引形態は当初は買い切り、値引き販売が基本だったが、
1909年 - 実業之日本社が雑誌の返品制(委託販売制)を初めて採用して成功を収め、以後他社も追随して雑誌の返品制が確立する。
1919年 - 東京書籍商組合が定価販売制を導入。
1926年 - 円本時代始まる。書籍の大量流通が始まって雑誌流通と一体化、書籍の返品制が始まる。
1953年 - 再販制度制定。

という流れを経て、書籍・雑誌流通の一体化、返品制、定価販売制という現在の方式に移行している。この方式は大量生産、大量流通を可能にした。

これ以後、日本の経済発展に合わせて出版も規模を拡大、取次も成長していく。

ところが定価販売制の元では価格競争が起こらず、流通システムの効率化がなかなか進まなかった。その結果が書店の過剰出店や返品の増加となって現われ、近年の出版不況とあいまって、書店や出版社だけでなく取次をも苦しめている。

(引用終了)

●この出版取次制度は、軍国主義、言論統制、国家総動員法と密接に関わっている。国体護持に反する左翼の出版物を流通させないために、この制度ができたとか。これが戦後も続いた。これを「1940年体制」と言う。

1940年体制を唱えた野口悠紀雄氏の解説です。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%8E%E5%8F%A3%E6%82%A0%E7%B4%80%E9%9B%84

●新聞の統合も、同じ目的を持って行なわれたそうです。その1940年体制を突き崩したのが、インターネットの普及です。これで本が売れなくなった。書店も出版取次も崩壊します。でも、これは時代の流れです。


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