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競争力で劣る日本の海運企業は、海外大手からの価格攻勢に耐えられるか
コンテナ船、欧州航路が最安値に沈んだ理由 バラ積み船が底入れの一方、展望は厳しい
http://toyokeizai.net/articles/-/77001
2015年07月18日 岡本 享 :東洋経済 編集局記者
海運業界の市況低迷が深刻化している。鉄鉱石や原料炭、穀物を運ぶバラ積み船市況は、ようやく底入れしつつあるものの、今度はコンテナ船市況が底割れしているのだ。
コンテナは規格化された直方体の箱で、貨物を入れて運ぶ。陸海空と複数の輸送工程を、同じ荷姿で届けられる点が強みで、コンテナ船はそれを運ぶ定期専用船だ。荷動きは主に米国や欧州の景気に左右される。家具や衣料、電気機器、自動車部品などが、生産拠点であるアジアから欧米へと運ばれるためだ。
■ 約6年ぶりに最安値を更新
“危機的”と指摘されているのはアジア発欧州向け航路である。一時はコンテナ1個(1TEU)当たり約200ドルと、今の運賃算定方式を始めた2009年10月以来の最安値を更新。前年の水準を8割下回る。
ユーロ圏で在庫が積み上がり、ロシア向けの荷動きが鈍ったうえ、大型船の竣工が重なったことが響いた。既存船の代替が大半ながら、船腹供給量が増えた結果、採算ラインの1400〜1500ドルを大きく割り込んでいる。
欧州向けコンテナ船の平均輸送能力は、1万1500TEU。一方の柱であるアジア発北米向けの平均7000TEUより大型化している。北米航路はパナマ運河を通るため船の大きさが限られるのに対し、欧州航路は大型船を導入しやすい。大型化すれば、ほぼ同数の乗組員で運航できるため、コストを圧縮できる。ただ、各社が一斉に大型船を導入したことで、稼働率を引き上げるための集荷競争が激化している。
コンテナ船市況は季節要因で大きく動く。毎年7月ごろからはクリスマス商戦向けの輸送需要により運賃は上昇しやすい。それでも欧州航路は、「今年は1000ドルに届くかわからない」という声が上がっている。ギリシャ危機も不安要素だ。
日本郵船、商船三井、川崎汽船など、日本の海運大手は1年単位で運賃価格を決める契約が多い。が、契約更新はその時の市況が反映されるので、現在の低迷状況が続けば、中期的な業績に響いてくる。
■ 世界最大手の海運会社が攻勢
しかし、世界トップクラスのAPモラー・マースク(デンマーク)などは、船価の下落を好機ととらえ、2万TEUクラスの超大型船を追加発注し価格競争を仕掛けている。マースクは、2010年に世界で初めて1万8000TEU型を竣工させてコスト圧縮で先行し、前2014年12月期は50億ドル超の過去最高純益をたたき出した成功体験を持つ。
バークレイズ証券の姫野良太バイスプレジデントは「マースクは仮に今期赤字へ陥っても、数年単位で利益を拡大させられればいいと判断している。このまま競争力格差が広がれば、世界では下位レベルの日本企業はふるい落とされる」と見通す。
コンテナ船事業は他事業をグローバル展開する拠点にもなるため、そう簡単に撤退することはできない。しばらくは世界最大手の攻勢に耐え忍ぶ局面が続きそうだ。
(「週刊東洋経済」2015年7月18日号<13日発売>「価格を読む」を転載)
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