http://www.asyura2.com/15/hasan98/msg/755.html
Tweet |
企業の浮沈は社長にかかっている
帝国データバンクが明かす 「会社をつぶす社長」の10大トレンド
http://diamond.jp/articles/-/74861
2015年7月15日 ダイヤモンド・オンライン
長く生き残る企業と消えてしまう企業が分かれる決定的な差は、「社長の資質」に他ならない。あなたの会社や取引先の会社の社長は、大丈夫だろうか。国内最大手の信用調査会社・帝国データバンクで長年、企業の信用調査に関わり、このほど著書『「御社の寿命」あなたの将来は「目利き力」で決まる!』を上梓した藤森徹・情報統括部長が、「危ない社長」を見極める方法を徹底解説する。藤森部長が6月にダイヤモンド・オンラインへ寄稿した記事「危ない会社を見抜く『目利き力』養成講座」は、読者から大きな反響を得た。今回はその続編として、「経営者の資質」をクローズアップする。(構成/中村宏之・読売新聞東京本社調査研究本部主任研究員)
■あなたの会社や取引先は大丈夫?「会社をつぶす社長」を見抜く法
長く生き残る企業と消えてしまう企業が分かれる、その決定的な差は何か――。様々な考え方があるでしょうが、最終的には社長のリーダーシップとその力量に行き着くのではないでしょうか。
最近も、投資判断の誤りから業績が急速に傾き、大規模なリストラを迫られている企業や、決算の数字を意図的に操作して損失先送りを積み重ね、広範囲にわたる不適切会計が問題となっている企業など、社長に起因する問題を抱えた著名企業が相次いでいます。まさにトップの判断ミスが、企業経営の根幹を揺るがす事態を招いているのです。中小企業でもずさんな経営は後を絶たず、社長の資質は以前にも増して厳しく問われています。
自分が勤める会社や取引先の会社の経営者がまともかどうかは、ビジネスマンにとって把握しておくべき最も重要なことの1つです。今回は、危ない会社の危ない社長はどんな特徴を持っているのかについて、詳しく解説しましょう。
帝国データバンクでは、全国にいる約1700人の調査員が、調査依頼のあった企業を直接訪問し、社長や経営幹部に面会するほか、社内の様子、人や荷物の出入りなども細かくチェックしています。また、決算書などの財務諸表の分析や業績のヒアリング、会社登記情報、取引先の評判などをまとめて、企業の成績表とも言える「点数」(評点)をつけています。
では、帝国データバンクはどのような観点で企業の信用状態を調査し、判断しているのでしょうか。そのポイントを解説しましょう。
企業情報には@定量情報、A定性情報の2つがあります。@の定量情報とは「数値化」できる情報、具体的には決算書など財務諸表から読み取れる情報です。「定量分析」とも言いますが、過剰な在庫などの項目に特に注目しています。こうした項目は、粉飾によって覆い隠されることが多いからです。一般的には、「自己資本比率が5%未満」「二期連続赤字」「月商の6倍を超える借金」などのポイントが出ている会社は、要注意です。
一方、Aの定性情報についての基準はありません。なぜなら「定性」とは主に「社長の評価」だからです。企業を成長させるのもつぶすのも社長とすれば、定性情報が果たす役割は非常に大きいと言えます。
■実は多い決算書が読めない社長 「まじめ」で「堅実」な社長も危ない
ふじもり・とおる
1963年生まれ。兵庫県出身。関西大学卒業。帝国データバンク情報統括部長。スポーツ用品メーカーを経て、1992年帝国データバンク入社。2006年福岡支店情報部長、2010年から現職
ただ、十人十色、手練手管、百戦錬磨の社長をどう判断・評価するのかは、とても難しいところです。とはいえ企業倒産の現場や、経営が傾いた企業の社長に接するうちに、一定の傾向が見えてくるのも確かです。「危ない会社の危ない社長」は、どんな特徴を持っているのでしょうか。
一例を挙げましょう。信じられない人もいるかもしれませんが、この時代に決算書が読めない社長が少なからずいるのです。400年の歴史があった大阪市内のある高級食器販売会社の社長は、在庫の数がわからず、決算書も読めず、取引銀行が相談しても「お宅は創業何年なのか。うちは400年だ」というばかりで聞く耳を持たず、結局、銀行側にさじを投げられてしまいました。
また、最近の倒産を見ていると、実は「まじめ」で「堅実」な社長が会社をつぶす、という傾向が見えてきます。中小企業のうち約30万〜40万社が借入金の返済がうまくできていないのですが、これらの会社は金融機関に借入金の返済条件を緩和してもらって経営を続けています。これら企業は経営を立て直すために「経営改善計画書」を提出していますが、金融機関が求めるのは主に人員削減を中心とする「リストラ」です。前述のように大企業であっても、巨額の赤字を出せば、数千人規模の人員削減を迫られます。
ところが「まじめ」で「堅実な」社長は、どうしてもリストラに躊躇してしまいます。人情に弱く、人員削減の決定ができないのです。結果的に赤字が解消できず、銀行からも見放されてしまう中小企業の社長は少なくありません。
■5つの「弱い」と「ない」に注目!「会社をつぶす社長」の10大トレンド
ここで、実際に倒産した会社の社長の特徴を整理してみましょう。その特徴は、5つの「弱い」と、5つの「ない」にまとめることができます。まず、5つの「弱い」については、以下のような特徴があります。
@数字に弱い
前述のように、「数字に弱い」社長の存在が、倒産する企業の典型的な特徴です。国税庁によると、中小企業の7割以上が赤字と公表されていますが、会社が赤字になっている理由がわからない経営者が実に多いのです。自社の取引先の状況を説明できなかったり、経理や財務を部下に任せきりにしたりしている社長は、要注意です。
A朝が弱い
「朝が弱い社長」は、朝一番に調査に訪れても社長がいない会社です。従業員に社長がいつ来るのか尋ねても、たいてい「わかりません、来ても昼からです」となります。こうした会社は、まず儲からないと言えます。
B決断力が弱い
「決断力が弱い社長」は、物事を「やめる」決断ができない社長です。たとえば、設備投資を決断することはどんな社長でもできますが、重要なのは状況に応じて中止することです。ダメとわかれば赤字を出す覚悟で撤退する決断は、経営に不可欠な素質です。
Cパソコンに弱い
「パソコンに弱い社長」は、現在のIT(情報技術)社会では、言わずもがなでしょう。今の時代、パソコンで何ができるのかを知らないと、顧客や市場の変化に乗り遅れる可能性は大きいと言わざるを得ません。
D人情に弱い
「人情に弱い社長」は、先ほど述べたとおりリストラができない社長です。
続いて5つの「ない」については、以下のような特徴があります。
@計画性がない
「計画性がない」社長は、「いつまでに、どれだけ、どうやって」、という仕事の基本となる3つの計画を立てられず、それを社員にきちんと説明できません。いわゆる「ドンブリ勘定」の経営者です。
A情報がない
「情報がない」社長は、社内の特に悪い情報が伝わらず、足元をすくわれるケースがあります。幹部社員の引き抜き、不正取引などが原因となる倒産は多いですが、ほとんどの場合、社長が「知らなかった」となる。ことが起きてからでは遅いのです。
Bリーダーシップがない
「リーダーシップがない」社長は、人材育成に難がある社長です。「俺についてこい」と言うだけが指導力ではなく、現場の部下の話を聞いてしっかりと人を育てられるかどうかが問われています。今は、人手不足が倒産につながりかねない時代なのです。
C危機感がない
「危機感がない」社長は、自分の会社がつぶれる夢を見たことがありません。危機感のない幹部、社員が赤字を放置します。成功した社長は、絶えず緊張感を持って経営にあたっています。
D人脈がない
「人脈がない」社長は、異業種の社長とつながっていない経営者です。イザというときに頼れて相談できる関係は絶対に必要です。相談相手を間違えたために不幸にも倒産してしまったケースの多くには、会社資産を食い物する「整理屋」と呼ばれる人物が介在しています。
■今の時代ならではのリスク 社長の高齢化で縮む会社の寿命
さらにもう1つ、今の時代ならではの「危ない社長」を見極めるポイントを、詳しく解説しておきましょう。特に中小企業に言えることですが、それは「社長の年齢」です。帝国データバンクの『全国「休廃業・解散」動向調査2014年』によると、2014年の「休廃業・解散」は2万4106件で、このうち経営者の年齢が「70歳以上」の構成比は10年連続で前年を上回りました。また、全体の約1割が「80歳以上」という結果が出るなど、経営者の高齢化が深刻さを増してきています。
自身の高齢化に伴い、事業承継するのか、廃業するのか、選択を迫られる経営者も多くなっています。
帝国データバンクは、2014年12月末時点の企業概要ファイル(約150万社収録)から「株式会社」「有限会社」114万4167社のデータを抽出し、社長の年齢と2014年の1年間における社長の交代状況について、分析しました。それによると、次に述べるような特徴が出てきます。
●平均年齢は59歳、
社長の高齢化が止まらない
社長の平均年齢を見ると、2014年は59.0歳と過去最高を更新しました。比較可能な1990年以降、一貫して上昇を続けており、社長の高齢化が進んでいる実態がわかります。社長交代率(1年の間に社長交代があった企業の比率)を見ると、2014年は 3.83%となり、2年連続で前年を上回りましたが、依然として低水準に止まっています。
●70歳を過ぎると
増収増益の達成は難しい?
帝国データバンクの集計では、40歳前後の社長がいる会社が増収増益を達成するケースが一番多く、なだらかに減る形で50代、60代がそれに続きますが、70歳を超えるとその割合ががくんと下がります。ここに「70歳の壁」があると言えます。
ちなみに、企業倒産の年齢の内訳を見ると、70歳以上の社長が10年前と比べて2倍以上に増えています。2000年代は、40代から50代の社長による過剰投資などの無理な経営が倒産原因の中心になっていましたが、最近は70歳以上の社長の高齢化が原因による倒産が増えています。
●「2017年問題」に向け
事業承継が進んでいない
一般的に、社長の年齢が高いと、内外に対する信用が得やすい反面、企業としての活力や継続性の面においては、マイナスに働くことが多いです。それにもかかわらず、社長の平均年齢が一貫して上昇を続けているという状況は、その産業や地域にとってのリスクが大きくなり続けているということでもあります。
最近指摘されるのは、いわゆる「2017年問題」です。2017年には「団塊の世代」と呼ばれる社長が大量に70歳を迎えます。これによって、日本の中小企業の生産性や成長性が鈍化する可能性が出てくることを指します。
前述のように、今社長の平均年齢は59歳です。通常、事業承継には10年程度の時間がかかると言われているので、現在この年齢にある社長が今から事業承継を始めても、完了するには平均でも70歳時点前後となってしまいます。このことは、日本の中小企業にとって好ましい状況ではありません。
もう1つ重要なのは、100年続く老舗企業を見ていくと、平均3回から4回の事業承継が行われているという事実です。企業が継続的かつ永続的に発展していくためには、やはり事業承継をうまくこなさないと難しいということがわかります。
日本の中小企業のうち、1年間に約2万5000社が消滅しています。これは実に倒産件数の約2.5倍です。消滅とは廃業や休業などが原因ですが、主な理由は社長の高齢化、もしくは事業承継問題だと指摘されています。人口減少が日本の将来にとって大きな問題となるなかで、企業の数の減少をどう見るか、ここには事業承継問題が大きく関わっていると言えます。
■命運を託せる社長をいかに見出し企業の寿命を延ばせるか?
このように見てくると、企業の浮沈はやはり社長にかかっていることがわかります。大げさに言えば、企業の寿命は、会社を担う社長の力で伸びもするし、短くもなるのです。会社を健全に経営し、長く存続させるためには、しっかりした判断力を持ち、指導力も兼ね備えた経営者をいかに見出していくかがカギとなるのです。
読者諸氏も、自社や取引先に関して、一度そうした視点から「信頼度」を見つめ直してみてはいかがでしょうか。
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。