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株価が急反発して喜ぶ中国の個人投資家。だがバブル崩壊はこれからが本番だ(写真:Imaginechina/アフロ)
中国バブルの崩壊は、これからが本番だ 中国市場の「危ない構造」が悲劇を招いている
http://toyokeizai.net/articles/-/76893
2015年07月14日 中村 繁夫 :アドバンストマテリアルジャパン代表取締役社長 東洋経済
■ 中国史上「最大のバブル崩壊劇」が始まった
この連載で昨年あたりから何度も警告を鳴らしてきたが、案の定、上海証券市場で大暴落が始まった。
当局の対策もあって株価は反発しているが、私に言わせれば、「いよいよ中国の史上最大のバブル崩壊劇の開幕」である。
5〜6月にも大暴落の予兆はあった。中国ビジネスを始めてから、出張は通算200回を優に越えたが、この2カ月というもの、中国に出かけると、どこの省でも例外なく株の取引の話題ばかり。取引先の幹部も職員もビジネスはそっちのけで毎日、株式市場の上げ下げに一喜一憂している有様だった。
今の中国は、かつて平成バブル(日経平均のピークは1989年の12月29日の3万8915円)の時に日本が経験したのと同じ、典型的なバブル崩壊現象の入口にいると考える。
日本も、平成バブルの時は、サラリーマンもいわゆるOLも証券会社の前に集まって大盛況だった。
株の知識も何も知らない一般投資家がワイワイ騒いでいるのだから明らかに「集団催眠状態」だった。
■ 株で儲けるはずが、大失敗に終わった私の平成バブル
お恥ずかしい話だが、実は平成バブルのピークだった1989年の12月上旬、私は家を新築するための貯金を500万円ほど引き出して「新築する家を投資でひと部屋増やしたいので、株で勝負をさせてくれ」と女房を説得した。
今から思えば明らかに頭が狂っていたというしかないのだが、こうした「雰囲気」がバブルの転換点だったのだ。結局、私は大損してしまった。両親の援助もあってなんとかマイホームを建てたが、ひと部屋増えるどころか、逆に減ってしまったという、まったく情けないバブル時代の思い出がある。
日本の平成バブルがそうだったように、中国バブルの崩壊はこれからが本番だ。筆者には、一見持ち直しそうな雰囲気を漂わせながら、今から奈落の底へ落ちて行く予兆がいたるところに見え隠れしているように思える。
さて、前回の「中国のレアメタルバブル崩壊が近づいている」では、中国のレアメタルを扱う「汎太平洋レアメタル取引所」(英文略称FYME)の危うさについて報告したが、今回はFYMEを創設した人物である单九良氏の話を中心に、中国のマーケットが持つ危うい構造や、バブル崩壊の本質に迫りたい。
今回、中国株は一部で取引停止状態になったが、FYMEでは、すでに主要銘柄であるインジウムやビスマス、ゲルマニウムなどのレアメタルはとっくの昔に実質的に取引停止状態になっている。ひとことで言えば値がつかないからだ。
■ レアメタル相場を「操作」する中国金融界の「天才」
そもそも、FYMEのシステムを開発した単九良氏とはどんな人物か? 彼は1964年5月生まれで現在51才。同氏は汎太平洋レアメタル取引所(FYME)の会長になる前には、香港市場や上海市場で20年以上の先物取引にかかわった。
香港では映画関係の上場企業会長を兼任、上海や天津でも投資関係の企業などを幅広く経営する企業家だ。その彼は先物取引の経験を活かして2011年に中国でFYMEを設立した。だから、中国における「時代の寵児」と呼ばれていても不思議はない。
単氏がFYMEを設立した後、2012年の11月には香港証券取引所が世界の非鉄金属取引の総本山、LME(ロンドン金属取引所)を約1830億円で買収するというビッグニュースが世界を駆け巡った。約20年間も香港証券市場で経験を積んだ単氏としては、非鉄金属よりも中国の影響力が強いレアメタルを扱う取引所を中国で新設したことに自信を強めたのではないかと推察される。
実は、LMEはロンドンに本拠を置き、135年の伝統を誇るのだが、正式な登録メンバーはわずか40社しかない。その表面的なイメージとは違い、極めて限定的な運営がなされておりスペキュレーション(投機行為)やマニピュレーション(価格操作)がされにくい構造になっている。
銅などのベースメタルについて、世界の8割を取引しているLMEにはそれなりの規律と厳しいルールがある。だからこそ世界の顧客の信用を得ているのである。その意味でも、香港証券取引所がLMEの親会社になった後も、LMEは昔ながらの取引所の伝統を維持しているのである。
FYMEを設立した単氏は、LMEとよく似たルールやシステムを研究したフシがある。私が見たところ、取引の規則や商品別のルールなどはよく似ているからだ。だが実は根本的なところで、大きな違いがある。
FYMEの顧客は23万社の登録者数を数えるが、個人会員がその70%(約15万人)にものぼる。一方、LME(ロンドン金属取引所)は前出の通り、参加企業は40社の契約企業である。正に似て非なるものである。
■ 「無知な大衆」からカネを巻き上げている?
単氏は当初こそ、レアメタルという特殊な商品を売買する取引所を世界で初めて設立した野心家という評価を受けた。だが、公正で公平な市場を達成すると表明していた単氏の言葉とは裏腹に、FYMEを舞台にして行われた取引は投機そのものだった。投機取引が膨らんだことで、過去1年間でレアメタルの国際価格は4割以上も値上がりした。
確かに単氏は、先物取引の経験をいかんなく発揮、商品と金融の橋渡しをした天才的な経済人なのかもしれない。だが、複雑なレアメタル取引で、「無知な大衆からカネを吸い上げる詐欺師」というレッテルを一部ではられている。
ではなぜ一見、FTMEの上場には支持が集まり、成功したのだろうか。今回の株バブル崩壊と、一足先に起きた不動産バブルの崩壊とあわせて考えて見るとよくわかる。
つまり、中国の空前のカネ余り現象の中で土地、マンションなどの価格が暴落するなか、一部のカネは株式や債券や商品に向かった。だから成功したのだと見ることができる。
すでに東洋経済オンラインでも触れてきたが、2014年の銅価格の急落事件や青島の融資詐欺事件などでわかるように、中国のマーケットでは、規則やルールが如何に整備されていないかがわかる。
だが、前回の記事で触れたように、レアメタルのマーケットでも似たようなことが結局起きている。
FYME会員数23万人の中の7割は個人会員であり、レアメタルの何たるかも知らずに投資している人が多い。
本来ならば相場が弱ければ気配値が下がるべきなのだが、売買ができないために、FYME価格は高止まりしたままだ。実質的な取引停止状態からFYMEに対する信用は急激に低下、レアメタル全般に対する不安が市場全体に広がっている。
今のFYMEの総在庫額は約7340億円という規模にまで膨らんでいる。中国以外の世界では、FYMEを無視して取引がなされるかもしれないが、結局は莫大な在庫が市場を押し下げる心理要因として働くことは言を待たない。
すでにレアアースのバブルは崩壊、世界のレアアース企業である米モリコープは経営破綻した。
中国は国家ぐるみで価格を操作し、業界を投機市場にしてしまったといっても過言ではない。
今や、混乱は、レアアースだけでなく、インジウム市場やタングステンといったレアメタル市場にまで広がりつつある。次はこのレアメタル関連の中から、破たんに追い込まれる企業が出てくることは必定である。
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