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財政再建はなぜ必要か──日本がギリシャにならないために。(ニューズウィーク日本版)
http://www.asyura2.com/15/hasan98/msg/715.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 7 月 13 日 23:59:20: igsppGRN/E9PQ
 

財政再建はなぜ必要か──日本がギリシャにならないために。
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150713-00153141-newsweek-nb
ニューズウィーク日本版 2015/7/13 20:55


*連載第3回「ギリシャと日本の類似性──量的緩和による危機の拡大」はこちら→

 タイトルと矛盾するが、日本は絶対にギリシャにはならない。民間経済は強いし、徴税システムも効率的に機能している。

 しかし、それにも関わらず、ギリシャ的な問題に陥る可能性がある。それは、本来必要のない危機に陥ってしまうことだ。

 ギリシャは、不必要な粘りで、経済をただ単に悪化させた。欧州の要求する財政再建策を飲み、救済して貰うしか道がないのに、いたずらに交渉を伸ばし、その分だけ、いやその分以上に経済を悪化させ、より経済の立て直しが厳しくなった。

 日本も同様で、国債市場を救うための量的緩和という名の日銀の救済策により、本質的な国債市場の立て直し、財政再建が遅れてしまった。前回議論したように、最も危険なのは、国債市場にリスクが溜まり、またリスク水準が高まるだけでなく、量的緩和の出口において、リスクが何らかの形で破裂することが確実になってしまっていることだ。このリスクを回避する方法はあるのだろうか。

 ほとんど綱渡りのような状況であるが、やるべきことはただ一つ。国債を減らすことである。

 国債市場の危機であるから、国債市場をなんとかするしかない。危機の原因は、国債の投資家が日銀以外にいなくなってしまったことであるから、買い手を探すか、売り手を減らすしかない。買い手は、大幅な値下がり、要は暴落がなくては、新たには現れない。しかも、暴落するとなると、一旦様子見をするから、とことん暴落した後でないと買い手は増えてこない。しかし、暴落を避けるために買い手を見つけようとしているのだから、これは矛盾である。つまり、買い手をただ探しても見つからない。

 したがって、買いたくなるように状況を変化させなくてはいけない。国債の安全性を回復し、日銀の買い支えがなくとも、国債市場が安定することが見通せるような状況にしなければいけない。

 その方法はただ一つ。売りが出なくなれば良い。そのためには、今国債を保有している主体が保有を続けることが必要だが、年金も地方銀行も、規模を縮小していくから、国債の満期に伴う借り換えのための新規発行国債を買う量は、保有してきた量よりも減る。だから、この減っていくことによる需給ギャップを埋めるために、新規国債発行額を減らすしかない。そして、そのためには、財政赤字を減らす以外に方法はないのである。

国を滅ぼすのは累積債務より借金ができなくなることだ

 だから、財政再建が重要なのだ。

 財政赤字を減らす方法は、歳出を削減するか、歳入を増やすかしかない。それにより、国債の新規発行額を減らしていけば、買い手が減少し、買い手の資金量が減少しても、国債の新規発行が何とか消化できる。

 実は、国の借金残高が1000兆円を超えた、GDP比で二倍を超えたから、これは維持不可能だ、という風に騒がれてきたので、財政破綻の危機は、債務残高の水準が問題だと思われてきた。また、逆に、財政再建において、赤字の削減よりも対GDP比の水準を減らすことが重要だ、という議論が、いわゆるアベノミクスサイド、あるいは安倍政権の側から主張されてきた。

 最後の議論は、経済成長すれば何とかなるという無邪気な楽観論であり、これは歳出削減から逃げることのごまかしに過ぎないのであるが、ただ、そういうごまかしの主張でなんとかなると思われることの背景には、累積債務残高が財政問題にとって一番の問題だ、という一般の認識がある。それを利用して、彼らは、GDP比を主張するのだ。

 しかし、安倍政権もそれに騙される人々もともに間違っているのは、財政破綻するのは、残高ではなく、単年度の赤字なのだ。ストックではなくフローなのだ。

 財政破綻とは、ギリシャでもそうであるように、利子が払えない、新しく借り換えができない、つまり、フローのカネがなくなるか、または借り換えで新たに借金できなくなることによるものである。というか、それが破綻の定義だ。

 これは、日本財政についても全く同じで、財政破綻あるいは、その危機が来るのは、新たな借金ができなくなったときだ。つまり、借り換えできなくなることによって破綻するのだ。

 ギリシャは、実はプライマリーバランスは達成している。プライマリーバランスを遙かに超越して達成している。利子を踏み倒せば黒字なのだ。それでも破綻してしまうのは、フローが問題なのだが、根本原因は、利子は返せても元本を返済できないからではなく、新たに借金がまったくできないことだ。借り換えができないので、その資金を提供してもらう新たな救済策が必要なのだ。

 日本も同じだ。日本は借り換えに今のところ問題はない。逆に言えば、問題がこれまでなさ過ぎて、政府は(政治サイドは)いい気になって、景気対策と称してばんばん新たに借金してきたのだ。年金の国庫負担を拡大してきたのだ。

 だから、破綻は、この借り換えあるいは新規発行ができなくなったときに起こる。破綻の危機が現実化するのは、借り換えまたは新規発行に懸念が生じたときに起こる。

1000兆円の累積債務が2次的な問題の理由

 そして、これを起こさないようにするためにできることは、借り換えまたは新規発行の可能性または金額をできるだけ少なくすることだ。それには、各年度の財政赤字の削減しかないのだ。

 債務残高は、もちろん関係ないわけではない。1000兆円借金があるということは、1000兆円分の利子があることであり、利子率が上がったら、つまり、日本財政に対する懸念からリスクがあると見なされ、金利が上がった場合でも、単にインフレ率上昇によって名目金利が上がった場合でも、いずれにせよ、利子支払額が増え、フローの支出増につながる。

 これは、赤字の増大となるから、利子支払いのために新たに借金をしなければいけなくなる。よくいう雪だるま式に借金が膨らんでいくプロセスだ。しかしそこでも最後のとどめは、金利支払いのための新たな借金ができなくなるというフローの問題となる。そのためにも、単年度の赤字を減らす、プライマリーバランスを達成すると同時に、そこを超えて、利子支払いを入れて、赤字を黒字に変えること、少なくとも現在のギリシャの水準にまでは財政を立て直す必要があるのだ。(小幡績・慶應義塾大学ビジネススクール准教授)


 

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コメント
 
1. 2015年7月14日 00:14:47 : MUE8ML746U
>ギリシャは、不必要な粘りで、経済をただ単に悪化させた。欧州の要求する財政再建策を飲み、救済して貰うしか道がないのに、いたずらに交渉を伸ばし、その分だけ、いやその分以上に経済を悪化させ、より経済の立て直しが厳しくなった。

個人でも自治体でも国でも、お金を借りすぎれば、絶対に返すことはできません。破産処理するより仕方がないのです。ギリシャもデフォルトすればいいんです。いや、どうやったって、デフォルトや債務削減(要するに踏み倒し)に追い込まれるでしょう。

もっとも、これはギリシャが貨幣の発行権のないユーロを使っているからで、日本の場合は通貨発行権があり、日銀が国債をどんどん買うので、国債は暴落せず、あるとすれば円の暴落でしょう。
とはいえ、日本は製造業が強いので、円が大幅に安くなれば、どんどん輸出するようになって財政再建も進んでいくでしょう。デフォルトになることはないでしょう。



2. 2015年7月14日 00:29:32 : nJF6kGWndY

>量的緩和という名の日銀の救済策により、本質的な国債市場の立て直し、財政再建が遅れてしまった。

これは、ある程度正しいが

>量的緩和の出口において、リスクが何らかの形で破裂することが確実
>財政赤字を減らす方法は、歳出を削減するか、歳入を増やすかしかない

何度も言っているように、これは間違い

GDP比で債務を一定比率に抑え、実質と名目経済成長率以下にできれば、破綻はないし

さらに出口を遅らせ、QEによる金融抑圧で、インフレ率以下の金利を維持すれば、破綻はない

ただし、成長の上ブレが続くという、非現実的な仮定をしない限り、

最終的には増税かクランディングアウトのインフレ(実質賃金下落)により、現役世代の実質生活水準は低下していくことになるのは間違いないから

それを避けたいなら、いずれ社会保障や地方へのバラマキ歳出を削減するのは避けられないだろう



3. 2015年7月14日 11:42:18 : FbqCd7Hygg
>財政破綻とは、ギリシャでもそうであるように、利子が払えない、新しく借り換えができない、つまり、フローのカネがなくなるか、または借り換えで新たに借金できなくなることによるものである。というか、それが破綻の定義だ。


途上国では対外債務が累増している状態で通貨が安くなると外貨建て債務の利払や借り換えが出来なくなりあえなくデフォルトとなるケースは多いが、日本は今のところ対外債務は無いばかりか世界一の純資産国なので、こういった形でのデフォルトはだいぶ先だろうし、上の定義が財政破綻の定義なら、デノミや無限国債でインフレ率を亢進させて国民生活を壊滅させてもいいのなら財政破綻などは簡単に防げる(笑)

結局、いかに国民生活への犠牲を最小限にして財政を維持していくかが重要なのであり、彼のような財政再建が全ての財政健全化主義者も、某M橋を始めとした無限国債主義者も、その視点が欠如しているという意味では同じ穴のなんとやらだな。


4. 2015年7月14日 20:02:19 : v1gbxz7HNs
日本は世界中にカネを貸している世界一の金融大国である。外国にとやかく言われる筋合いはない。とくに外国からカネを借りまくって返すアテもないコジキ国には。自分の国の心配をしてろ。奴等が日本の財政を心配するのは他でもない。もうカネを貸してもらえなくなることを恐れている。さらに言えば回収にかかることを恐怖しているからだ。


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