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株価大暴落でついに危険水域! 安保法制に揺れる安倍政権に、「中国発の大津波」への備えはあるか(現代ビジネス)
http://www.asyura2.com/15/hasan98/msg/702.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 7 月 13 日 15:09:05: igsppGRN/E9PQ
 


株価大暴落でついに危険水域!安保法制に揺れる安倍政権に、「中国発の大津波」への備えはあるか
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/44129
2015年07月13日(月) 近藤 大介 北京のランダム・ウォーカー 現代ビジネス


■中国全土の「股民」を襲った悲劇


私は普段、少なからぬ中国人の知人と、「微信」(WeChat)で交信している。微信は、中国で6億人以上が使っている中国版のLINEだ。


だが、それにしても先週ほど恐い週はなかった。中国人たちから送られてくる微信に溢れる憤怒と嘆息、そして自嘲に自棄。そう、中国株大暴落の話だ。


思えば、6月12日に5178ポイントをつけていた上海総合指数は、7月8日には、3507ポイントとなったのだ。わずか1ヵ月弱で、47%の下落である。これによって2億人以上の「股民」(個人株主)が、平均30万元(1元≒19.6円、以下同)から50万元損したと言われている。


2007年にも急上昇→暴落が起こったが、その頃は、まず株で儲けて、その儲けた資金でマンションと自動車を買おうというのが、中国人の夢だった。そのため株の暴落によって損しても、ならば実働によってマンションと自動車を買おうと、頭のスイッチを切り替えたものだ。


ところが今回は、すでに買ったマンションや自動車を売り払って、その資金で株に熱を上げる人々が多かったのである。つまり、今回の大暴落によって、これまで蓄えてきた財産が、すっからかんになった「股民」が多いのだ。


いや、財産がゼロになるならまだマシというもので、多くの中国人が、俗に「杠杆」(レバレッジ)と呼ばれる信用取引を行っていた。これは、自己資金の数倍から数十倍まで掛けられるシステムで、株価が低迷していた2012年8月に、「股民」を増やす目的で始まった。だが、勝てば元手の数十倍になるが、負ければ自己資金の数十倍の借金が残る。今回は、そんな大借金を抱えてしまった「負け組」の山となったのである。換言すれば中国全土で悲劇が発生したのである。


私はそれまで気にもしていなかったが、微信で交信している中国人の知人のほぼ全員が、中国株に手を出していたことが判明した。やっていないことが分かったのは、後述する著名コラムニストの頂利氏と、上海で健康食品を手がける台湾人の社長だけだった。


前者は清貧の思想から、後者は「株で儲けても達成感がない」という理由から、やっていなかったのだという。残りは猫も杓子も、感情を露わにした「つぶやき」を発したのだった。中国人は普段はフレンドリーな人が多いが、カネが絡むと、とたんにマジになるということを再認識させられた次第である。


■資産喪失のショックを慰め合うアネクドート


そんな中で、約50万元スッたという北京のメディア関係者からの「ぼやきメール」に、慰めの返信を打ったら、「いま一番飛び交っているアネクドート」という注釈つきで、次のような小咄を送ってくれた。タイトルは、「跳楼」(飛び降り自殺)である。


マンションの管理人: おい、お前はここの住人ではないな。どこへ行くつもりだ?
男性: いやちょっと、この高層マンションの屋上に上がって、新鮮な空気でも吸おうと思って。
管理人: そんなこと言って。一体いくら損したんだ?
男性: えっ、実は50万元ほど・・・。
管理人: ならばお前が上がってよいのは2階までだ。そこの階段の行列の最後尾に並べ。
男性: なぜだ?
管理人: 損失額が100万元以上で3階、500万元以上で4階、5階以上は1,000万元以上損したVIPのみを通しているからだ。


不謹慎とは知りながら、思わず苦笑してしまう。気になったので「跳楼」で百度(バイドゥ)で検索をかけてみたら、636万件(!)もヒットした。本当に株価暴落の影響で、中国各地で「跳楼」が発生しているのだ。


興味深いのは、こうした「跳楼」のニュースとともに、「そのニュースはガセである」というニュースもくっついているケースがあることだ。例えば、先々週のこのコラムで紹介した「跳楼第一号」のケースがまさにそうだ。


湖南省長沙市に住む32歳の侯氏は、6月10日夜に、信用取引で170万元の大損をこいて、22階の自宅マンションから飛び降り自殺した。この一件は、株暴落による「跳楼第一号」として、ニュースで大きく取り上げられた。ところがその後、この侯氏の父親がインタビューに答え、「まったく事実と異なる」と否定しているというニュースが流れたのである。


はて、どちらが真実なのか? 前述の北京のメディア関係者に微信で聞いてみたら、すぐに返信が来た。


「誰かが『跳楼』したというニュースが出るたびに、中国共産党が否定のニュースを流させているんだよ。共産党から『指導』が入れば、どんなメディアだろうが従わざるを得ない。つまり否定のニュースが出たということは、もとのニュースが真実だったということさ」


中国のニュースは、奥が深い。


もう一つだけ、中国の知人が送ってきた傑作アネクドートを紹介しよう。こちらは上級編だ。タイトルは、「中国証券監督管理委員会主席」。


尚福林が証券監督管理委員会主席の時代に、株価は10年以上、上昇したあげくに暴落してゼロと化した。次の郭樹清が主席の時代には、上海総合指数は3000ポイントから2000ポイントに下落した。そして現在の肖鋼の時代に、周知のようにすべて消え去ってしまった。


そこで嘆息しながら、次のような対聯を作った。


上聯: 十年一夢上浮零(十年間夢見たものは、上昇したあげくに零となり)
下聯: 一朝醒来鍋輸清(ある朝目覚めてみたら、鍋はすっからかんだった)
お題目: 消光    (消えた光)


この対聯のミソは、「尚福林」と「上浮零」、「郭樹清」と「鍋輸清」、「肖鋼」と「消光」の発音が、それぞれ同じか極めて近いことである。思わず爆笑してしまったが、いま中国人は、このようなアネクドートを互いに転送しながら、資産喪失ショックを慰め合っているのである。


■今回の大暴落は「6度目の習近平暴落」だった


さて、今回の大暴落がなぜ起こったかと言えば、諸説あるが、私が最も説得力があると思うのは、銀行が引き締めを図ったというものだ。


中国の銀行(中国の銀行は一般に国有企業)は、3月、6月、9月、12月の末日に決算を行い、中国銀行監督管理委員会に会計報告を行うことが義務づけられている。そこで各銀行は、証券業界に貸し付けている資金の回収に走った。それによって証券業界は、そもそも実態以上にハネ上がっていたバブル状態の株価を支えられなくなったという説だ。


その他、興味深い説としては、欧米ヘッジファンドによる謀略説がある。それは次のようなものだ。


外国人の直接取引は禁じられているにもかかわらず、今年3月に欧米のヘッジファンドが、密かに雲南省経由で5,000億元を中国国内に持ち込んだ。そして中国マフィアと組んで、大量の中国株を買った。ヘッジファンドは、信用取引でしこたま儲けた後、上海総合指数が5000ポイントを超えたところで売り抜いた。そのため、市場の底が抜けたというものだ。


そんなことが本当にあるのだろうか? 中国のインテリたちの中には、にわかに出たヘッジファンド謀略説を、中国政府謀略説に置き換えている人たちもいる。すなわち習近平政権が責任逃れのために、意図的にそのような情報を流しているのではないか、ということだ。習近平政権は、とかくインテリ層から信頼されていないのである。


だが、インテリたちの言い分も、まったくの無理筋というわけではない。例えば彼らは、今回の暴落を「習近平暴落」と呼ぶ。なぜなら、先々週のこのコラムでも触れたように、今回の大暴落が始まったのは6月15日、習近平主席の62回目の誕生日だったからだ。「中国の夢」というのが、習近平政権のキャッチフレーズだが、それが「中国の悪夢」になってしまったのだった。


しかも今回の大暴落は、「6度目の習近平暴落」なのだという。1回目は2007年10月に、経済オンチと見られていた習近平上海市党委書記が、胡錦濤主席の後継者となることが確定した時だった。それまで過去最高値の6429ポイントを付けていた上海証券指数は、一気に暴落した。


2回目の暴落は、2012年11月に、第18回中国共産党大会で習近平総書記が誕生した時で、「ウルトラ・レッドライン」と言われた2000ポイントを割り込んでしまった。


3回目は、翌2013年3月に習近平総書記の国家主席就任を決める全国人民代表大会が開かれた前日で、3.65%の大暴落。4回目が同年6月の習近平主席60歳の誕生日。5回目が、同年11月に「3中全会」(中国共産党第18期中央委員会第3回全体会議)で、習近平政権の今後の政策発表を行った翌日だった。


確かに「習近平主席の重要イベント」のたびに暴落している。だから「市場が習近平主席を経済オンチの指導者と判断して嫌っている」と言われると、否定できないのである。


■習近平主席は、毛沢東主席以来の経済オンチ?


実際、今回も習近平主席は、経済オンチぶりを見せつけるノーテンキな行動に出た。


株価暴落が始まった6月16日、習近平主席は、本人のたっての希望で、2泊3日で貴州省遵義への視察に出かけた。遵義は、習主席が誰よりも尊敬する故毛沢東主席が1935年、「遵義会議」を開いて権力基盤を確立した中国共産党の「聖地」である。


中国中央テレビのニュースは、習近平主席が、「聖地」を一歩一歩踏みしめる様子と、いかに毛沢東主席を髣髴させる偉大な指導者かということを、繰り返し報じた。その一方で、株価暴落に警鐘を鳴らすような報道は禁止されたのだった。


ちなみに毛沢東主席もまた、極度の経済オンチとして知られた。「15年でイギリス経済を追い越す」と意気込んで、国中の鍋まで鉄鋼に変えようとした結果、約3500万人の国民を餓死させている。晩年には文化大革命を起こし、丸10年にわたって国の経済をマヒさせた。歴史に「もし」はないが、1949年の建国当初からケ小平が指導していれば、中国は20世紀のうちに、アメリカを凌ぐ世界最大の経済大国となっていたに違いない。


ところがいまの習近平主席も、毛沢東主席以来の経済オンチなのである。早期に北京で対応にあたっていれば「致命傷」は防げたかもしれないのに、3日間も西部の「毛沢東の聖地」へ籠ってしまったのだから。



日戦争記念館に掲げられた歴代指導者のパネル 〔PHOTO〕gettyimages


続いて、もう底が抜けて目を覆うばかりになっていた7月7日。この日は、8年間にわたる抗日戦争のきっかけとなった盧溝橋事件が勃発して78周年の記念日だった。そこで習近平主席は、株価暴落で自殺者が相次いでいるにもかかわらず、中国共産党の「トップ7」を全員引き連れて、北京郊外の盧溝橋にある抗日戦争記念館を訪問したのだった。


これにはさすがに中国人たちも呆れたようで、私の「微信」には、普段はない習近平批判がいくつもやって来た。


〈 いまは「抗日戦争勝利」より、「金融戦争勝利」を優先すべき時ではないのか 〉


〈 「中国の夢」を勇ましく唱えるのだったら、早く「股災」(株の災い)の火を消してほしい 〉


ちなみに、「股災」という新語も、瞬く間に中国当局によって、インターネットやSNSでの使用を禁止されてしまった。


■「世界的な経済危機が、中国発で起こってしまうかもしれない」


とはいえ、実際には、経済学博士の李克強首相率いる国務院(中央官庁)は、さすがに今回の事態の深刻さに気づいていた。


6月27日、国務院傘下の中国人民銀行(中央銀行)は、今年に入って3度目となる政策金利の引き下げを発表。2日後の29日には、今後は公的年金基金の最大3割、11兆7,000億円余りを、中国株を購入して支えていくことを決めた。


7月に入っても、4日に中国証券管理監督委員会が、大手証券会社21社に、総額1,200億元以上を株式投資にあてさせると発表。上海証券指数が4500ポイントを回復するまで、各社は保有株を売却できなくなった。


国務院も同日、当面IPO(新規株式公開)を認めない方針を定めて、予定していた28社のIPO延期を決めた。これは、上場企業が増えることによって、上海証券指数が下がるのを防ぐ措置だった。


7月8日には、中国証券管理監督委員会が再び、5項目からなる機関投資家の「株式売却禁止措置」を発表した。


こうしたなりふり構わぬ措置によって7月9日、ようやく一時的な「止血」に成功した。上海総合指数は、前日比5.76%アップの3709ポイントで終えた。だがこの日も、1439社が取引停止になっている。


ある中国共産党関係者に聞いたら、次のような見解を述べた。


「今回の株価暴落によって、中国という『巨竜』の心臓部を直撃された格好だ。いま国務院の幹部たちの間で言われているのは、もしも上海総合指数が3000ポイントを切ったら、金融危機の到来を覚悟しないといけないということだ。


2008年のリーマン・ショック、2009年から始まったユーロ危機に続く第3の世界的な経済危機が、中国発で起こってしまうかもしれない。そのため、3000ポイントの防衛戦を、党と国を挙げてやっていく」


■「庶民はいまは耐えているが、時機を待っている」


また、元有力紙編集委員で、いまはコラムニストとして活躍している前述の頂利氏に、改めて詳しく聞いた。以下は、一問一答である。


---株価の大暴落によって、中国社会にどんな影響が出ているか?


「今回の『股災』が庶民に与える影響が、最も大きい。特に信用取引によって、庶民が莫大な借金を負ってしまった。


地方債務も増える一方で、地方経済は不振に喘いでいる。それでも地方政府の支出は巨大だ。だが地方政府が株を買っているわけではないので、直接的な打撃は受けていない。もともとは中央政府が国有企業株で儲けて、その利益を地方にも一部、分け与えていたのだが、もはやそれはできなくなった。


空売りは、国有銀行と、政府や権力者をバックにした保険会社、基金会社、証券会社、信託会社などがやってきた。この空売りによって、銀行は巨大な収入を得てきた。ただ、これらの収入がそのまま国庫に入るのかについては不明だ。


いずれにしても、いつでも一番犠牲になるのは、一般庶民だ」


---今回の暴落の原因は、中国政府の政策の失敗と言えるのか。


「その通りだ。金融・経済政策の失敗だ。ただ、ほとんど政府のせいにはされていないが。この十数年というもの、政府は不動産を通じて経済成長を維持してきた。特に2008年以降はそうだった。この間、実体経済は足踏みし、製造業はピンチに立っていた。


そんな中、不動産バブルが崩壊した後、政府は再び株式市場に目をつけた。政府は、不動産と株式市場に資金を投入すれば、そのまま雪だるま式に増えていくので、堅実な経済発展を求めなくなってしまった。


善意に解釈すれば、政府は株式市場を通じて、企業に資金を注入しようとした。反面、悪意に解釈すれば、経済の下降圧力が強まる中、政府は庶民の貯金を略奪することで、赤字を補填しようとした。そして株式を通じた略奪が、その最後のチャンスだったのだ。つまり、政府はペテンを演じていることになる」


---多くの大損した国民は、どうなるのか?


「ここ最近の株価の上昇は、誰の目にも異常だった。バブルはいつか崩壊するものだ。


そもそも中国の株式市場というのは、窮地に立った国有企業を救うために始まった。他国のように、企業が成長すれば株主に利益を還元するというものではない。


これはすなわち、中国の株式市場は、始めから賭博なのだ。だから企業の業績と株価は相関関係がない。そして実態が分かっていない国民は、どんどんのめり込んでいき、『賭ける者は負けたら服する』ということになってしまったのだ。


いまのところ、大規模なデモなどは起こっていない。だが政府が今後とも情報統制を強めるならば、彼らの伝えたい情報も、いずれは伝えられなくなるだろう。


過去の暴落と異なるのは、今回の暴落の犠牲者が、あまりに多いことだ。そもそも国民を株の売買に走らせたのは、政府なのだ。加えて『共産党のスポークスマン』と化している官製メディアだ。


庶民という羊は、毛が生えるとすぐに、以前毛を刈り取られたことを忘れてしまう。だが今回の犠牲は、あまりに大きく、返済不能に陥った庶民も多い。それで飛び降り自殺が相次いでいるが、政府はいまや、それを報道するメディアを逮捕する姿勢まで取り始めている。


庶民はいまは耐えているが、『時機を待っている』というのが正確なところだろう」


---中国経済は、今後どうなるだろうか?


「今回の『股災』(中国共産党中央宣伝部はすでにこの単語を使うことを禁じている)は必ずや連鎖反応を引き起こすに違いない。まずは政府の信用の破綻だ。『股災』は数億人の生活を直撃している。彼らは以前のように『お上に従えばよい』とは、もはや思わないだろう。そうではなくて、『共産党の指導』がもたらした災厄だと考えるだろう。


実際、すでに多くの人が、政府幹部や権力者たちが国民の富を消失させ、暴利を貪っていた事実を知っている。今後は消費が低迷し、企業の生産力が落ち、大きな経済危機となるだろう。皮肉なことだが、政府が懸念しているインフレを抑えることには役立つが。


政府もこうした危機に直面していることは重々承知しているので、投資を増やしてGDPを維持し、金融緩和を行うはずだ。ここ数年来、人民元安の圧力が強まっているが、もし政府が人民元安に舵を切れば、人民元国際化という悲願の実現は遠のくことになる。


政治的に見れば、一部の政府幹部がスケープゴードにされることだろう。そのことで権力闘争も激化する。中国では経済が悪化すると、常に激しい権力闘争になる。今回の暴落で経済が復興するのには時間がかかるだろうから、経済も政治もしばらくは混乱が続くことになる。


結論を言えば、われわれは中国発の経済危機が到来することを覚悟しておかねばならなくなったということだ」


***


こうした中国経済の失速は、当然ながら「対岸の火事」では済まない。国会では安保法制の机上の空論ばかり議論しているが、いよいよ現実味を帯びてきた「中国発の大津波」についても、しっかり対策を立てておくべきである。


 

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