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大王製紙「エリエール」
裏切り、騙し合い、潰し合い、暴露…泥沼抗争のあの業界が超面白い!
http://biz-journal.jp/2015/07/post_10693.html
2015.07.11 Business Journal
製紙業界の再編をめぐる対立が、株主総会に持ち込まれた。
製紙業界4位の大王製紙の株主総会は6月26日、愛媛県四国中央市の大王製紙技術開発本部コンベンションホールで開かれた。総会では発行済み株式の21.65%を保有する筆頭株主、北越紀州製紙が、大王の佐光正義社長再任に反対する議決権を行使した。北越紀州は製紙業界5位である。
大王が開示した「臨時報告書」によれば、総会における佐光社長への再任賛成割合は71.2%。北越紀州が筆頭株主として社外取締役に送り込んでいる近藤保之氏の賛成率は56.9%で、辛うじて可決された。賛成票90%が信認の目安といわれている。
佐光社長は株主総会後の記者会見で「(2015年3月期までの3カ年)事業計画をやり抜いたことが株主に支持された」と強調した。業績立て直しに向け、佐光社長はティッシュペーパー「エリエール」や紙おむつなど家庭用紙事業に注力。中国、タイなど海外展開も加速させた。その効果で15年3月期の連結売上高は前年同期比4.7%増の4502億円、当期純益は2.1倍の132億円に拡大。ROE(株主資本利益率)は前年の6.1%から10.0%へ大幅にアップした。「株主から支持された」と胸を張ったゆえんである。
佐光社長ら経営陣は株主総会で再任されたとはいえ、筆頭株主の北越紀州との抜き差しならない対立が収まったわけではない。
■北越紀州と大王の対立再燃
4月1日、北越紀州と業界6位の三菱製紙が販売子会社の経営統合に向けた検討を中止したことから、北越紀州の岸本晢夫社長と大王の佐光社長の対立が再燃した。北越紀州と三菱は14年8月、販売子会社の統合で基本合意し、北越紀州・三菱の組み合わせで業界の第三極づくりに動いた。しかし今年4月、三菱側の意向で統合の協議は打ち切りとなった。
北越紀州は、三菱との関係を深めたいとする大王側の意向が働いたと疑いの目を向ける。岸本社長は6月16日に開いた15年3月期の決算説明会で、「(北越紀州と三菱が)販社統合で合意した後に、大王と三菱が統合に向けた秘密保持契約を締結した、と三菱の鈴木邦夫社長から聞いた」と爆弾発言をした。そして「大王の要請で、契約に『(三菱は)北越紀州との販社統合の交渉の過程を大王に報告しなければならない』とする条項が入った。そのため、(三菱は北越紀州との)販社統合を進められなくなった」と舞台裏を明かした。
岸本社長は破談の経緯をめぐり、大王の佐光社長に面談を求めた。大王は同日発表したコメントで「(販社統合は)北越紀州の利益のためであり、当社の企業価値の向上や株主の利益を目的とはしていない」と反発し、面談を拒否した。
北越紀州と大王の因縁は、11年にまでさかのぼる。大王では創業家の3代目、井川意高元会長による子会社からの巨額借り入れが発覚。意高氏の父親で、大王の中興の祖といわれた創業家2代目、井川高雄元会長と、創業家支配から脱却したい佐光社長ら経営陣の対立が深刻になった。この時、助け舟を出したのが北越紀州。高雄氏ら創業家が持つ大王の株式(全体の2割に相当)を北越紀州が引き取った。
北越紀州は出資を機に、大王、三菱を巻き込んだ第三極の形成を狙った。だが、企業規模で北越紀州に勝る大王の経営陣は、北越紀州の軍門に下るつもりはなかった。創業家とのお家騒動を収束させるために、北越紀州が株式を持つことを容認しただけだった。
むしろその後、両社の溝は深くなった。12年には大王の元関連会社が北越紀州の株式を北越紀州側に断りなく取得していたことが発覚。北越紀州がこれを問題視して、13年の大王の株主総会で佐光社長選任に反対した。選任に反対するのは今回で2度目となった。
■第三極構想は空中分解寸前
北越紀州と大王の争いは、第三極の主導権をどちらが握るかという点をめぐるものである。
製紙業界は15年3月期の売上高ベースで、王子ホールディングス(HD)が1兆3472億円で首位。旧・王子製紙が戦後に分割した3社のうち苫小牧製紙と本州製紙を継承。家庭紙の商標は「ネピア」。2位は1兆524億円の日本製紙。旧・王子製紙の十条製紙を継承。01年に大昭和製紙を統合した。家庭紙は「クリネックス」「スコッティ」。3位は売り上げ5226億円のレンゴーだが、段ボール専業メーカーのため上位2社とは業態が異なる。
その王子HDと日本製紙の2強に対抗する第三極を形成すると期待されてきたのが、4位の大王製紙(15年3月期売上高4502億円)、5位の北越紀州(同2284億円)、6位の三菱製紙(同2149億円)の3社統合である。3社の売上高を単純合計すると8935億円で、第三極には十分なり得る規模。
しかし、北越紀州と大王の主導権争いで、第三極をつくる構想は空中分解寸前である。
(文=編集部)
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