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7月9日、日本の個人投資家「ミセスワタナベ」が、持ち前の逆張りスタンスでドル買い/円売りに動いた。写真はFX会社の国旗、都内で6月撮影(2015年 ロイター/Thomas Peter)
焦点:ミセスワタナベの逆張り健在、リスク回避相場でドル買い
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0PJ0QQ20150709
2015年 07月 9日 16:53 JST
[東京 9日 ロイター] - 日本の個人投資家「ミセスワタナベ」が、持ち前の逆張りスタンスでドル買い/円売りに動いた。ギリシャ情勢や中国株下落によるリスク回避ムードで円買い圧力が強まる中、多くの投資家がレンジの下限と捉えるドル120円台で個人投資家の買いが入っていたとみられ、ドル/円の下値を堅くしている。
<120.50円付近でドル買い>
8日の外為市場では、安全通貨とされる円が全面高の様相となった。ギリシャ情勢の先行き不透明感が強まる一方、中国株が大幅下落。資源安への連想から豪ドルなどの資源国通貨に対して円が買われた。
海外時間にはダウ.DJIが200ドル超下落し、10年米国債利回りUS10YT=RRも2.1760%まで低下。円は対ドルでも買われ、ドル/円JPY=は約1カ月半ぶり安値120.41円まで急落した。
こうしたリスク回避ムードの高まりの中で、ミセスワタナベはドル買いに動いた。
ロンドン・ニューヨーク時間に121円を割り込んだ時点で個人はいったん買い注文を膨らませた後、120.50円付近に下落しても断続的に買いを入れ、ドル/円を底堅く推移させた。
複数のFX会社によると、ニューヨーク市場の取引終了時点のミセスワタナベの建玉は、買い建てが前日の1.2倍程度に拡大。外為どっとコム総研の調査部長、神田卓也氏は「久しぶりの120円台への突入で、待ってましたとばかりに押し目買いに動く投資家が多かった」と指摘している。
個人投資家の逆張りは、ドル/円だけではない。例えば、水準を切り下げてきている豪ドル/円AUDJPY=でも、個人投資家は逆張りスタンスを発揮している。
このところの個人投資家の買い建ては売り建ての4─5倍になっており、積極的な豪ドル買いに動いている様子がうかがえる。
<意識されるレンジ下限の120円>
もっとも、個人投資家もギリシャ情勢や中国株安のリスクを意識していないわけではないようだ。
楽天証券のFX本部リーダー、川田哲也氏は、最近の個人投資家の動きについて「いったんナンピン(安値での買い増し)しても、少しでも利益の出るレベルになると利益確定し、また下がったところを買っている」と分析している。
損切りと利食いのポイントを近めに設定し、相場が思惑と逆に振れる局面でも、ダメージを抑えるようにする手法が目立つという。
5月半ばから6月にかけ、ドルが119円台から125円に向けて急伸した局面で、ドル売り/円買いを仕掛けた多くの個人投資家に関し、ドル上昇で深手を負ったとの見方が市場では出ていた。
だが、実際に損失が膨らんだ投資家は一部に限られた、というのがFX業界の関係者らの見方だ。
前日も、売り買い双方の建玉を合わせた総建玉が前の日から拡大しており「待機資金を新規の買い持ちに振り向ける余裕がうかがえる」(FX会社)との指摘が出ていた。
9日アジア時間にドル/円は121円台を回復したが、ギリシャ情勢や中国株の行方は予断を許さない。
ただ、個人投資家の間で意識されるドル/円のレンジは120─125円との見方が有力となっている。
再び下押しが強まったとしても、レンジの下限にあたる120円台では、個人のドル買いが下支えに働きそうだという。
(平田紀之 編集:田巻一彦)
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