2. 2015年7月08日 19:01:44
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コラム:ギリシャ残留ならドイツ離脱の未来図も=嶋津洋樹氏 2015年 07月 8日 15:57 JST 嶋津洋樹 SMBC日興証券 シニア債券エコノミスト [東京 8日] - 5日実施された緊縮財政の受け入れに絡むギリシャの国民投票は、事前の賛否拮抗という大方の予想に反し、6割強が反対という結果に終わった。このことはすでに多くの識者が指摘しているとおり、ギリシャのユーロ離脱が現実のものとなりつつあることを示している。 もちろん、ギリシャのチプラス首相が国民に繰り返し説明したように、緊縮財政の受け入れを拒否したからといって、すぐにユーロ離脱に追い込まれることはないだろう。債権者のなかで最も影響力が大きいと見られるドイツのメルケル首相が、国民投票後も対話の扉は開かれているとの姿勢を変えておらず、欧州中央銀行(ECB)は緊急流動性支援(ELA)の残高を維持している。 国民投票で求心力を回復させたチプラス首相が債権者へ譲歩し、妥協が成立する可能性もゼロではない。それは、これまで交渉の障害となっていたバルファキス財務相を事実上更迭したこと、その後任に「首相の長年の盟友」とされ、直前までの交渉で指導的な役割を果たし、債権者の覚えも悪くないツァカロトス外務副大臣を指名したことからも言える。 しかも、交渉再開に際し、ギリシャの主要政党はチプラス首相への支持を表明。交渉の窓口が一本化されたことは、これまで二転三転してきたギリシャの立場が安定する可能性を示唆する。国民投票直前のギリシャと債権者との隔たりが6000万ユーロまで縮小していたと報じられていることも踏まえると、電撃的な合意の可能性を無視するわけにはいかない。 <債権者は損失確定を急ぐ必要はない> もっとも、一連の混乱でギリシャ経済は大きな打撃を受けていると考えられる。国民投票直前の前提で必要資金を計算しても、実際には十分な金額が準備できない可能性がある。債権者側が、国民投票の実施で従来の救済の枠組みは失効し、次は新しい枠組みの下で実施されると主張していることは、ギリシャに新たに求められる条件が従来よりも厳しくなる可能性を示唆している。 それどころか、債権者がギリシャに一連の混乱の責任を取らせるべきと考えても不思議ではないだろう。今やドイツやフランスでも、反欧州連合(EU)、反ユーロを掲げる勢力が一定の支持を集めている。そうした国の政治家にとって、ギリシャ救済に自国の税金をつぎ込むような選択肢は取りにくいはずである。今回、これまでEUやユーロ圏が用意したセーフティネットの効果が証明され、混乱が拡大していないことは、債権者の多くにギリシャのユーロ離脱に伴うリスクを小さく感じさせているだろう。 とはいえ、ギリシャをユーロから今すぐに追い出すことは難しい。そもそも、法的な規定がない。また、セーフティネットが整備されたとはいえ、ギリシャや同国銀行のデフォルトの影響まで遮断できるかは誰も確信が持てないだろう。 加えて、今やギリシャ向け債権のすべてを回収できるというのはかなり楽観的と言わざるを得ないが、それを保有するのが国際通貨基金(IMF)やEU、ECB、各国政府である以上、ギリシャのユーロ離脱前にその損失確定を急ぐことも、それに伴う資本の毀損を懸念する必要もない。 このように考えると、債権者にとって最善の選択肢は結局、ギリシャが条件を飲むまで待ちつつ、同国のユーロ離脱に備えることだろう。その間、ECBはELAの上限引き上げに応じざるを得ないが、選挙という国民の審判を受けていないどころか、他国の運命を左右する決断を下す心理的なハードルは高いと考えられる。国際的な支援額が2015年3月末時点で2700億ユーロに達するなか、追加支援のコストは、ギリシャが今すぐにユーロ離脱に追い込まれることに伴うコストよりも安くなる可能性もある。 そして、ELA上限の小幅な引き上げでは資本規制の解除は望めないが、それによって銀行休業が長期化すれば、反EU、反ユーロ勢力の主張の危険性や無謀さを浮き彫りにすることもできるだろう。逆説的ではあるが、事態悪化がギリシャ救済に否定的なEUやユーロ圏各国の世論を軟化させることも考えられる。不幸なことではあるが、山一證券の破綻やリーマンショックが公的資金の金融システム救済への利用を後押ししたことは、これまでもしばしば指摘されていることである。 <離脱後のギリシャ経済が復活する可能性> むろん、ギリシャ国内で資本規制などへの不満が高まり、自らユーロ離脱を選ぶことも考えられる。その影響がギリシャにとどまる限り、債権者は歓迎こそすれ、反対はしないだろう。 そこまで劇的ではなくても、資本規制が長期化するなかで、ギリシャ政府が年金や公務員給与の全部または一部を借用証書(IOU)で給付せざるを得なくなる可能性は十分にある。それがネットオークションで取引されるようにでもなれば、事実上の並行通貨の誕生である。IOUを「新ドラクマ」と言い換えれば、ギリシャは法的準備が整う前にユーロ離脱へ踏み出すことになる。筆者はギリシャのユーロ離脱の手法として、このパターンが最も現実的かつ悪影響が限られると考えている。 ただし、これで話が終わるとは思えない。たとえば、ユーロ離脱後のギリシャ経済が劇的な回復を見せた場合、新たにユーロ離脱を目指す国が出てくることは十分に想定される。ユーロは最終的にドイツを中心とする欧州北部の通貨となる可能性がある。それはドイツが望む強い通貨の誕生を意味するが、今ほどの影響力を維持できるとは思えない。 反対に、ユーロ離脱後のギリシャが破綻国家となるリスクもある。その場合、ユーロ加盟国の結束は強まる可能性が高いが、難民の流入、過激派の勢力拡大など、地政学リスクの高まりも避けられないだろう。それは結局、EUやユーロ圏の景気回復を妨げる。地中海のなかでもイオニア海やエーゲ海に面する国々は小国が多く、治安維持や国境警備などの歳出が嵩(かさ)めば、財政を圧迫するリスクもある。 破綻国家というほど深刻ではなくても、ギリシャ経済の停滞は歴史的、経済的な結びつきの強いキプロス経済に影響を及ぼしかねない。そうなれば、キプロスがギリシャに続いてユーロ離脱を選択することも考えられる。 一方、ギリシャのユーロ残留は他国の構造改革路線に見直しを迫る。それはユーロ圏の危機対応能力の低下を通じて、ユーロの弱体化を招くリスクをはらむ。実際、チプラス首相の要求は、恵まれた年金制度の維持など独自の財政政策や、構造改革の先送りの許容を迫る一方、それによって低下する競争力を金融緩和や通貨安で解決しようとするものである。こうした方針は、少なくともドイツとは相容れないだろう。 そして、ユーロ圏はこれまで、各国の構造改革を前提にドイツが資金や人材、ノウハウを提供することで、欧州通貨制度(EMS)の設立や金融監督の一元化などのセーフティネットを整備し、統合を深化させてきた。こうした流れが今回、ギリシャのユーロ残留で変わるとすれば、次にユーロ離脱を検討するのがドイツとなる可能性もある。債権者のギリシャに対する姿勢は、ユーロの将来を大きく左右すると筆者は考えている。 *嶋津洋樹氏は、1998年に三和銀行へ入行後、シンクタンク、証券会社へ出向。その後、みずほ証券、BNPパリバアセットマネジメントを経て2010年より現職。エコノミスト、ストラテジスト、ポートフォリオマネージャーとして、日米欧の経済、金融市場の分析に携わる。 http://jp.reuters.com/article/jp_forum/idJPKCN0PI0FN20150708
ギリシャ財務省、「借用証書」発行準備との報道を否定 2015年 07月 8日 17:33 JST [アテネ 8日 ロイター] - ギリシャ財務省は8日、年金や公務員給料を支払うために「第2の通貨」発行準備を進めているとする新聞報道を否定した。同省は声明で「報道は全くの事実無根だ。このような報道は債権団との交渉が極めて重要な局面にある中で危険を伴うものだ」と指摘した。 ギリシャ紙カティメリニは匿名の関係筋の話を基に、ギリシャ当局が、月末までにギリシャと債権団との間で合意に至らない事態を想定し、公務員給料と年金を支払うためIOU(借用証書)を発行する準備を進めていると伝えた。 http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0PI0R820150708 ギリシャ、交渉で合意なければ破綻の恐れ=EU大統領 2015年 07月 8日 17:54 JST [ストラスブール 8日 ロイター] - 欧州連合(EU)のトゥスク大統領は8日、ギリシャ支援交渉で合意が成立しなければ、ギリシャが破綻する恐れがあるとの認識を示した。欧州議会で述べた。 大統領は、最終合意の期限まであと4日しか残されていないと発言。「(ギリシャが破綻すれば)地政学的な意味でも、間違いなく欧州に悪影響が及ぶ」と述べた。 http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0PI0TK20150708
中国国債CDSスプレッド、半年ぶりの大幅上昇−株安が波及 2015/07/08 18:14 JST (ブルームバーグ):中国国債のデフォルト(債務不履行)に備えた保証コストがここ6カ月で最も上昇した。本土株急落で金融システムの脆弱(ぜいじゃく)さが露呈し、中国国債相場も大きく下げた。 ブルームバーグがまとめたデータによれば、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場での5年物の中国国債CDSスプレッドは7.5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し106bpと、2014年1月以来の高水準となった。 1年物国債(16年5月償還)利回りは40bp上昇して過去最大の上げ幅を記録、10年物国債(25年4月償還)の利回りは8bp上昇した。 関連ニュースと情報:中国株式市場のパニック売り止まらず−当局は対策強化に追われるトップストーリー:TOP JK海外トップニュースの日本語画面:TOP JI 原題:China Credit Risk Jumps as Selloff in Equities Spreads to Bonds(抜粋) 記事に関するブルームバーグ・ニュース・スタッフへの問い合わせ先:上海 Helen Sun hsun30@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: James Regan jregan19@bloomberg.net Robin Ganguly 更新日時: 2015/07/08 18:14 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NR5VVF6JTSED01.html 中国株下げ止まらず−当局の下支え策空振り、懸念緩和されず 2015/07/08 16:56 JST
(ブルームバーグ):8日の中国株式市場 で上海総合指数は続落し、約3カ月ぶりの安値となった。当局が打ち出している相場下支え策は投資家の懸念緩和につながっていない。信用取引は一段と縮小している。 上海総合指数 は前日比5.9%安の3507.19で終了した。 RSインベストメント・マネジメントの運用担当者、トニー・チュー氏(香港在勤)は「まさにパニックが広がっている。落ちてくるナイフをつかむことを私は勧めない」と話した。 上海証券取引所の信用買い残は7日に983億元(約1兆9200億円)減り、12営業日連続の減少となった。 原題:China Stocks Plunge as State Support Fails to Revive Confidence(抜粋) 記事に関するブルームバーグ・ニュース・スタッフへの問い合わせ先:上海 Zhang Shidong szhang5@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Richard Frost rfrost4@bloomberg.net Allen Wan, Michael Patterson 更新日時: 2015/07/08 16:56 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NR5C0G6JTSE901.html 底見えぬ中国株に恐慌センチメント広がる、下支えに当局躍起 2015年 07月 8日 15:27 JST [上海 8日 ロイター] - 中国株の下げが止まらない。規制当局は相次いで株価下支え策を打ち出しているが、市場では「恐慌センチメント」が広がっており、底が見えない状況だ。
銘柄の売買停止が拡大するなか、中国人民銀行(中央銀行)は8日、株式市場の安定性確保に努める姿勢を示したうえで、システミックな金融リスクを回避する、と表明した。 上海と深センの大型株で構成されるCSI300指数.CSI300は4.80%安の3739.520で前場の取引を終えた。上海総合指数.SSECは3.88%安の3582.4981。 両指数ともに寄り付きでは約8%下落した。 中国株式市場では6月中旬以降で時価総額の約3割が失われた。投資家の一部では、株安が中国の実体経済を不安定化させるとの懸念が出ており、ユーロ圏危機よりもリスクが大きいとみる向きもある。 中国株式市場の上海、深セン取引所に上場している500社以上の企業が、8日の売買停止を発表した。 これにより、売買が停止となったのは合わせて約1300社に上った。中国株式市場のおよそ45%が売停という異例の事態に発展した。 東北証券のアナリスト、杜長春氏は「当初は多くの投資家が優良銘柄を保有しようとしていたが、小型株の売買停止が相次いだため、リスクエクスポージャーを減らす唯一の手段は優良銘柄を売ることになった」と述べた。 新たな株価下支え措置は8日も発表された。 信用取引向け融資を手掛ける中国国営の中国証券金融は、株式市場の狼狽売りの状況を緩和するため、証券会社に十分な流動性を供給する。中国証券監督管理委員会(証監会)が明らかにした。 証監会のトウ舸報道官は公式ブログの中で、株式市場では「非理性的な売り」が大幅に増加していると指摘した。 中国保険監督管理委員会(保監会)は、保険会社の優良株への投資上限を引き上げたと表明。保険会社は、優良株1銘柄に対し従来は総資産の5%まで投資が認められていたが、保監会はこれを10%まで引き上げた。 また、一定の資格を満たした保険会社に対して、優良株の購入を通じ株式資産の比率を30%から40%に引き上げることを認める。 http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0PI0DN20150708
コラム:中国の「株価PKO」が効かない理由 2015年 07月 8日 13:49 JST James Saft
[7日 ロイター] - 中国当局が相次いで打ち出した異例の株価支援策。それがうまく行かないと考えるのは、勇気があり余る投資家だけだろう。一方、それがうまく行くと考えるのは、愚か者だけだ。 今の中国株に関して選択の余地があるなら、正しい態度は傍観者として様子を見守ることだ。なぜなら、株式市場の急落に直面した中国当局は、一連の強力な対策で売り手を威圧しようとしており、それらは株価にとっては支援材料だが、現実と株価のかい離をもたらすからだ。 6月12日以降に上海総合指数が約30%下落したのを受け、中国当局は今月4日から立て続けに株価の下支え策を発表。中国の大手証券21社は、相場を下支えするため総額1200億元を株式投資に充てると発表。中国人民銀行(中央銀行)は、これら証券各社への信用取引向け融資を手掛ける国営の中国証券金融に対し、流動性支援を提供する方針だという。 さらに中国株式市場への上場を計画していた28社が4日、株式新規公開(IPO)を中止すると明らかにした。 これらの対策が打ち出される直前には利下げも行われていたが、どちらも株式市場の下落を食い止めるには至っていない。 中国当局はまた、株式市場の空売り筋にも怒りの矛先を向けており、「相場操縦」の可能性を調査すると表明した。 彼らは明らかに、自らを自国資本市場での最後の買い手と位置付けようとしている。株価支援資金の多くは、当局の意向に依存し、当局の期待に応えることが求められている機関に流れ込んでいる。 <日本のPKOの教訓> 週明け6日の中国市場は、上海株が支援策を好感して2.4%反発した一方、本土当局のコントロールが及びにくい香港株は3.2%下落。1日の下落率としては2012年5月16日以来3年ぶりの大きさとなった。 中国当局は明らかに、積極的な金融緩和や発言などを通じて相場を下支えする「バーナンキ・プット」や「ドラギ・プット」のような考えに傾注している。しかし、一連の株価支援策は、米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ前議長や欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁のやり方をはるかに超越している。 また中国当局には、輸出主導型経済から消費主導型経済への転換を株価上昇を通じて促したいという意向もある。足元の株価急落は、こうした経済モデルの転換を台無しにし、それによって中国政府の威光を曇らせる可能性もある。 現在の中国の株価支援策と、1929年にJPモルガンなどウォール街の銀行が取り組んだ相場暴落阻止策(結局は失敗に終わった)には、いくつかの類似点はある。ただ、どんなコストもいとわない中国のやり方は、やはり別物と言えるだろう。 おそらく歴史的に最も近いのは、1992年に日本政府が取った株価維持策(プライス・キーピング・オペレーション=PKO)だ。日本政府は総合経済対策の1つとして、郵便貯金や簡易保険の資金運用について株式組み入れ制限を撤廃した。 当時の日本政府の考えは、おそらく現在の中国政府も同様だが、当局が株価を押し上げることさえできれば、景気回復に伴って民間投資家も後に続くというものだ。日本株は公的資金の投入でいくらか回復したものの、ほどなくして下げに転じた。その後の日本と日本株が厳しい道をたどったのは周知の通りだ。 現在の中国政府は間違いなく、1992年の日本政府や2008年のバーナンキFRB議長(当時)、2012年のドラギECB総裁に比べ、自分の領域内で強い力を持っている。 これが、中国の資本市場のゆがみを一段と強めており、ほぼ間違いなく、最終的な代償はかなり高く付くことになるだろう。 http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPKCN0PI0BJ20150708 日銀:足元の景気のもたつきも、物価の先行きには自信 2015/07/08 17:20 JST (ブルームバーグ):日本銀行は足元の景気のもたつきにもかかわらず、物価の先行きに対して自信を強めている。リスクとしては、中国やギリシャなど海外経済を警戒している。 複数の関係者によると、労働需給のひっ迫や賃金の上昇により、経済・物価の先行きは4月の経済・物価情勢の展望(展望リポート)の時点からほぼ想定通りに進んでいるとの見方を日銀は強めている。日銀は14、15日、金融政策決定会合を開き展望リポートの中間評価を行う。 大和総研の熊谷亮丸チーフエコノミストは「輸出の停滞と在庫の積み上がりを背景に、日本経済はいったんの踊り場局面に入ったが、在庫調整を経て日本経済は再び拡大に向かうだろう」としている。 日銀が算出している実質輸出は5月に前月比5.0%減と、4月の1.6%増からマイナスに転じ、4、5月平均は1−3月期平均を3.0%下回っている。5月の鉱工業生産(速報値 )は前月比2.2%低下と2カ月ぶりのマイナスで、経済産業省は「総じてみれば一進一退」として、前月の「緩やかな持ち直しの動き」から判断を下方修正した。 内閣府が6日発表した5月の景気動向指数(2010年=100)は、景気の現状を示す一致指数が前月比1.8ポイント低下の109.2で、2カ月ぶりに悪化した。内閣府は景気の基調判断を「足踏みを示している」とし、前月までの「改善を示している」から下方修正した。 第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミストは3日のリポートで「現在公表されている4、5月分の経済指標から判断すると、4−6月期の実質GDP成長率はマイナス成長が濃厚だ。1−3月期は前期比年率3.9%の高成長だったが、4−6月期は一転してマイナス成長になる可能性が高い」と指摘した。 物価は強めに推移 一方で、日銀の6月の企業短期経済観測調査(短観)は大企業の景況感 を示す業況判断指数(DI)が製造業、非製造業とも改善。15年度の大企業・全産業の設備投資計画は前年度比9.3%増と、3月調査(1.2%減)から大幅に上方修正されるなど、堅調な内容だった。また、完全失業率は3.3%と2カ月連続で97年4月以来の低水準で推移している。 5月の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI )は前年比0.1%上昇と引き続きゼロ近傍で推移しているが、3カ月連続で市場の事前予想を上回った。 さらに、スーパーマーケットのPOSデータを通じて、全国約300店舗の商品を対象とする東大日次物価指数、約1200店舗のスーパーを対象とするSRI一橋大学消費者購買指数ともに、3月まではマイナス基調で推移したが、このところ0%台後半へと伸びを高めている。 リスクは海外に 国内の経済・物価見通しは想定通りながら、海外経済のリスクはこのところ急速に高まっている。複数の関係者によると、日銀はギリシャ、中国経済の推移に警戒を強めている。8日の上海総合指数 は一時8.2%安と、07年以来の大幅な下げを記録。中国当局が株価安定化策を相次いで打ち出しているが、弱気相場に歯止めがかかっていない。 ギリシャ情勢への懸念に加え、中国株安などで世界景気の先行き不透明感が強まる中、リスク回避に伴う円買いが優勢となり、8日の東京外国為替市場では円が全面高となり、1ドル=121円台後半まで円高が進行した。8日午後の東京株式相場は日経平均株価 が今年最大の下げ幅を記録し、終値で2カ月ぶりの安値水準を付けた。 信州大学の真壁昭夫経済学部教授は「国内の景況感が堅調さを維持していることもあり、現時点では追加緩和の理由は見出しづらい」としながらも、「中国の株価下落、ギリシャ支援の打ち切りなど,海外経済のリスクは増えているようだ」としている。 記事に関する記者への問い合わせ先:東京 日高正裕 mhidaka@bloomberg.net;東京 藤岡徹 tfujioka1@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Brett Miller bmiller30@bloomberg.net 淡路毅, 中川寛之, 谷合謙三 更新日時: 2015/07/08 17:20 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NR5QQM6TTDS501.html 日経2万円割れ、今年最大の下げ幅に:識者はこうみる 2015年 07月 8日 16:34 JST [東京 8日 ロイター] - 東京株式市場で日経平均は大幅反落。終値は2万円を割り込み、5月15日以来、約1カ月半ぶりの安値水準で引けた。ギリシャ問題の先行き不透明感や下げ止まらない中国株が懸念材料となり、先物主導で下げ幅を拡大。前日比638円安と今年最大の下げとなった。
市場関係者のコメントは以下の通り。 <野村証券 エクイティ・マーケット・ストラテジスト 伊藤高志氏> ギリシャの懸念や中国株の不安定な動きを背景に2万円割れとなった。冷静に考えれば、中国市場は日本や先進国と異なり、自由に出入りできる市場ではない。制度的に隔絶しており、直接的な影響はほとんどないとみている。逆資産効果により実体経済が落ち込むことへの懸念もあるが、成長率が6%台に鈍化しても高水準なのは変わらない。 もっとも原油価格の下落については、中国や新興国経済の悪化を先読みしているという見方も出ている。だが前年度の日本企業の決算では、素材セクターが健闘した。これまで原油相場が下落した際には、石油関連企業の評価損など悪い部分が最初は注目される形となっていたが、数カ月単位でみれば日本企業にコスト減などプラスの影響が大きいのは確かだ。 一方、ギリシャ問題は解決にはかなりの時間を要するとみている。ただこれまでもギリシャの問題を織り込みながら日経平均は2万円を突破した。長期にわたって各市場の株価を抑え込むインパクトはなくなってきているとみている。 第2次安倍政権が発足した頃、日経平均は8000円台だったが、ここまで株価は2.5倍上昇した。きょうは400円超の下げとなっているが、率にして2%台。パニックを意識させるものでもなく、通常の変動の範囲内という印象だ。 アナリストによる国内企業の業績予想は、この時期にしては上方修正されることも多い。マクロの経済指標もここのところは回復感がみられる。日本株は割安感に加え、好決算の恩恵も受けそうだ。年内ならば2万2000円前後を一旦トライする形となるとみている。 <みずほ総研シニアエコノミスト 武内浩二氏> 日経平均は特段の悪材料もなく、6月24日高値の2万0900円台まで急ピッチで上昇した。ファンダメンタルズから判断しても行き過ぎた株高であり、足元の株安はむしろ持続的な株価上昇を期待するには良い調整と見ている。 悪材料となっているギリシャと中国については確かに不透明感が強い。ギリシャがユーロ離脱となった場合のショックや、中国株安が実体経済に波及した場合の影響が現時点で読めず、いったんリスクオフという投資家行動に表れているのだろう。ただ、ギリシャ協議については数日中に何らかの合意に至る可能性がある。中国株もバリューエーション面での割高感は解消されつつある。2つの悪材料について結果が見えるまで日本株も不安定な値動きが続きそうだが、日経平均2万円割れはバリューエーション面から押し目買いを入れやすい水準だ。 <T&Dアセットマネジメント 運用統括部長 山中清氏> 日経平均が節目2万円を下回った。ギリシャ問題や中国株の急落など海外リスクが意識されている。日経平均2万円は押し目買いのめどとみられていたが、同水準を一気に割り込んだことで、いったん買いの手が引っ込みそう。これまで細かい押し目を拾っていた個人投資家の戻り売りも想定され、目先は下値模索を余儀なくされるとみている。ギリシャ問題に解決のめどが付けば戻りを試すだろうが、一時的なものにとどまるだろう。 中国株の急落に関しては、中国当局による株価てこ入れ策が効かず、中国経済が下振れするとの警戒感が強まっている。仮に中国株安が個人消費の低下などを通じて中国経済に波及すれば、世界経済への下押し圧力が強まりかねない。もっとも個人的には時間の経過とともに中国当局による各施策が効果を発揮し、中国経済が下押す懸念は乏しいとみている。 http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0PI0NA20150708 長期金利が1カ月ぶり低水準、中国株急落や日経平均2万円割れで買い 2015/07/08 16:33 JST (ブルームバーグ):債券相場は上昇し、長期金利は1カ月ぶり低水準に達した。中国株式相場の急落を警戒し、国内株式市場で日経平均株価が2万円台を割り込んだことを受けて、リスク回避の動きから買いが優勢になった。 8日の長期国債先物市場で中心限月9月物 は、前日比19銭高の147円10銭で開始した。中国株式相場が大幅に下げて始まり、国内株安が加速すると、水準を切り上げ、44銭高の147円35銭と6月3日以来の高値を記録。午後は147円25銭を挟んでもみ合いとなったが、取引終盤にかけて株価が一段安となると再び買いが優勢となり、結局147円35銭で高値引けした。 現物債市場で長期金利 の指標となる新発10年物国債の339回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値より1.5ベーシスポイント(bp)低い0.435%で開始し、0.42%まで下げた。午後に入るといったん0.43%に戻したが、再び買いが優勢になり、水準を切り下げ、4時前後から0.405%と6月1日以来の低水準で推移した。 あすに入札を控えている30年物の47回債利回りは6.5bp低い1.40%と、新発債として5月以来の低水準を付けた。 JPモルガン証券の山脇貴史チーフ債券ストラテジストは、「ギリシャ問題に加えて中国株の下落が日経平均に波及し、世界的なリスク回避の流れが強まる中で、国内の債券も金利が低下している。低金利の日本国債を買いたいわけではないだろうが、こういう状況なので買いもある程度は入ってくる」と話した。 中国株安は世界景気に影響大きい この日の東京株式相場は大幅安。日経平均株価は前日比3.1%安の1万9737円64銭と、3週間ぶりに2万円を割り込んだ。ギリシャ情勢に不透明感が強い中、銅など国際商品市況の下落を通じて中国経済の先行きにも警戒が強まった。中国上海総合指数 が一時8%以上急落し、市場心理の悪化に拍車が掛かっている。 三井住友アセットマネジメントの深代潤債券運用グループヘッドは、「ギリシャ問題に目を奪われていたら、中国株も大変なことになって、債券に買いが入っている。ギリシャ問題だけなら相場に長引く影響はないと思うが、中国株の下落は、世界景気に対する影響が大きい」と話した。 日銀がきょう実施した長期国債買い入れオペ3本(総額1.2兆円程度)の結果によると、残存期間5年超10年以下の応札倍率が4.25倍と、昨年10月29日以来の高水準となった。1年超3年以下は3.10倍と前回から小幅上昇した一方、3年超5年以下は3.19倍に低下した。 財務省は9日午前、30年利付国債入札を実施する。47回債のリオープン発行で、表面利率(クーポン)は1.6%となる見込み。発行額は前回債と同額の8000億円程度。前回の入札で小さければ好調なテール(落札価格の最低と平均の差)は14銭と昨年11月以来の低水準だった。 SMBC日興証券の竹山聡一金利ストラテジストは、「前回の30年債入札では利回りが1.53%付近だったが、現時点で1.4%台。しかも買いたい投資家は1.5%レベルで買えている状況を考えると、現行水準であればある程度テールが拡大することが想定される」と言う。 大和証券の小野木啓子シニアJGBストラテジストは、「今回はショートカバーなど必要分をたんたんと応札するスタンスでの入札か。これまでの30年債入札時ほどの警戒感は強まりにくい」と指摘。「過度な入札前調整の結果、事前予想よりもしっかりとした入札という展開は見込み難い」とも言う。 欧州の首脳は7日、ギリシャが救済条件を受け入れる期限を12日に設定し、それまでに譲歩しない場合は同国のユーロ圏離脱につながる前例のない措置を講じると表明した。 JPモルガン証の山脇氏は、「来週はギリシャ問題の決着次第だ。解決すれば金利上昇でスティープ化、駄目なら金利低下でフラット化という反応になるだろう」と話した。 記事に関する記者への問い合わせ先:東京 山中英典 h.y@bloomberg.net;東京 野沢茂樹 snozawa1@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Garfield Reynolds greynolds1@bloomberg.net 山中英典 更新日時: 2015/07/08 16:33 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NR3XEX6KLVR601.html 円が全面高、ギリシャ・中国懸念でリスク回避−一時121円台 2015/07/08 16:00 JST (ブルームバーグ):8日の東京外国為替市場では、円が主要通貨に対して全面高の展開となった。ギリシャ情勢をめぐる不透明感に加え、中国株安による世界景気の先行き懸念が強まり、リスク回避に伴う円買いが進んだ。 ドル・円相場は1ドル=122円台半ばから一時121円71銭まで円高が進行。午後4時現在は121円73銭前後となっている。また、ユーロ・円相場は1ユーロ=135円ちょうど付近から一時133円95銭まで円が買われた。同時刻現在は134円10銭前後。 欧州の首脳は7日、ギリシャが救済条件を受け入れる期限を12日に設定し、それまでに譲歩しない場合は同国のユーロ圏離脱につながる前例のない措置を講じると表明した。 三菱東京UFJ銀行市場企画部の天達泰章アナリストは、「12日が期限と言っているが、今までずっと期限はずれてきているので、誰しもが論理的にみれない状況に陥っている」と指摘。「ギリシャの方は反応するのがなかなか難しい局面」で、中国発の株安によるリスク回避の方が「しっくりくる」と語った。 ユーロ・ドル相場は1ユーロ=1.0974ドルまで軟化したが、その後1.10ドル台前半まで持ち直し、足元では1.1016ドル前後で取引されている。 リスクリダクションの流れ 8日のアジア株式相場は全面安。中国の上海総合指数は一時前日比8.2%安となっている。東京株式市場では日経平均株価が600円を超える下げとなり、6月18日以来の2万円割れとなった。 株価急落を受け、中国人民銀行(中央銀行)は国内株式市場に「潤沢な流動性」を供給するとウェブサイトに掲載された声明で発表。中国金融先物取引所は、CSI500指数先物の売り注文に対する証拠金率を引き上げた。 三井住友銀行市場営業部為替トレーディンググループの呉田真二グループ長は、「中国株については、限られた市場とはいえ資産効果喪失による中国経済へのネガティブな影響が意識される」と指摘。「ギリシャの状況や中国の状況を見るに、リスクリダクションの流れはやむなし」と話した。 ギリシャ ブリュッセルで開かれた7日のユーロ圏首脳会議で、ギリシャ政府は新たな支援プログラムの確保と経済破綻回避を可能にする新しい経済改革案を提示するよう求められた。 ドイツのメルケル首相は会議後に記者団に対し、「解決策を見いだすのにわれわれに残された時間はわずか数日だ」と述べるとともに、自身が「特に楽観はしていない」ことを認めた。欧州連合(EU)欧州委員会のユンケル委員長は「われわれはギリシャ離脱の詳細なシナリオを準備している」と語った。 呉田氏は、ギリシャ交渉について平行線をたどったまま最終期限となった12日を迎える可能性が高く、そうした中でギリシャのユーロ圏離脱リスクも高まると予想。「仮にそうなった場合、未知の体験になることから、相応に警戒は高まる上、リスクとして無視できない状況になる」と指摘した。 記事についての記者への問い合わせ先:東京 小宮弘子 hkomiya1@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Garfield Reynolds greynolds1@bloomberg.net 青木 勝, 崎浜秀磨 更新日時: 2015/07/08 16:00 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NR54G66K50XV01.html
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