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オリンパス本社が所在する東京・新宿モノリス(「Wikipedia」より/0607crp)
オリンパスが陥った“巨額賠償地獄” 相次ぐ違法行為疑惑捜査と訴訟
http://biz-journal.jp/2015/07/post_10652.html
2015.07.08 文=編集部 Business Journal
オリンパスの2015年3月期連結決算は、最終損益が87億円の赤字(14年3月期は136億円の黒字)だった。450億円の黒字予想から一転し、12年同期以来3期ぶりの最終赤字に転落した。連結売上高は前期比7%増の7646億円、経常利益は43%増の727億円と回復途上にあるが、不祥事の後遺症は深刻だ。
オリンパスは医療機器を扱う米国子会社が医師らに不当にリベートを支払っていたことが、虚偽請求取締法や反キックバック法に違反した疑いがあるとして、米司法省の調査を受けていた。米当局への支払いが見込まれる罰金539億円を特別損失として計上したことで、赤字に転落した。
虚偽請求取締法は不正請求防止法とも呼ばれ、不正請求に関わった者に、政府が被った損害の3倍の制裁金が科せられる。米政府は高齢者向けの公的医療保険、メディケアなど複数の医療保険制度を運営しており、医療費の不正請求は政府への不正請求に当たるので、この法律が適用される。反キックバック法では、米政府の医療保険で賄われるサービスや物品の購入を促す見返りに報酬を払うことに対して5年以下の禁錮刑となる。米司法省は11年11月から調査に乗り出していた。同省との協議で和解金の支払いが固まったことで、特別損失を計上したとみられている。
ブラジルでの医師への接待など利益供与についても米司法省が海外腐敗行為防止法の疑いで捜査しているが、今回の539億円に上る特別損失の対象にはなっていないため、損失額は、さらに膨らむ可能性がある。第一三共のインド製薬子会社が13年5月、米司法省に薬剤の安全性に関連した和解金を日本円に換算して500億円支払った。オリンパスのそれは、これを上回る過去最高額になる。
■巨額の損害賠償訴訟
オリンパスはこのほか、11年に発覚した事件でも巨額の訴訟を抱えている。同年7月、会員制月刊誌「FACTA」(ファクタ出版)が粉飾決算の実態を暴き、これを問題視したマイケル・ウッドフォード社長(当時)が解任された事件である。
07年から11年にかけて金融商品の簿外処理やのれん代の架空計上により、各年度の連結純資産を最大で1200億円も水増ししていた。バブル期に始めた財テクの損失を隠すために、オリンパス本体から損失を切り離す「飛ばし」を繰り返していたのが、事件の発端だった。
事件発覚に伴う株価下落で損害を受けたとして、国内外の機関投資家から損害賠償を請求されている。海外の機関投資家など計86の企業・組織から提起された総額376億円の損害賠償請求については15年3月、最大110億円支払うことで合意した。オリンパスは訴訟引当金170億円を計上済み。60億円は資本業務提携していたテルモへの和解金で、残る110億円を今回の支払いに充てる。しかし、14年4月に国内信託銀行6行が訴訟を起こした分も含めて、計490億円の損害賠償請求が残っている。この引当金をいつ積むかは未定だ。
オリンパスは、国内外で支払う和解金や巨額賠償のアリ地獄から抜け出せないでいる。
■薄まる銀行とソニーの関与
6月26日に開催された株主総会で、銀行出身の2人の取締役とソニーから派遣された社外取締役が退任した。退任した取締役は次の5人である。
取締役会長:木本泰行(元三井住友銀行専務、日本総合研究所社長)
取締役(コーポレートセンター長):藤塚英明(元三菱東京UFJ銀行執行役員、千歳興産社長)
社外取締役:今井光(元メリルリンチ日本証券副会長、レコフ社長)
社外取締役:藤井清孝(ザ・リアルリアルなど3社の社長を兼務)
社外取締役:加藤優(ソニー副会長を兼務)
2012年6月、三井住友銀行出身の木本泰行会長、生え抜きの内視鏡畑出身の笹宏行社長を中心とする新体制が発足した。社外出身者が役員の大半を占め、社外取締役が取締役会の過半数を制した。笹社長は記者会見で「取締役会を含むガバナンス(企業統治)が本来の機能を十分に果たしていなかったことが、損失計上の先送りの問題を引き起こしたという反省を踏まえ、社外からの厳しい監視の下で透明性のある経営によって再発防止を図る」と説明した。
昨年の13人の取締役を見ると、銀行出身の取締役が2人など、社外取締役は全体で8人。今回、銀行出身の取締役2人と社外取締役3人が退任して、社内から2人が昇格した。新しい体制では、社内出身者と社外取締役が5人ずつで同数になった。再任された社外取締役は後藤卓也(元花王社長)、蛭田史郎(元旭化成社長)、藤田純孝(元伊藤忠商事副会長)、西川元啓(弁護士、元新日本製鐵常務)、鵜瀞恵子(東洋学園大学現代経営学部教授、元公正取引委員会経済取引局長)の5氏である。
ソニーは加藤優副会長がオリンパスの社外取締役を退任し、オリンパス株式を売却した。ソニーは4月、保有するオリンパス株の半分に当たる1724万株をJPモルガン証券に売却し、オリンパス株式の保有比率(議決権ベース)は10.09%から5.04%に低下した。売却額は718億円で、ソニーは15年4〜6月期に468億円の売却益を計上した。
今回、ソニーが売却したことでオリンパスの筆頭株主は米投資ファンド、アーチザン・インベストメンツ・ジーピー・エルエルシーに代わった。ソニーは第2位の株主としてとどまり、医療関連の合弁会社は継続する。
ソニーのオリンパスへの出資は12年9月に合意し、総額500億円の第三者割当増資を13年2月までに引き受けた。その後、オリンパスの株価が上昇して、保有株の評価は1500億円を超えた。半数を残して保有株を売却し、投資分を回収。成長分野投資のための資金を確保した。
オリンパスにとって、三井住友銀行と三菱東京UFJ銀行、ソニーから取締役を迎えたことは、いわば“安全弁”だった。3取締役の退任は、前向きに解釈すれば銀行とソニーの管理下から脱したといえなくもないが、いまだに巨額の賠償リスクがオリンパスの目の前に横たわっている。
(文=編集部)
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