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「ニッポンの貧困」について知っていますか?--6人に1人が相対的貧困 負け組も勝ち組も「しんどい」
http://www.asyura2.com/15/hasan98/msg/531.html
投稿者 てんさい(い) 日時 2015 年 7 月 06 日 22:28:21: KqrEdYmDwf7cM
 

http://news.mynavi.jp/series/hinkon/001/
阿部彩  [2015/05/26]

『日本の貧困』ってどういうこと?

「近頃、『貧困』という言葉がニュースでもたびたび聞くけど、『日本の貧困』ってどういうこと?」そう思っていらっしゃる読者も多いのではないでしょうか。貧困を、飢えたアフリカの子どもや、戦後日本の食べ物も配給に頼っていたころのことと思っていたら、確かに、現在の日本に貧困なんてないと思われるかも知れません。しかし、このような『貧困』は『絶対的貧困』と呼ばれるもので、日本をはじめ、先進諸国において問題とされる『相対的貧困』とは異なります。

「相対的貧困」とは、その時代の社会において、一般市民が「当たり前」とおもっているような生活をおくれないことを指します。例えば、日本の現代社会では、就職活動をしたり、親戚の結婚式に出席したり、友人と交流したりということです。

対して、「絶対的貧困」は肉体的・心身的なサバイバルが不可能な状態を言います。相対的貧困では、飢え死にしたり、野宿したりすることはありませんが、夕食はカップラーメン1つだけ、就職活動をするまともなスーツがない、結婚式のお祝儀が払えない、家賃や公共料金さえも滞納してしまう…このような状況です。最新のデータによると、このような「社会の当たり前」の生活ができない確率が高まるのが、年間手取り所得が122万円(一人世帯)以下の人々となります。
6人に1人が相対的貧困の状況

いま、日本の相対的貧困率は16%です(厚生労働省推計)。つまり、6人に1人が相対的貧困の状況と言うことです。特に、近年、急激に貧困率が増えているのが、20歳代。そして、一人暮らしの女性、男性です。勤労世代(20〜64歳)の一人暮らしの女性の3人に1人、男性の4人に1人は相対的貧困状況にあります。

若くて、元気であれば、年間所得122万円以下でも、それほど問題を感じずに暮らせるかもしれません。しかし、いったん病気になってしまったり、職を失ってしまったりすると、たちまち貯蓄は底をつき、日々の暮らしにも困るようになります。また、将来へのキャリアアップや、家族形成(結婚や出産)、老後のための年金保険料といった、ライフプランも、立てにくいことも事実です。実際に、所得が低い非正規労働者は、正規労働者に比べて未婚率が高く、家族形成が難しいことがわかっています。

巷では、景気回復の兆しが新聞等を賑わせていますが、貧困層の人々には、その恩恵は遠く感じられるでしょう。なぜって、日本の貧困率は1980年代から、ずっと、悪化し続けているからです。1980年代から2010年代まで、好景気の時期もありましたが、貧困率の減少は見られませんでした。日本だけではありません。先進諸国においては、1970年代から見ると、経済成長が、社会の底辺の人々の勤労所得を増加させなかったという研究が発表されています。アベノミクスだけでは、だめなのです。


なぜ「相対的貧困」は恐ろしいのか!?--"負け組"も"勝ち組"も「しんどい」
阿部彩  [2015/06/08]

相対的な貧困は、人々の健康や人間関係にも影響

日本の相対的貧困率は16%。

全国民の6人に1人が貧困です。

しかし、これは「相対的貧困率」。途上国の難民や、戦後の日本において、食べ物や住むところにもこと欠く状況は「絶対的貧困」。「絶対的貧困」は、現代日本には限られたケースしかありません。

「相対的貧困」とは、その時代の社会において、一般市民が「当たり前」とおもっているような生活をおくれないことを指します。でも、この定義で見ると、この豊かな日本においての「相対的貧困」って、そんなに厳しい状態ではないと思うかも知れません。「そりゃあ、比較の問題で、ほかより多少収入が低かったって、たいしたことないだろう」と思われる人も多いかも知れません。

しかし、相対的な貧困は、人々の健康や人間関係にも影響してきます。成人のうつの状態は、低所得層ほど悪くなっています。糖尿病や脳血管疾患(脳梗塞など)の死亡率も社会経済階層が低いほど高くなります。また、「2週間に1度以下しか人と話さない」などの極端に孤立している人の割合も、低所得層の人ほど高くなっています。高齢者においても、低所得層ほど健康状態が悪く、また、孤立しがちです。なんと、誰にでも等しく起こり得ると思われがちな転倒についてまでも低所得層ほど、その頻度が高いことがわかっています。
相対的貧困の影響は、子ども期から表れる

相対的貧困の影響は、子ども期からすでに表れます。小学6年生の、学力テストの点数は親の収入ときれいに比例しています。子どもの学力は、義務教育の時点で、すでに格差があるのです。学力だけではありません。貧困は、子どもの心にも大きな影を落とします。「自分が価値がある人間と思わない」「将来には夢がない」と考える子どもの割合は、相対的貧困の子どもに特に高くなっています。

相対的貧困が恐ろしいのは、このように、経済的に低い位置にあることが、その人の健康や精神状態、能力、人間関係、そして、最後には自分自身をどう評価するかという自己肯定感まで低めてしまうことです。
誰にとっても、生きにくい社会

よく、「報酬は、会社や社会からの評価の現れ」と言われますが、これは、ひっくり返せば、報酬が低い人は社会からの「評価」が低いとみられても致し方がないということです。悲しいことに、今の日本の競争社会においては、所得が低いことや、失敗することが、「負け組」とされて、「負けた」人が悪いんだという自己責任論がはびこっています。そして、子どもにおいても「負け組」は「自分は価値がない」というように、自己責任論を内面化していきます。

このような社会は、誰にとっても、生きにくい社会です。近年わかってきたのは、格差が大きく、「負け組」が貧困に陥ってしまうような社会においては、「勝ち組」の人たちの状況も悪くなるということです。「勝ち組」であっても、「負け組」になっては大変と、大きなプレッシャーを感じ続け、自分の地位を守るために常に躍起になっていなければなりません。

「この頃、生きるのがしんどいな」

そう感じているあなたも格差社会の犠牲者かもしれません。


貧困は、経済のグローバル化で「仕方がない」!?--"財政赤字"が大きく影響
阿部彩  [2015/06/16]

グローバル経済に晒されているのは、日本だけではない

日本の貧困率は16.1%。

この値は、先進諸国32か国の中では、6番目に高い数値となります。日本より、貧困率が高いのはアメリカ、イスラエル、メキシコ、トルコ、チリだけです。日本は、決して貧困が少ない国ではないのです。

<図1>(出所:OECD Statistics)

「だけど、これって仕方がないんじゃない?」という声をよく聞きます。

「経済がグローバル化して、競争が激しいから、日本の貧困率があがっても、どうにもならない」そう思っている人は読者の方にも多くないでしょうか。

しかし、ちょっと考えてみましょう。

グローバル経済に晒されているのは、日本だけではありません。<図1>の国々だって、グローバル経済の影響を受けているはずです。ですが、多くの国は日本よりずっと低いレベルに貧困率をとどめています。
日本では、「再分配機能」があまり働いていない

実は、これらの多くの国は、市場所得、すなわち税金や社会保険料を払う前、また、年金や児童手当、生活保護などの政府からの給付を受け取る前の所得で見ると、日本より高い貧困率なのです。しかし、税金・社会保険料、そしてさまざまな給付を通じて、政府が介入したあとの所得、すなわち手取り所得で見ると、貧困率はずっと低くなります。このような機能を、政府の「再分配機能」と言います。

日本では、この「再分配機能」があまり働いていないために、市場所得での貧困率はさほど高くないのに、手取り所得での貧困率が高いのです。

もちろん、再分配をするために、各国の政府は多大な財源を要します。そのために、国民からたくさんの税金も取ります。しかし、結果として、貧困層の人々の生活が楽になるのであれば、と国民は納得して税金を払います。

一方、日本は再分配をするのが難しい状況に陥っています。日本の財政は、支出が収入(税金等)を大きく上回り、大幅な赤字だからです。この赤字は、国債、すなわち借金で埋めており、現在、国の支出のなんと4割が借金でまかなわれています。この借金は、いつかは日本国民が払わなくてはならないものです。政府が無駄遣いを減らす努力も必要ですが、それだけではこの借金はなくなりません。こんな財政事情の中、貧困層への「再分配」などできないのです。
日本の貧困率の高さは、日本自身の身から出た財政状況によるもの

日本の貧困率が高いのは、「経済のグローバル化」といった日本の外にある「いたしかたがない」要因によるものではありません。日本の貧困率の高さは、日本自身の身から出た財政状況によるものなのです。財政を改善するには、全国民が腹を据えて、負担を引き受けるしかありません。国民が一丸となって負担を分け合い、一番必要な人々に再分配できるように、政治に求めていくか。それとも、あきらめて、貧困と格差のはびこる社会を受け入れ、自分の保身だけに走るのか。今、国民につきつけられている問いです。

<著者プロフィール>

阿部 彩(あべ あや)

首都大学東京 都市教養学部 教授。MIT卒業。タフツ大学フレッチャー法律外交大学院修士号・博士号取得。国際連合、海外経済協力基金を経て、1999年より国立社会保障・人口問題研究所にて勤務。2015年4月より現職。厚生労働省、内閣官房国家戦略室、内閣府等の委員歴任。『生活保護の経済分析』(共著、東京大学出版会、2008年)にて第51回日経・経済図書文化賞を受賞。研究テーマは、貧困、社会的排除、生活保護制度。著書に、『子どもの貧困』『子どもの貧困II』(岩波書店)、『弱者の居場所がない社会』(講談社)など多数。
 

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コメント
 
1. 2015年7月07日 06:39:23 : b5JdkWvGxs
日本の貧困層は殆どが自民党や橋下・小沢支持で共産党大嫌いだからこういう結果になったんだよ

自業自得だろ



[32削除理由]:削除人:小沢氏関連コメントはこちらhttp://www.asyura2.com/15/senkyo185/msg/914.html

2. 2015年7月07日 10:18:06 : snAc501eHi
政府は、くだらんところに金を使っている。

思いやり予算、戦備品を膨大な価格でアメリカから購入している。

こんな事とされていて、これが国民の負債になるのか?

馬鹿らしい、安倍の私財で払わせろ!

無駄遣いはするな!と要望しているのだ。

まづは、国会議員定数削減だ!

どうなっているのだ?


3. 2015年7月07日 12:59:08 : nJF6kGWndY

>本の貧困率が高いのは、「経済のグローバル化」といった日本の外にある「いたしかたがない」要因によるものではありません。

そりゃ、そうだ


>日本の貧困率の高さは、日本自身の身から出た財政状況によるもの

と言うより、働かず無所得の老人が増えれば、相対的貧困率は高まるに決まっているから、

それ自体は大した問題ではない


重要なのは、母子世帯など非正規の子育て世帯への再分配が遅れていること

結果として次世代労働者の効果的な再生産ができず、今後の生産性も低下し

国民全体が上から下まで貧困化していくことだろうな


4. 2015年7月07日 18:10:17 : zAjAzOiIWs
10年前に比べるとアジアで見かける日本人観光客もビジネス客もすごく数が少なくなった。いやほとんど街角で見かける事は無くなった。代わりに中国人がうじゃうじゃうろつくようになった。西洋人はいつもコンスタントな数で10年間変化が無い。

日本国内ではほんの少しだけ貧乏になった雰囲気だが、海外のビジネスで日本人を必要としている現場はもう見かけない。日本の現地企業でさえそうだ。日本の影響力が年々下がっていくのが分かる。

井の中の蛙、ゆで蛙状態とはこのことだろう。



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