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韓国経済、膨れる経常黒字と冷え込む景況感 MERSが追い討ち、官民挙げての緊急対策でデフレ不況を防げるか
http://www.asyura2.com/15/hasan98/msg/507.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 7 月 06 日 00:43:20: igsppGRN/E9PQ
 

過去最長期間の経常黒字を記録している韓国だが、決して喜んではいられない(写真は韓国の仁川港 (c) Can Stock Photo)


韓国経済、膨れる経常黒字と冷え込む景況感 MERSが追い討ち、官民挙げての緊急対策でデフレ不況を防げるか
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44221
2015.7.6 玉置 直司


 2015年7月2日、韓国の中央銀行である韓国銀行は5月の経常黒字が86億5000万ドルだったと発表した。これで39カ月という過去最長期間の経常黒字を記録した。だが、韓国経済は輸出と内需不振に構造的な問題まで重なり、景況感が冷え込み、なかなか明るい展望が見えてこないのが実情だ。


 韓国の経常黒字はここ数年、毎年過去最高値を更新している。


 2014年は894億ドルに達したが、2015年はこれを大幅に上回るペースで黒字が積み上がっており、暦年で史上初めて1000億ドルを超えるという予想も出ている。


 高度成長が続いた頃の韓国は、成長率は高かったが、部品、素材、生産設備を輸入に頼っており、経常赤字に悩んでいた。1000億ドルもの黒字など本当に隔世の感がある。


■「不況型経常黒字」という厳しい現実


 ところが、膨れ上がる黒字だが、経済に対する楽観的な見方はほとんど聞こえない。というのも、この膨張する黒字額だが、一皮めくると、厳しい現実があるのだ。


 韓国銀行の発表の前日の7月1日、産業通商資源部が6月の貿易統計速報値を発表した。それによると、輸出も輸入も1月以降、今年になって6カ月連続のマイナスだった。1〜6月の累計で見ると、輸出は前年同期比5%減、輸入は同15.6%減となった。


 つまり、輸入も減少したが、輸入がそれ以上に減少して、結果として経常黒字の大半を占める貿易黒字が増えているということなのだ。6月の貿易黒字額は単月としては過去最大の102億4000万ドルだった。


 39カ月連続の経常黒字は過去最長だが、これまでのタイ記録は1986年6月からの38カ月連続の黒字だった。この当時はまだ韓国経済が成長期で、黒字は画期的なことだった。


 それ以上に注目できるのは、この時は、1989年7月までの38カ月間で輸出も輸入も大幅に増加していたことだ。それだけ経済活動が活発だったのだ。


 今回、輸出が減少しているのは、最大の輸出仕向け先である中国の経済成長率が鈍化している上、世界景気に力強さが欠けているためだ。


 輸入が鈍化しているのは、原油価格の下落と国内景気の低迷のためだ。だから、韓国では「不況型経常黒字」という言い方が定着している。


 不況型であっても黒字が膨れ上がると、為替もウォン高になりがちだ。そうなると、ますます製品の輸出競争力が落ちる。こういう悪循環が続いているのだ。


■輸出以上に深刻な内需の不振


 「輸出立国」を掲げてきた韓国だけに、輸出が6カ月連続してマイナスとなることは経済に悪影響を与えている。それでは内需でカバーできるのかと言えば、内需は、輸出以上に深刻な低迷が続いている。


 「500以上客室があるが、5月半ばまではほぼ満室だった。今は、空室率が90%だ。連日、キャンセルの連絡ばかり受けているが、8月以降は予約もない」(大手ホテル運営会社幹部)


 「6月以降、毎週、外国人の売上高が25%ずつ減っている」(カード会社役員)


 筆者の周辺でもこんな話ばかりが聞こえてくる。


 韓国ではもともと国内消費は昨年から弱含みだった。輸出の伸び悩みもあって企業業績が停滞気味だった。1000兆ウォン(1円=9ウォン)を超える家計債務はさらに増加を続け、消費の足かせになっていた。



6月17日、ソウルの金浦国際空港の税関・出入国審査室で消毒剤を散布する作業員ら〔AFPBB News〕


 そこに追い討ちをかけたのが中東呼吸器症候群(MERS=マーズ)だ。5月末に感染者が出て以来、外国人観光客は激減した。国内でも、外出を控える雰囲気が強まり、百貨店や大型スーパーの売上高が低迷している。


 韓国に流通業界で好調なのはコンビニくらいだ。というのも、外出はできるだけ控え、買い物は近所で済ませたいという意識が強まっているからだ。


■韓国が恐れる日本型のデフレ不況


 5月の小売販売は前月比0%増だった。6月の統計はまだ発表になっていないが、大幅に落ち込むとの見方が強い。韓国は2014年に「セウォル号」の沈没事故後に追悼・自粛ムードが広がり、国内消費が冷え込んだ。今回は、これに加えて外国人観光客の激減などもあり、「影響はさらに大きい」との声が支配的だ。


 6月の消費者物価上昇率は前年同月比で0.7%。2014年12月以降、7カ月連続して0%台だった。


 「韓国は日本型のデフレ不況に陥ったのではないか」――。エコノミストの間ではこんな主張も出ている。


 貿易と内需の不振で企業活動にも大きな影響が出ている。


 5月の全体産業生産は前月比0.6%減となった。設備投資と併せて、これで3カ月連続のマイナスになった。平均稼働率は73.4%でリーマンショックの直撃を受けていた2009年5月以来の低水準だ。製造業の在庫率は逆に77カ月ぶりの高水準になった。


 韓国銀行が調査した、6月の企業景況判断指数(BSI)は66となり、6年ぶりの低い水準になった。5月の80から一気に14ポイントも落ち込んでしまった。


■干ばつで農業にも深刻な打撃


 もう1つ心配事がある。干ばつだ。5月以降、本当に雨が降らないのだ。日本の九州地方では大雨の被害が出ているが、韓国では一部の南部地域を除いて「日照り」が深刻だ。


 農業への打撃は避けられず、すでに一部の野菜の価格が急騰している。農家の収入に深刻な影響が出ることは必至だ。


 経済を取り巻く環境はとても「経常黒字過去最大」を肯定的にとらえられる局面ではないのだ。


 政府もこんな状況を放置しているわけではない。


 7月3日には、総額22兆ウォンの景気対策を実施すると発表した。6月末に、政府は2015年の経済成長率見通しを3.8%から3.1%に下方修正した。


 追加予算を編成して財政措置を講じることで何とか3%台の成長を実現させたい考えだ。


 だが、民間シンクタンクなどはすでに成長率が2%台に落ち込むとの見通しを相次いで出している。2%台の成長なら高いではないかと思われるかもしれない。だが、韓国の潜在成長率が3%台であり、一部の財閥に経済力が集中している現状では、2%台の成長では庶民経済にとっては深刻な問題だ。雇用にも大きな影響が出かねない。


 また、22兆ウォンの景気対策とは言うが、このうち5兆ウォンは税収不足を補うために使うことになりそうで、その効果は限定的だという見方が強い。


 さらに、懸念が高まっているのが、ここへきて政府と与党の間で不協和音が出ていることだ。


■大統領の怒りが爆発、与党内で不協和音



朴槿恵(パク・クネ)大統領〔AFPBB News〕


 景気対策を発表した6月25日の国務会議(閣議)。朴槿恵(パク・クネ=1952年生)大統領は、16分間にわたって話した。このうち12分間が政界批判だった。


 この日、大統領は与野党が可決した国会法改正案に対して拒否権を行使した。一連の法案可決の経緯に対して大統領の怒りが爆発し、強い口調で政界を批判した。


 国会法改正のポイントは、政府が出す施行令に対してこれまでは「施行令が法律と合致しない場合、国会は所轄官庁の長(主に長官)にその内容を通報できる」とあった。あくまでの施行令は行政の裁量権だという前提だった。


 だが改正案では「国会は施行令の修正・変更を要求できる。政府はこれに基づいて処理をし、結果を国会に報告する」とある。


 「行政権の侵害で、三権分立に反し憲法違反の可能性がある」――。大統領府(青瓦台)は繰り返し、法案に反対する意向を示していた。だが、与野党が一致して法案を通過させてしまったのだ。


 大統領の怒りの矛先は、主に与党、特に国会運営の責任者である院内代表に向けられた。


 「政治は国民のためになることを率先すべきだ。過去の政府が(違憲の疑いがあって)断念した改正案をまた成立させるという真意が理解できない」


 「政治が正道を歩まず政争に明け暮れ、国民の信義に背を向けて国民生活を担保にとって利益を得ようとする旧態政治はもう終わりにすべきだ」


 「政府が進めようとしている雇用関連法案や経済再生法案が国会で3年間も漂流している。与党の院内司令塔は、経済再生を進めるためにどれほど国会で協調を求めてくれたのか疑問だ」


 朴槿恵大統領にしてみれば、就任以来、いろいろな法案を出して経済再生を進めようとしてきた。だが、国会で与野党が対立して審議が思うように進まないことにかねて不満を持っていた。


 法案が通過しないのならと施行令で何とか対応してきた。にもかかわらず、経済法案を通さず、与野党が妥協して通したのが政府の手を縛る法案だったということが我慢ならなかったのだろう。与党は何をしているのだ、ということだ。


■大統領の拒否権行使に野党は反発、経済対策の遅れを懸念


 朴槿恵大統領が批判した与党の院内代表は、大統領が与党代表だった時に「秘書室長」を務めたかつての側近だが、ここ数年は疎遠になっていたという。大統領の批判を受け、院内代表は謝罪したが、青瓦台は辞任を求めている。



韓国国会の本会議場〔AFPBB News〕


 政府与党の不協和音の一方で、国会法改正案に拒否権を発動したことに対して野党は反発している。


 「経済対策は急務だが、予算措置を含んでおり、国会を通過させなければならない。政局の混乱で経済対策に遅れが出ないか心配だ」。韓国紙デスクはこう話す。


 大企業も、内需低迷には気をもんでいる。政府の対策を待っていられないとばかり独自の「内需振興策」に乗り出した。


■サムスンや国民銀行は独自の「内需振興策」


 サムスングループは、中小・零細商店などで使える商品券を300億ウォン分購入し、グループ企業の工場などで勤務する協力企業などに配布することを決めた。農家支援のため、ソウル中心部のサムスン電子などがあるグループ本社前に野菜などの直営店を出す。


 大手銀行の国民銀行はグループの従業員2万人に対して1人当たり10万ウォンずつ商品券を配布する。現代自動車も、車を購入した顧客に対する割引サービス用として商品券を購入した。


 サムスングループは、外国人観光客の激減の直撃を受けた観光業界の支援にも乗り出す。中国やアジアの現地法人の優秀成績社員など1000人を今月後半から韓国に招待するプログラムを始める。


 大企業がそろってこうした動きに乗り出すのは、恐らく政府の要請があったためと見られる。だが、それだけ事態を深刻だと認識しているからでもある。だが、こうした行動が、マクロ景気を上向かせるには力不足であるのは明らかだ。


 空前の経常黒字の中で、韓国経済の先行きに明るい材料がなかなか見えてこない。


 

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