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ATMに並ぶギリシャ国民(C)AP
ギリシャ楽観論の怪しさ…日本の“隠れ債権”は3000億円規模
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/161369
2015年7月3日 日刊ゲンダイ
ギリシャ危機は日本経済を直撃しない――市場に楽観論があふれている。ギリシャは6月30日が支払期限だった約15億ユーロ(約2000億円)を国際通貨基金(IMF)に返済しなかった。IMFは金融市場の混乱を避けるため、あえて「延滞」と表現したが、実態は債務不履行(デフォルト)だ。
先進国で初めてのデフォルトにEU(欧州連合)諸国は震えあがったが、日本市場は対岸の火事とばかりにのんきだ。2日の日経平均も前日比193円高で引けた。
「ギリシャは経済規模も小さく、日本への影響は軽微だと考えがちですが、5日に行われるギリシャ国民投票の結果次第では、もうひと波乱あります。日本が無傷でいられる保証などないのです」(株式評論家の杉村富生氏)
トロイカ(ECB=欧州中央銀行、EU、IMF)がギリシャを見捨てたら、ギリシャ政府は総額3120億ユーロ(約40兆円=3月末)の債務を返済できなくなる。ただ、債務の8割はトロイカなど公的機関向けで、残る2割が民間部門。危機の連鎖は限定的といわれるゆえんだ。
国際決済銀行(BIS)によると、民間金融機関が保有するギリシャ国債はイタリアの3億9800万ドル(約489億円)が最大で、日本は1200万ドル(約15億円)に過ぎない。そのせいで「直接的な影響はない」(大手銀行マン)といわれるが、「短絡的過ぎる」と警鐘を鳴らす市場関係者もいる。
「ギリシャ政府が発行したサムライ債(円建て外債)のうち約120億円が今月14日に償還を迎えます。そのほかギリシャのサムライ債は総額900億円規模で、多くは個人投資家が保有しています。デフォルトとなれば、損失を被る投資家が続出するのです」(証券関係者)
それだけじゃない。日本も出資するIMFはギリシャ向け債権約210億ユーロ(約2兆8000億円)を回収できなくなる。
「日本のIMFへの出資比率は米国に次ぐ2位で約6.5%です。日本はギリシャ向け債権の6.5%(1820億円)を負担するのと同じでしょう」(株式アナリストの黒岩泰氏)
ギリシャ国債(15億円)とサムライ債(900億円)、さらにIMFの“隠れ債務”を合計すると、日本の被害額は2735億円に上る。
さらに日本は、IMFに対し総額1600億ドル(約19兆6800億円)の融資枠を提供している。ギリシャ危機によって金融市場が大パニックに陥ったら、IMFは融資枠を利用する。日本国民の財産が、ギリシャはじめ世界中にバラまかれることになるのだ。
「ギリシャ・ショックで日経平均が600円近くも暴落した日に、東証1部の時価総額は15兆円も吹っ飛んだ」(証券関係者)
すべてを合算すると34兆9535億円。ギリシャ危機をナメないほうがいい。
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