http://www.asyura2.com/15/hasan98/msg/434.html
Tweet |
ギリシャ、破綻は自国に好都合?離脱するとユーロ圏のほうがデメリット大?
http://biz-journal.jp/2015/07/post_10592.html
2015.07.03 Business Journal
ギリシャの瀬戸際外交が続いている。債権団との合意ができない状態が続いており、6月30日にはついに国際通貨基金(IMF)への支払いを延滞した。事実上の債務不履行(デフォルト)状態に陥ったが、債権者に民間機関は少なく、現時点では影響は限定的だ。ただ、このままEU(欧州連合)との歩み寄りが見られなければ財政は破綻し、ギリシャはユーロ圏離脱に追い込まれる。「茶番」とまでいわれたギリシャ危機だが、お互い後戻りできないところまできている。地政学的にも重要な位置にあるギリシャの選択は、ユーロ圏の将来を大きく左右することになる。
債権団と交渉の結果、予測されてきたギリシャの結末は3つだった。チプラス現政権誕生時に打ち出した脱緊縮をあきらめ、債権団の要望に屈する。お互いが譲歩して着地点を見いだして、支援策を受け入れ、ユーロに残留する。最悪の結末は、デフォルトしてユーロ圏を離脱する。「茶番」と指摘されたのは、チキンレースを繰り広げながらも、土壇場でお互いがブレーキを踏むとの見方が支配的だったからだ。
ところが、チプラス政権は賭けに出た。欧州中央銀行(ECB)やIMFなど債権団が支援継続の見返りに要求した改革案を受け入れるかを、7月5日に国民投票で決めるとチプラス首相が6月27日に突如発表。寝耳に水のECBは支援を見送り、ギリシャは30日に返済期限を迎えたIMFへの債務15億4000万ユーロ(約2064億円)が債務不履行に陥った。
事態は急変してユーロ圏離脱も視野に入ってきたが、金融システムへの影響は直接的には少ない。前回の欧州債務危機を受け、ユーロ各国は財務状況や労働市場を改善。危機の連鎖の可能性は小さくなっている。制度的にもユーロ圏における資金支援の枠組みや国債市場介入の仕組みなど、セーフティネットを整備。たとえギリシャが離脱する結論を出したところで、影響を極小化する体制を整えてきた。
「ギリシャのGDPは神奈川県と同程度にすぎない。ドイツがギリシャ危機を煽ったのは、ユーロ安が国内製造業の追い風になるから。ギリシャが残留しても周期的に財政危機に陥るのは明らか。離脱したほうがユーロ圏の金融システムは長い目で見れば安定する」(アナリスト)。
■ギリシャが強気の理由
とはいえ、ユーロ圏の盟主ドイツがギリシャ離脱を楽観視できない材料もある。それが、破綻寸前ながらもチプラス政権が強気な姿勢を崩さない理由でもある。
ひとつの懸念が、ギリシャとロシアの接近だ。交渉が大詰めを迎えた6月19日、チプラス首相はロシアのサンクトペテルブルクに現れ、プーチン大統領と会談。天然ガスパイプラインをギリシャに延ばすことで合意した。「ロシアとの協力を拡大したい」と述べ、ウクライナ危機でEUと対立するロシアに接近することで揺さぶりをかける。
ユーロ圏の未来も気がかりだ。ギリシャは、ユーロ圏を離脱すればハイパーインフレに見舞われるのは必至。ユーロ残留よりも痛みを伴うが、EU全体の動きに振り回されずに、自主路線を歩める。初期の改革の痛みさえ乗り越えられれば、ギリシャに続けと経済的に不安定な南欧のイタリアやスペインなどの離脱にもつながりかねない。融資の焦げ付きなど直接的な被害はともかく、欧州単一通貨構想が頓挫することになりかねない。
「ギリシャとEU諸国を比べた場合、ギリシャ離脱は後者の受けるデメリットのほうが実は大きい可能性もあります」(前出と別のアナリスト)
ECBは、ギリシャ向け緊急融資に対する制限について再検討する用意があるとしている。実際、現実的には政権交代を伴う可能性はあるものの、ユーロ残留の可能性が高いとの見方が市場では優勢だ。捨て身のチプラス政権は果たして、債権団の譲歩を引き出せるのか。
(文=黒羽米雄/金融ジャーナリスト)
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。