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相変わらず解消されない原油の供給過剰状態 年内に再び「50ドルまで急落」の声も(JBpress)
http://www.asyura2.com/15/hasan98/msg/432.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 7 月 03 日 00:27:15: igsppGRN/E9PQ
 

          OPEC加盟国イラクの北部バイジにある石油精製施設(資料写真)。(c)AFP/Stan HONDA〔AFPBB News〕


相変わらず解消されない原油の供給過剰状態 年内に再び「50ドルまで急落」の声も
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44194
2015.07.03 藤 和彦 JBpress


■増産で市場シェア確保を目指すOPEC

 原油価格が下落を始めてから1年が経った。2014年7月まで1バレル=100ドル前後で推移していた価格は42ドル台まで下落し、2015年3月半ばから反転。5月には約5カ月ぶりに60ドル台に達し、以降2カ月にわたり原油価格は60ドル前後で推移している(7月1日は4月以来の大幅安となり56ドル台となった)。

 しかし原油の供給過剰という構図に変化は見られない。むしろ需給バランスは悪化している。供給の増加が続く一方、最大のエネルギー消費国である中国の需要見通しに陰りが出ているからだ。米エネルギー省が6月に公表したデータによれば、世界の原油の供給過剰量は昨年の第2四半期末から2倍以上に増加し、日量260万バレルに達している。

 石油輸出国機構(OPEC)の6月の原油生産量は前月に比べて30万バレル増の日量3160万バレルとなり、今後数カ月間はこの水準で推移する見通しである。

 OPECが6月16日に発表した年次報告によれば、加盟国全体の昨年の原油輸出量は9933億バレルで、2013年の1兆1120億バレルから減少した。輸出額も2010年以来初めて1兆ドルを下回っている(前年比11%減)。現在の原油価格では、OPEC加盟国のほとんどが財政均衡に十分な原油収入を得ていないはずである。そのため、当面は増産することはあっても減産することはないだろう。

 OPECが市場シェア確保を目指す方針を堅持しているため、供給過剰の状態は過去30年で最も長期にわたって継続しそうである。国際エネルギー機関(IEA)のデータによれば、世界の原油供給は過去5四半期にわたって需要を上回り、既に1997年のアジア通貨危機以来、供給過剰の状態が最も長くなっている。OPECが現在の生産を維持すれば、供給過剰の期間は第3四半期までには1985年以来で最長となる見込みである。核合意が決裂してイランが国際石油市場へ完全復帰しなくても供給過剰が解消しないのである(米エネルギー省は少なくとも2017年まで供給過剰が続くと予想している)。

■中国のエネルギー需要にブレーキ

 中国の需要見通しはどうか。昨年の中国のエネルギー需要は1990年代以来、最も低い伸びだった(2.6%増)。5月の原油在庫は増加し、中国社会科学院は6月17日「エネルギー消費は落ち着く」との見方を示した。

「思ったよりも落ち込みがひどい。途中で建設工事が止まってしまう事態も出ており、今は異常な感じにある」(2015年6月25日付ブルームバーグ)

 このような認識を示したのは日立建機の辻本雄一社長である。日立建機によれば中国全体の油圧ショベル需要は4月が前年比47%減、5月は同48%減と半減、6月についても思ったよりも盛り上がっていないという。5月の住宅販売は前年比32%増加したものの、主要な不動産開発会社が在庫の圧縮を急いでいるため、建設・不動産向け投資が引き続き抑制されているからだ。

 また6月18日付ブルームバーグによれば、主要開発会社25社のうち、昨年、事業・投資によるキャッシュフローがプラスだったのは2社のみで、純債務の総額は過去最高の9190億元だった。過去最高水準に達した債務を減らして現金を確保することに必至であり、「マンションを購入すれば高級車(ポルシェ)がもらえる」と宣伝する業者も出てきている始末だ。

 英HSBCが発表した中国製造業の景況感を示す購買担当者指数(PMI)は、6月も49.6と好不況の判断の節目となる50を4カ月連続で下回った。第2四半期のGDPは四半期ベースで6年ぶりの7%を割り込む公算が大きくなっている。

 中国政府は昨年末から成長促進策を講じてきているが、今のところ効果が出ていない。第1四半期の名目成長率(5.8%)が実質成長率(7%)を下回っており、デフレ化の懸念も生じている。年内に中国の成長が回復しなければエネルギー需要は昨年以上に抑制されるだろう。国際通貨基金(IMF)は今年の中国の需要増加は2009年以降で最低の水準になるとしている。

■サウジとロシアの熾烈なシェア争い

 中国の原油需要が伸び悩む中にあって、サウジアラビアとロシアのシェア争いが激化している。

 ロシアの5月の中国への輸出は日量93万バレルと前月比21%増で、初めて中国に対する原油の最大輸出国となった。中国への輸出量は2010年から2倍以上に増加している。一方のサウジアラビアは前月に比べて43%減の日量72万バレルとなり、前月の1位からアンゴラにも抜かれ3位に転落した。

 6月18日から3日間、ロシア政府主催のサンクトペテルブルク国際経済フォーラムが開催され、サウジアラビア(ムハンマド副皇太子・国防相)が4年ぶりに参加した。同国外相は「武器購入を含めロシアとの2国間関係強化を目指す話し合いがなされた」としているが、原油生産を巡る議論が主なテーマだったのではないだろうか。

 世界最大の原油輸出国であるサウジアラビアの原油生産量は既に30年ぶりの高水準(日量1035万バレル)に達している。6月19日付ブルームバーグは、さらに「サウジアラビアは今年下期に原油生産量を生産能力の上限(日量約1100万バレル)にまで増やす」との見方を示した。「米国産シェールオイルが世界の原油供給量を調整する」と認識し始めたサウジアラビアが、フル生産を行う意向を固めたとしても不思議ではない。

 日本では、新興国による需要拡大なども背景に、今後原油価格が緩やかに上昇し、年内に1バレル=70ドルに達するとの見方が多い。だが、海外では世界のエネルギー消費における石油のシェアが縮小していることを加味すれば、供給過剰状態は恒久化するとの見方もある。「仁義なき増産合戦」(6月25日、産経新聞)が続く限り、原油価格は常に急落リスクをはらんでおり、「年内に再び50ドル以下まで急落する」と予想する声も小さくない。

■米国シェール企業の経営危機が顕在化か

 今や世界の原油市場のスイングプロデューサーになった米国のシェール企業だが、米エネルギー省は4月の生産量(日量569万バレル)をピークにその後緩やかな減産が続くと予測している。

 シェールの優良鉱区が広がる北部のバッケン地区では、6月の1油井当たりの産油量が前年比約1.5倍に拡大しているなど、1油井の平均生産量が伸びている。そのため、稼動リグ数が大幅に減少しても、原油生産が急激に減ることはないと見られている(リグ数の減少が第3四半期の序盤に底打ちするとの見方も出ている)。

 米国の原油生産は約30年ぶりの高水準に達しているが、シェール企業のアキレス腱も気になるところである。シェールブームの原動力となった債務がシェール企業各社を脅かしているからだ。

 6月19日付ブルームバーグによれば、各企業が支払う利息がこれまでにないほど増加しており、「世界最大級の産油地帯であるノースダコタ州バッケンシェール層の開発で知られるコンチネンタル・リソーシズが支払う利息は、同社の20倍の規模のエクソンモービルとほぼ同水準に達し、シェール企業62社のうち27社で売り上げの10%以上が利息の支払いに回されている(1年前は12社だった)」「シェール企業の債務は過去1年間で16%増加し、第1四半期末時点で総額2350億ドルにまで膨らんだ」という。

 シェール企業が抱える問題は、原油価格が1バレル=100ドルの時代でも一貫して売り上げを上回るペースで支出してきたことだ。シェール関連企業のジャンク債発行が増加傾向になったのは2009年以降であり、2012年以降に顕著に増加した。2019年以降は債券の償還が増加し始めたが、価格下落の影響で、米企業の5月のデフォルト率は2009年以来、最も急増している(6月17日付ブルームバーグ)。今後は「流動性」が大きな問題になるだろう(シェール企業の頼みの綱である先物取引から生じる利益は2015年9月に失効するケースが多い)。

■日本が頼るべきはサハリンの天然ガス

 国内に目を転じると、伊藤忠商事は6月19日、多額の損失を計上した米シェールオイル・ガス事業から撤退することを公表した。同社はロシアメデイア(ラジオ「スプートニク」)のインタビューに対して、「米国の天然ガス価格の見通しが良くなく、今後より一層事態が悪化すると判断したから」と事業撤退の理由を説明している。住友商事もシェール開発の失敗に伴う巨額減損により2015年3月期連結決算で16年ぶりの最終赤字に転落しており、鉱区の大半の売却を検討しているという。

 キャノングローバル戦略研究所の小手川大助氏はロシアメデイアに対し、「シェールガスが儲かるためには(原油価格が)平均で1バレル=75ドル以上必要だが、現在のように60ドル程度では損失しか生じない。日本のエネルギー戦略にはシェールガスは入っておらず、ロシアとのエネルギー協力、特にサハリンの天然ガスに注目が集まっている」との見解を述べている。

 先述のサンクトペテルブルク国際会議に参加しプーチン大統領との会見に臨んだメデイア関係者によれば、「時間は短かったが『日本に向けた前向きなメッセージ』が中心だった」という。プーチン大統領はその中でサハリンの液化天然ガス(LNG)の生産を拡大する方針を表明した。

 しかし、残念ながら露国営ガス会社ガスプロムは、日本へのLNG輸出について消極的な動きを示している。ガスプロムは6月に入り、サハリン2で建設されたLNGプラントの拡張を巡る決定を来年以降に先延ばしにするとともに、2019年までに供給開始する計画だったウラジオストクのLNGプロジェクトに関する投資を延期するとの見解を明らかにした。日本に輸入されるLNG価格は原油価格に連動するため直近1年間で「価格破壊」が起こっており、「採算が合わない」とガスプロムが判断したようである。

 一方、ガスプロムは6月18日、独イーオン、英蘭シェル、オーストリアのOMVとともに、バルト海を経由してロシアとドイツを結ぶガスパイプライン(「ノルドストリーム」)について、パイプラインを2本新設することで合意したと発表した。ロシアの天然ガスの最大輸出国であるドイツが今年5月に購入した天然ガスの量は、前年比で68%増加している。ノルドストリームのパイプライン新設は、「国際情勢の緊迫化にかかわらず、エネルギー貿易の拡大が見込まれる」というロシアおよび欧州企業の経営判断によるものだろう。

 日本では6月17日、改正電気・ガス事業法が成立した。2016年4月から家庭向けを含む電力小売りの自由化が実施され、2017年からをめどに都市ガスの小売りが実施されることになる。それを踏まえて、日本パイプラインは、サハリンの天然ガスを札幌まで輸送するパイプラインをガスプロムとの合弁方式で整備し、安価な電気(価格は石炭火力並み)とガスの供給を通じた「地方創生」事業に優先的に取り組む意向を固めた。

 6月24日安倍首相はプーチン大統領と電話会談し、「両国にとって適切な時期にプーチン大統領を日本へ招待する」ことを確認したとされている。筆者がかねてより主張している「サハリンからのパイプラインによる天然ガス供給」が、日本のエネルギー安全保障とともに日露関係の発展に寄与することを願ってやまない。

 

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コメント
 
1. 2015年7月03日 08:34:13 : nJF6kGWndY

>日本が頼るべきはサハリンの天然ガス

笑える


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