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画像提供:コマツ
コマツとクボタは、隠れたビッグデータ活用先進企業!今後の鍵を握る「カイゼン」のDNA
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150702-00010004-bjournal-bus_all
Business Journal 7月2日(木)6時1分配信
●派手ではないが、先進的なB2B企業のデータ活用
ビッグデータやIoT(Internet of Things:インターネットとモノの融合)、DMP(Data Management Platform:データの収集・利用)などの活用というと、米P&Gや米ナイキ、米コカ・コーラ、米アップルといった派手なCMやキャンペーンを展開する先進的なB2C(対消費者向け)の事例が取り上げられることが多い。
しかし実はB2B(対企業向け)企業が一歩も二歩も先を進んでいるケースも多い。中でも、建設機械大手コマツや農業機械大手クボタの取り組みは、これから日本企業がビッグデータ競争時代を勝ち抜いていく上で参考になる点が大いにあるので紹介したい。
●ビッグデータ活用の最先端をひた走るコマツ
コマツのデータ活用導入の歴史は長い。iPhoneやスマートフォン(スマホ)が登場するよりも以前、NTTドコモがi-modeを開始した1999年まで遡る。当時コマツは、建設機械の位置状況や稼働状況のデータを一元管理する「KOMTRAX(コムトラックス)」という独自システムを開発していた。燃費改善のアドバイスなど顧客へのさまざまなサービスの提供や、生産・在庫調整など自社の経営効率化に活用することで、継続的に10%以上の営業利益率を実現することに成功した。
コムトラックスは、世界中の建設機械から建機の位置、稼働時間、動作モードなどの稼働状況や、燃料の残量、消耗品の状況などのデータを携帯電話網や衛星データ通信で収集し、顧客に多様な情報を提供する。コマツが販売する自社機器については情報を見ることができ、顧客は日常行う作業日報の記録・管理や、消耗品交換時期の把握に役立てることができる。
また、コムトラックスで取得したデータを分析することで、付加価値の高いサービスを提供することも可能だ。例えば、各機種の燃料使用量を把握することで、顧客に省エネ運転のアドバイスをし、燃費が2〜3割下がることもある。さらに、世界中の建機の稼働状況から、その地域の経済先行きを分析することで、自社における建機生産・在庫調整にいち早く着手することも可能になる。
こうしたコマツの機械稼働管理サービスは今や業界標準となり、同業種の競合建機メーカーだけでなく、ヤンマーなど異業種にまでその活用が広がっている。
●競争力を飛躍的に高める取り組み
他社が同様の取り組みを行い、競争優位性が弱まりやすい環境にある中、コマツはさらにその先へと目を向け、データ活用の競争力を飛躍的に高めようとしている。
その一つは、データ活用領域の拡大だ。これまでは建機の稼働管理におけるデータ活用がメインであったが、今年2月からは「スマートコンストラクション」として、建機を活用した現場の施工管理における総合的支援へと拡大している。このサービスには、無人飛行機(ドローン)による高精度測量や、施工進捗から工期に合わせた日々の最適な施工量を算出する最適施工マネジメント、経験の浅い機器オペレータの運転サポートを3次元でナビゲートする最適施工手順ナビゲート、現場で必要となる日々の情報をタイムリーに共有するスマホアプリなど、さまざまなものが含まれている。
もう一つは外部連携によるデータ活用の進化。自社単独にこだわらず、ノウハウを相互補完できる外部とのパートナーシップを通じて、高次元のデータ活用をよりスピーディーに実現することを目指している。
今年にはビッグデータ活用の分野でも世界的なリーディングカンパニーである米GEと合弁会社を設立。世界の鉱山で生産設備の稼働データを共同分析し、効率運営支援で提携し、両社のビッグデータ活用のノウハウを持ち寄り事業展開することが決まった。今後、コマツの鉱山機械などから収集したデータと運営ノウハウ、GEの高度なデータ解析力により、燃費改善や人員の最適化を実現させ、資源会社の費用削減を支援する。
●農業経営を支援するクボタ
コマツと同様に、一見するとビッグデータとは最も縁遠い世界にみえる日本の農業分野で、データ活用による高付加価値化を推進している企業もある。その中心的な存在がクボタだ。
コンバインやトラクタ、田植機などの農機を製造・販売するクボタは、これらの農機で取得できるデータを活用した新たなビジネスを展開している。中長期的に縮小傾向にある日本市場において、単純な機器販売では収益性に限界があり、データを活用することによる高付加価値化は喫緊の課題であった。そこで、12年に実に20年ぶりとなる全社的な組織改革を実施し、コンバインやトラクタ、田植機、汎用、車両基礎など各技術部を束ねる組織に刷新。栽培から経営まで農家をトータルに支援するクボタスマートアグリシステム(KSAS)のプロジェクトを開始し、14年から当事業を本格化させた。
クボタの新しいコンバインは、コメの収穫量だけでなく、食味まで測定できるセンサを備えている。内部搭載されたこのセンサは、コメに含まれるタンパク質と水分量を測定し、そこから食味を推定する。このデータはコンバインの運転席にあるパネルに表示されるとともに、専用のスマホを介してクラウドサービスにデータが送信される。田畑ごとに収穫量や食味がビジュアルでデータ分析できるような仕組みになっている。
これらのデータが蓄積されることで、次の作付けの際に、田植機やトラクタでどの程度の肥料を投下すればコメの収穫量や味を向上させることができるかといった、PDCAサイクルによる「カイゼン」を実現できる。
実際この取り組みにより、15の田畑でコメがおいしいとされる基準(タンパク質の含有率:5.5〜6.5%)が達成され、さらに収穫量についても単位面積当たりで約15%増加し、農家の経営改善に成功している。
●データ活用成功のポイントは「カイゼン」
これまでB2C企業のデータ利用は、カードやポイントで把握できる購入実績データや、スマホやPCで得られるオンライン上の行動データを中心に扱ってきたが、これからIoT時代が本格化することにより、製品から得られる膨大なリアルタイムのデータが新たに加わることになる。
また、データを活用する範囲も、現在のように広告・販促活動の効率化だけでなく、商品・サービスの機能性向上や、顧客に対するトータルな課題解決の支援へと拡大していくことになるだろう。その際、企業は今まで以上に高性能なデータ処理や分析システム等を備えた高度なシステム構築が必要になってくる。
ただし、どんなに立派なシステムを備えて多種多様なデータをリアルタイムで集めたとしても、使われない限り、なんの効果も生まれない。そして、一度で効果的な解が出るようなものではなく、PDCAサイクルを何十回、または何百回と回し続けていく中でこそ効果が得られる。気の遠くなるような話だが、これは今まで日本企業が現場を中心にDNAレベルで実践してきた「カイゼン」の世界であり、対象がビッグデータになっても変わらない。
コマツやクボタなどのB2B企業からデータ活用の取り組み方を知るとともに、従来からのカイゼンのDNAをデータ活用の世界に持ち込むことができれば、日本企業にとってビッグデータは大きな武器になるはずだ。
(文=村澤典知/インテグレート執行役員、itgコンサルティング 執行役員)
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