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6月29日、日銀の黒田東彦総裁は28日スイス・バーゼルで開かれた国際決済銀行(BIS)の年次総会で講演した。29日公表された講演要旨によると、総裁は2%の物価目標を2016年度前半に達成するとの現時点での見通しに対する「リスクは看過できない」と述べた。都内で4日撮影(2015年 ロイター/Toru Hanai)
物価目標必達で断固たる姿勢、リスク看過できない=黒田日銀総裁
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0P901P20150629
2015年 06月 29日 10:19 JST
[バーゼル/東京 29日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は28日スイス・バーゼルで開かれた国際決済銀行(BIS)の年次総会で講演した。29日公表された講演要旨によると、総裁は2%の物価目標を2016年度前半に達成するとの現時点での見通しに対する「リスクは看過できない」と述べた。その上で目標必達には断固たる姿勢を示すと明言し、必要ならば追加緩和も辞さない姿勢を改めて強調した。
<物価目標遠く及んでいない、世界経済に不確実性非常に強い>
黒田総裁は物価について「原油価格下落による一時的な影響が一因とはいえ、依然目標には遠く及んでいない」と指摘。「2016年度前半頃に2%の目標に達する可能性が高いとの見通しに変わりはない」としつつも、「地政学要因を含め世界経済に不確実性が非常に高いなかで、見通しに対するリスクは看過できない」とした。
<断固たる姿勢で目標達成と確信>
日銀の「2%目標実現に向けたコミットメント(必達意志)は決して揺るがない」「断固たる姿勢を保つことで必ず目標達成できるものと確信している」と強調した。
特に、日本のように長期にわたり根付いたデフレマインドを払拭するには、「強いコミットメントと、明確で一貫した情報発信、断固たる行動」により「インフレ期待に大きな影響を与える」ことが重要と説明した。
<バランスシートの大きさ重要>
同時に「中央銀行のバランスシートの大きさは重要」と指摘。「物価上昇は究極的に貨幣現象と広く認識されているので、巨額の通貨供給はデフレ克服に向けたコミットメントを表す」と説明。日銀が進めている「量的・質的緩和(QQE)」でも、「マネタリーベース(資金供給量)の拡大は重要な役割を担っている」と改めて解説した。
<量的緩和「効果ある」>
黒田総裁は、米連邦準備制度(FRB)のバーナンキ前議長が、量的緩和などの非伝統的金融政策は「理論的には効果が説明できない」と発言した点にも触れた。一部の学者の間では疑問も出ているが、実際には非伝統的金融政策により「需要刺激に成功」しており、「中央銀行の間では、効果があるというのが共通理解(コンセンサス)」と明言。効果の有無でなく「なぜ効果があるか」を解明すべきとした。
(竹本能文 編集:野村宏之)
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