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「ダメなものはダメよ」「こいつの苦しい立場もわかってやって下さいよ」。発言の内容はともかく、25〜26日のEU首脳会議ではまだ笑顔があったのだが・・(左からギリシャ・チプアス、イタリア・レンツィ、ドイツ・メルケル首相、写真:AP/アフロ)
日本株はギリシャ問題深刻化でどうなるか ギリシャ二転三転で近づくデフォルト
http://toyokeizai.net/articles/-/74948
2015年06月28日 馬渕 治好 :ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト 東洋経済
6月の第4週は、日本株のみならず、欧米株も含めてギリシャ情勢を巡る「から騒ぎ」の感が強かったが、週末の27日になって同国のチプラス首相が7月5日(日)に国民投票を実施すると表明した。ギリシャ議会は紛糾しているが、ユーロ圏財務相会合は、当面ギリシャ向け支援を打ち切る方針を打ち出した。
■終わっていなかったギリシャ問題
今一度直近のギリシャ情勢を振り返ってみよう。チプラス首相は、6月21日(日)に新しい財政改善案を提出したと報じられ、一気にギリシャへの財政支援交渉が進展するとの期待が広がった。これにより日米欧主要国の株価が上昇、特に日経平均株価は6月23日(火)に381円も上昇し、24日(水)も続伸してついに2000年のITバブル時の高値2万0833円を抜いた。
そもそも、遠いギリシャについての好材料を、日本株が大いに好感した、というところからして行き過ぎ感が大いに漂うわけだが、実はこの間、筆者の友人でもある有力欧州政治ウォッチャーは「市場がここまで浮かれるのは全く理解できない。すでにギリシャを巡る問題が全て解決したかのような『から騒ぎ』だ。EU等の債権者側は、このギリシャ案ではまだ大いに不足だ。今後の交渉の行方はそう簡単には進むまい」と懸念を示していた。
結果としては、浮かれた市場よりも、欧州ウォッチャーの方が正しかったと言える。6月22日(月)のユーロ圏緊急首脳会議では事態を進展させることができず、25日(木)〜26日(金)のEU首脳会議前に形を作るため、24日(水)にユーロ圏財務相会合が、急きょ開催された。当初は、ここでじっくりと時間をかけて協議するものと見込まれており、ドムブロフスキス欧州委員会副委員長などは「長い夜になる」と語っていたと報じられた。だが実際にはわずか1時間で協議は打ち切りとなり、何らの成果も得られなかった。
なぜ長い夜になるはずが、1時間で散会になったか、という点について、現地では「夜を徹して議論する予定だったため、事務局が夜食にピザを用意した。だが、『ブリュッセル(会合の場所)のピザはまずいから嫌だ』と、イタリアからの出席者が1時間で帰ってしまったからだ」という冗談がまことしやかに語られていると聞く。
■世界のマーケットの目は、徐々に米国へ
結局、EU首脳会議の後に再度ユーロ圏財務相会合が6月27日(土)午後(日本時間では28日(日)の午前零時)から開催されたが、ギリシャが国民投票を表明したため、当面支援が打ち切られることになった。30日(火)には、ギリシャからIMFへの15億ユーロの返済期限が迫っており、デフォルトする可能性が高まった。
長い目で見れば、ギリシャ問題は、徐々に市場が取り上げなくなっていくだろう。これまでもそうだが、ギリシャ政府は瀬戸際作戦により債権者側の譲歩を引き出そうと努め、交渉が揉めに揉めた挙句、ギリギリになって譲歩する、ということの繰り返しであった。
今後も、EU等による支援の期限が迫るたびに、ギリシャは今までと同様の「田舎芝居」を何度も繰り返すだろう。先週に続き今週初も、この田舎芝居が短期的には市場を揺り動かす形だろうが、中長期的には、世界市場はギリシャ情勢を、楽観も悲観もしなくなって来るだろう。
ギリシャ情勢が徐々に世界市場の関心事から外れていけば、再度焦点は、世界最大の市場である米国に戻ってこよう。
米国の株価は、最終的には景気と企業収益の回復持続で、業績相場に移行するものと予想される。しかし今の金融相場的な状況から業績相場に移行する間に、中間反落を交えよう。
つまり、FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げやそれを先取りした長期金利の上昇が起こり、その時点でまだ業績が確固たる株価支持要因となり切っていないため、株価がいったん下振れすると見込まれるということだ。
今月は、一時は長期金利上昇と株価下落が米国で同時並行的に起こり、中間反落に本格的に足を踏み入れ始めたように見えた。しかし6月16日(火)から17日(水)のFOMC(米公開市場委員会)で、FRBの利上げが遅れそうだとの観測が市場で広がり、米国株式市況は、中間反落からまた「安住の地」である金融相場に「退行」してしまった。
すなわち、足元の米国株式市況の堅調さは、中間反落といういわば「必要な痛み」を乗り越えてしまったのではなく、その手前に戻ってしまったということである。したがって、現時点まで金利が低いからこそ許されていた高いPER(株価収益率)の「ツケ」を、これから本格的に支払わなければならない。
通常は、金利上昇は米ドル高要因であるが、金利上昇により米国株価が大きく下落すれば、米ドルを押し下げる方向で働きうる。米株安と米ドル安の同時進行が懸念される。
■日本株についてのこれからの「2つの投資戦略」
もし米株安とドル安が同時進行すれば、国内株式市場においては、円高の進行によって、輸出国際優良株が多く含まれる、大型株の不振が見込まれる。米国株価の下落により外国人短期筋が、リスク回避型の投資行動を推し進め、日本株にも売りを出そう。そうした外国人短期筋は、主として大型株を投資対象としているため、この点でも当面は大型株が劣位となりそうだ。
一方、年金など外国人長期筋は、個々の日本企業の収益改善傾向に着目し、個別に利益増を達成しそうな銘柄を丹念に発掘している。そうした利益の変化率が高い企業は中小型株に多く、外国人長期筋の地道な買いが、中小型株の株価を支えそうだ。
したがって、米国発の波乱要因でこれから当面国内株価が調整色を強める局面を、乗り切ろうというのであれば、以下の2つの戦略のどちらかをとるのが有効かもしれない。すなわち個別に有望な中小型株に投資するスタンスをとるか、あるいは、今は投資を手控え、全体相場の下落を待ち、株価が下がった後、大きく調整した大型株を押し目買いし、中長期的な株価の再上昇を狙う、という手法である。
さて、29日以降の全体相場については、引き続き、短期警戒(夏場は株価下落)、長期楽観(その後、年末から2016年に向けて株価上昇)の展望を維持する。そのなかで今週(29日(月)〜7月3日(金))の日経平均株価は、2万0200円〜2万0950円を予想する。
仮にギリシャ情勢が想定外に急転打開され、短期的な株価上振れがあったとしても、結局はその後は前述したように、米国のマーケットが意識され、徐々に下落基調に入っていくと見込むからだ。
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