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苦境ソニー株主総会、平井社長へ批判&追及続出
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150625-00010003-bjournal-bus_all
Business Journal 6月25日(木)6時1分配信
経営的に苦境が続くソニーの第98回定時株主総会が、6月23日10時から行われた。2014年度連結決算の最終損益は1260億円の赤字で、昨年(1284億円)より赤字幅が縮小したものの、目標だった営業利益率5%は達成できず、上場後初めての無配に転落。本格的な業績回復までなお時間がかかることを示した事業報告だった。
ソニーは昨年パソコン事業から撤退し、7月には不振のテレビ事業を分社化した。その結果、テレビ事業は11年ぶりに黒字化したことを受け、平井一夫社長は構造改革路線と経費削減の成功を強調した。独立性を高めて経営の意思決定スピードを上げるためにも、エレクトロニクス事業で順次分社化を進めることを明らかにした。
15年から17年の第二次中期計画では、それぞれの事業を「成長牽引領域」「安定収益領域」「事業変動リスクコントロール領域」の3つに分け、収益性重視とメリハリの利いた資源投下を重視した事業運営を目指すという。
成長牽引領域には、デバイス、ゲーム&ネットワークサービス、映画、音楽が入っている。安定収益領域は、カメラに代表されるようなイメージング・プロダクツ&ソリューション、ビデオ&サウンドの2つ。事業変動リスクコントロール領域には価格競争が激しい分野、テレビ事業とモバイル・コミュニケーションの2つを挙げた。15年度はスマートフォン(スマホ)事業の構造改革を行うとしている。
なお、18年度以降期待できる分野としては医療事業を挙げている。超高齢化社会を迎えて医療事業が成長産業であるのは間違いないが、開発から認可を経て収益を確保するまでに時間がかかる側面もある。オリンパスとの提携がいつ大きく花咲くかが注目される。
●株主からの厳しい追及
質疑では、一般株主から厳しい質問がいくつか出た。
「固定費削減を進めるばかりで、“感動を与える”商品をつくれるのか。有能な人材が流出して上司の顔色をうかがうような社員ばかり残ってしまわないか」
これに対して平井社長は「エンジニアは大切にしている。今のところ大きな損失は出ていない」と答えた。また、こんな指摘も向けられた。
「『週刊東洋経済』(東洋経済新報社)によれば、『5年間で広告宣伝費を増やしたトップ100社』にソニーが第3位で入っている。しかも5年前に比べて379億円増。一方、パナソニックは削った100社に入っている。広告宣伝費の使い方が効率悪い。広告を減らせば、損失は圧縮できる」
これに対して平井社長は「ソニーは映画や音楽、金融も抱えて全世界で宣伝している。一律に電機他社と比較はできない」と答えた。
さらにソニー元社員で中間管理職だった男性からは「この10年、業績が低迷し続けている原因を聞きたい。外部要因は理由にならない」との質問もぶつけられ、平井社長は次のように答えた。
「何度も分析してきた。理由はいくつかあるが、あえて1つだけ答えると、ソニーは価格やスペックで勝負するのがDNAではない。デザインとか手に取った質感とか、感性に訴えるものをつくってきた。その部分を忘れてきた」
今回の総会における会社提案議案では、執行役や従業員へのストック・オプション付与も盛り込まれていた。これに対して株主からは「株主は無配なのに、役員にストック・オプションは納得いかない」というクレームも出た。
4月中旬、平井社長ら現経営陣と5人の役員OBが会合を持ち、OBらは「ソニーの商品やサービスに魅力がなくなった」との不満を口にしたと一部では報道されている。昨年のように株主が退場させられるような事態は生じなかったが、平井社長への厳しい質問や批判が相次いだ株主総会となった。
(文=横山渉/ジャーナリスト)
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