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森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 介護で地方移住は現実的か
http://wjn.jp/article/detail/4416258/
週刊実話 2015年7月2日 特大号
民間機関の日本創成会議(増田寛也座長)が、6月4日に今後10年間で東京圏の介護需要が45%増えて、介護施設が不足するため、東京圏に住む高齢者が地方移住することを提言した。
東京圏の介護需要が急拡大する最大の理由は、70歳台後半以降の後期高齢者が、団塊の世代の加齢によって今後急増していくことだ。介護は後期高齢者になってから急激に拡大する。そして、団塊の世代は兄弟の数が多いので、ふるさとの実家を出て都会で世帯を構成しているケースが多いことも、介護施設利用のニーズを高めることになる。
ところが、大都市圏、特に東京では、大きなニーズに応えることのできる介護施設が十分ではない。もちろん、ニーズの拡大に合わせて介護施設を作っていけばよいのだが、都心部には介護施設を作ることのできる土地が少なく、あったとしても地価が高いので介護施設の料金が高騰してしまう。現に、東京都心の介護施設のなかには、入居金が1億円というところまである。現実問題として、普通の庶民が利用できる金額ではないのだ。
そこで日本創成会議は、医療・介護の施設や人材に余力のある41の地方都市を明示して、東京を中心とする大都市圏からの移住を提言した。私は、日本創生会議の将来推計自体は正しいと思う。しかし、介護のために地方移住させることは現実的ではないと思う。なぜなら、若い世代の地方移住も、必ずしもうまく行っていない。地方と大都市中心部では、人間関係の濃さが大きく異なる。大都会の人間は、地方の人間関係の濃さについていけないのだ。
もう一つの理由は、高齢者の生活の継続性だ。日本創生会議が挙げた受け入れ余力のある41地域は、北海道、四国、九州と本州の日本海側に集中している。例えば、東京に最も近い甲信越・北陸の受け入れ可能地域は、上越市、富山市、高岡市、金沢市、福井市だ。もちろん素晴らしい環境の街ばかりなのだが、東京で暮らしてきた高齢者がこれらの地域に移住したとすると、交流のあった仲間や親戚、あるいは利用してきた文化施設と大きな距離を置かざるを得なくなる。
私は、現実的な解決策は、東京郊外への移住だと思う。現時点では、東京郊外も介護施設が足りないが、施設を作る十分な土地がある。
しかも、駅からバス便のような場所は、住民の都心回帰にともなって地価が大きく下落しているため、施設の建設費用も節減でき、比較的安価な労働力も豊富に存在する。彼らに介護の技術を身につけてもらえば、十分な介護サービスを提供することは可能だろう。
東京郊外であれば、必要な時に1時間あまりで都心に出ることも可能だから、東京で古くからの仲間と再会することも容易だし、東京の文化的刺激を味わうこともできる。地方部のように濃すぎる人間関係に煩わされることもないのだ。
私は、東京から50キロ圏の埼玉県所沢市に住んでいるが、物価も安いし、自然も豊かで、生活環境はとてもよい。
唯一の問題は、十分稼げる雇用機会がないことだけだ。だから、仕事を引退したら郊外に移住し、その街で暮らしながら、介護が必要になったら、その地域でサービスを受けるというライフスタイルの方が現実的ではないだろうか。
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