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ドル高と高水準の供給継続で 原油の上昇ペースは緩やかに
http://diamond.jp/articles/-/73610
2015年6月24日 芥田知至 [三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部主任研究員] ダイヤモンド・オンライン
OPEC(石油輸出国機構)は6月5日に開催された定例総会において、事前予想の通り、原油生産量の目標を日量3000万バレルに据え置くことを決定した。総会前には、原油の過剰供給が続くとの見方から、原油相場は下落傾向で推移していた。同日には、米国の雇用統計が発表になり、雇用増加数が予想を上回ったことを受けて、ドル高が進行し、ドル建てで取引される原油の価格押し下げ要因となっていた。しかし、OPECが据え置き決定を行った後、原油相場は上昇した。「うわさで売って、事実で買い戻す」動きになった。
その後、9日の原油相場は大幅に上昇した。この背景には、8日に米エネルギー情報局が発表した“Drilling Productivity Report”において、シェールオイルの減産傾向が示されたことがある。この統計は、米国にある七つのシェール層について、掘削リグ稼働数、原油生産量、天然ガス生産量などを毎月発表している。
この統計によると、シェールオイルの生産量は、4月の日量569万バレルをピークに、5月は565万バレルにまで減少し、6月(558万バレル)と7月(549万バレル)も減産が続く見通しとなっている。
生産量が多い三つの地区のうち、パーミアン地区では原油生産量の増加が続く見込みであるものの、バッケン地区とイーグル・フォード地区では減産が続く予想となっている。
値動きが大きくなる日もあるが、5月以降の原油市況(ブレント)は、1バレル当たり60ドル台と狭いレンジでの推移が続いている。シェールオイルの減産が緩やかに進んではいるものの、OPECが高水準の原油生産を維持し、原油供給が潤沢な状況は続いていくとの見方が、大きく変化していないことを反映している。
もっとも、銅やアルミニウムの市況が、5月以降、下落したことと比べると、原油は底堅かったともいえる。中国景気が減速した状態を続ける中で、金属の需要が伸び悩んでいるのに対して、原油は中国の備蓄向け需要が世界需要を押し上げる要因として意識されたことが影響した。
先行きを考えると、シェールオイルの減産傾向が続き、米国の原油需給の緩和状態は緩やかに引き締まりに向かうとみられる。
しかし、米利上げ観測を背景としたドル高圧力の継続、OPECからの高水準の原油供給、世界景気の緩やかな拡大テンポなどが原油価格の抑制要因となり、原油相場の上昇ペースは緩やかになるだろう。
6月末を期限として交渉が続くイラン核開発協議で合意が成立すれば、イラン産原油の供給圧力も一段と意識されることになる。
(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部主任研究員 芥田知至)
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