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ガラスに直接、液晶ディスプレイガラスを張り合わせる。壁に張ることも可能だが、ガラスにガラスを張るという需要の創出を目指す
旭硝子が新製品に埋め込む 一発逆転のビジネスモデル
http://diamond.jp/articles/-/73671
2015年6月23日 週刊ダイヤモンド編集部
今年の春より、液晶ディスプレイガラスで世界2位の旭硝子は、“ガラスにガラスを張る”という世界初の新製品(「インフォベール」)の本格販売を開始した。水面下で温めてきた3年越しの計画だ。
この新製品は、デジタルサイネージ(電子看板システム)の一種だが、ガラスに直接、液晶ディスプレイを張り合わせるために、専用の架台は必要としない。また、一般的なサイネージと比べて視認性を大幅に向上させた。
見た目は、厚さ35ミリメートルのディスプレイをガラスに隙間なく張り合わせた格好で、躯体はフラットな構造で省スペースに徹した。すでにイオン・グループの一部の店舗などに25台が設置されており、現在は“たくさん人が集まる場所”を中心に売り込みをかけている。
例えば、鉄道会社には、まだ誰も手を付けていない座席の後ろにある窓ガラスの一部に小型ディスプレイを張り付けてもらう。鉄道会社にとっては、新しい収入源(広告媒体)となり、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに向けた車両の改良計画の動きにも一致する。
■創業109年目の挑戦
一見すると、旭硝子は、ガラスメーカーだからディスプレイの出荷量を増やしたいだけに思える。だが、その裏側には、積年のビジネスモデルをひっくり返す“仕掛け”が巧妙に埋め込まれている。
まずは、戦略的な価格設定だ。現行のサイネージは55インチの据え置き型で200万〜300万円だが、大規模工事が不要な旭硝子のものは100万〜150万円になる。
次に、ガラスにガラスを張り合わせるには、特殊な樹脂でできた接着剤を使用する。これは、化学メーカーとしての顔を併せ持つ旭硝子が自社開発した“秘中の秘”で、競合他社は同じようなディスプレイは製造できてもきれいに張り合わせる技術を持たない。事実上、ライバルは存在しないのだ。
さらには、専門スタッフによる「ガラス診断」を行えば、既存のガラスに張り合わせることも可能となる。ディスプレイを設置する場所により、同じチェーン店でも日照条件などがかなり異なるため実質的に全てオーダーメイドとなる。
最大の眼目は、旭硝子が“部材”としてのガラスを供給するにとどまらず、“設置工事を伴うパッケージ製品”の提供に乗り出すことにより、ビジネスの主導権を握る点にある。旭硝子の事業開拓室で新製品の企画・開発を担う笠井英雄・統括主幹は、言葉に力を込める。「今後は部材と施工をトータルで手掛ける。施工でもしっかり稼ぐ。20年には100億円規模のビジネスに育てたい」。
今年で創業109年目の旭硝子が模索する一発逆転策、すなわち“大口顧客から買いたたかれる立場からの脱却”は、業績回復の起爆剤となり得るか、産業界の耳目を集めそうだ。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 池冨 仁)
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