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世界で金融が“兵器”と化す新時代が到来(週刊ダイヤモンド)
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投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 6 月 23 日 00:06:05: igsppGRN/E9PQ
 

5月20日、ロレッタ・リンチ米司法長官は外国為替相場の不正操作問題で、米欧金融機関6社に対して総額58億ドル(約7000億円)の罰金を科すと発表した。金融機関は同じ案件で国内外複数の監督・司法当局などから罰金を科される状況に陥っている Photo:REUTERS/アフロ


世界で金融が“兵器”と化す新時代が到来
http://diamond.jp/articles/-/73672
2015年6月23日 週刊ダイヤモンド編集部


かつてSF(空想科学)の世界だった国家間のサイバー戦争は、時代の進展で現実のものとなった。そして今、世界は“金融戦争”の勃発を視界に捉えつつある。銀行のルールブック変更での国益争いや、外国銀行への1兆円もの罰金制裁などは、金融が“兵器”と化す新時代の到来を予感させる。(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木崇久)

「金融の兵器化」──。国際政治リスクを分析する米調査会社ユーラシア・グループが、年初に発表した「2015年の世界の10大リスク」の中で挙げた項目だ。

 見慣れないこの字面が意味するところは、米国による新たな覇権掌握の手法だ。米国はかつてのように軍事力ではなく、金融という新たな“兵器”で世界的に影響力を発揮しようとしているのだ。

 それを端的に示すのが、外国銀行への巨額の罰金制裁だ。14年6月、米国が仏銀行最大手のBNPパリバに対して約90億ドル(当時のレートで約9100億円)もの罰金を科したことはその象徴といえる。フランスの大統領や中央銀行総裁が強い反発を示すなど、外交問題にまで発展した。

 問題とされたのは、米国の金融制裁対象である「敵国」、イランなどの国とパリバがドル建てで取引をしていたことだ。同じ“罪状”で、英銀大手HSBCホールディングスや三菱東京UFJ銀行も罰金を食らっている。

 米銀や他の案件への罰金を合わせると件数も金額も倍増。「普通は罰金といえば銀行にとって一時的な損失だが、業界全体で見ると恒常化しつつある」(メガバンク幹部)ほど頻発しているのだ。

 米国は、世界の基軸通貨であるドルの使用権や世界最大の金融市場への参入チケットという“アメ”をちらつかせ、自らが定めたルールを破るものには罰金の“ムチ”で打つという二段構えの「金融の兵器化」で、世界の覇権を握ろうとしているというわけだ。

 そして今、「金融の兵器化」は日本にとって、米国だけでなく世界中で意識せざるを得なくなってきている。というのも、国際的な金融規制の新ルールが、いつ“兵器”として日本経済に牙をむくか分からない状況にあるからだ。

■世界の銀行事情や政治的思惑が交錯し国益を懸けた論争へ

 08年に発生した金融危機を繰り返さないため、世界の銀行監督当局は「バーゼル3」と呼ばれる国際金融規制のルール作りを始めた。そして、実は7年たった今もそれは“未完の大作”のままだ。

 銀行がつぶれないように、自己資本の質と量を積み増すという骨格部分では各国の合意形成が実現した。しかし、自己資本比率の算出式など各論に入ってくると、各国の思惑を収束させることが難しくなってきたのだ。

 その最たる例が、6月8日に明らかになったバーゼル3の新ルール案だ。広く一般に意見を募り、ブラッシュアップするための市中協議文書として公表された。「銀行勘定の金利リスク(IRRBB)」と呼ばれるその新項目は、銀行のバランスシート上にある貸出金や国債などの資産、預金などの負債が抱える金利変動リスクをどう扱うかというものだ。

 日本の金融界は、このIRRBBの扱いがどう決着するかをめぐって、かねて大騒ぎをしていた。なぜなら、日本の銀行は大量の国債を抱えていて、その金利変動リスクに応じて自己資本を積み増せという話になれば、国債を大量に売り払わなくてはいけなくなる恐れがあったからだ。

 ところが、日本と比べて国債をあまり持っていない欧州銀行の監督当局は「日本が国債の話を持ち出すことが、どうもピンとこない。彼らにとっての金利リスクとは、国債なんかではなく住宅ローンなどの長期の貸出金に焦点が当たっていたからだ」(バーゼル3の議論に参加していた金融当局幹部)。

 そこで、日本は自分たちと似た事情を持つ米国と共同戦線を張り、欧州を中心とした他国との議論に粘り腰で臨んだ。「同じ顔触れが何度も集まって同じテーマを話し合うが、お互い自国の主張は曲げない。いつまでたっても議論は平行線をたどり、しまいには参加者全員がうんざりしてくる」(同)。

 その結果、6月8日に公表されたIRRBBの市中協議文書には、二つの案が併記された。一つは、欧州などが主張した、各国一律で金利リスクに応じた資本の積み増しを迫る案。もう一つは、日米などが主張した、各国の金融当局の監督に任せ、その対応の明確化と情報開示の強化を図る案だ。

 各国の銀行監督当局内での意見集約を諦め、2案の両論併記で市中協議文書を出すというのは、「異例の事態」(別の金融当局幹部)だった。

 銀行に課せられる国際ルールは一般の人には縁遠い話に思える。しかし、1990年代には銀行へ新しい自己資本比率のルールが導入され、企業に対する貸し渋りや貸し剥がしにつながった苦い過去もある。

 金融危機の再発防止という規制の“善意”とは裏腹に、金融が“兵器化”して脅かされていないか。その危機意識は各国で今後ますます高まっていくだろう。

 

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コメント
 
1. 2015年6月23日 07:34:12 : nJF6kGWndY

>金融が“兵器”と化す新時代の到来を予感


今さらだな

とっくの昔からだ


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