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急落する中国株、「インバウンド消費」への冷水警戒 人民元高が招く爆買いと日本買い負け インドネシア若年失業率20%突破
http://www.asyura2.com/15/hasan97/msg/920.html
投稿者 rei 日時 2015 年 6 月 22 日 19:00:06: tW6yLih8JvEfw
 

急落する中国株、「インバウンド消費」への冷水警戒
2015年 06月 22日 17:24 JST
[東京 22日 ロイター] - 日本の国内消費を支える「インバウンド消費」に、減速警戒感が強まっている。バブル的様相を示していた中国株が急落。高値からの下落率が本格調整のめどとなる10%を超えてきた。中国株がさらに下落し、消費ムードに水を差せば、海外旅行や日本国内でのいわゆる「爆買い」に影響が出る可能性もある。

<本格調整入りめどの10%超える下落>

面白いデータがある。中国からの訪日観光客の出身別地域と、株式投資の含み益の比較だ。来日観光客の出身別では、2013年7─9月時点で、上海が25%、北京16%、広東11%の順となっている。一方、今年1─4月の株式含み益は上海地区の株式保有者が15万元でトップ、2番目が北京の8万元(広東は浙江に次いで4番目)と、ともに1位、2位が同じ都市となっている。

入手可能なデータの違いで比較する時点が異なるほか、大都市から多くの観光客が来日するのは当然とも言えるが、このデータに注目するSMBC日興証券・金融経済調査部シニアエコノミストの肖敏捷氏は、中国株が急落すれば来日観光客の中心である大都市層の「懐」に、多少なりとも影響が出る可能性があると警戒する。

上海総合指数.SSECは前週19日の市場で6%を超える大幅安となった。6月12日に付けた7年半ぶりの高値5178ポイントからの下落率は13%となり、本格調整入りのめどといわれる10%を割り込んできた。年初からみれば、依然として38%高の水準にあるが、このまま急落が続けば「逆資産効果」への懸念が強まる。

肖氏によると、中国では今こんなブラックジョークが流行っている。「株が急落すると、朝までの下落ならなら、お土産はなし、昼までなら海外旅行はなし、夕方までなら、パパはなし(帰ってこない)」。それだけ中国株の急落が庶民の話題になっているということだろう。

<所得水準上昇で底堅い消費>

ただ、中国経済が、これまでの株価の上昇でバブル的な活況を呈していたわけではない。消費は小売売上高が5月まで3カ月連続で前年比10%を超える増加となり、比較的堅調だが、国内総生産(GDP)成長率は投資の減速で7%台に減速。反動はそれほど大きくならない可能性がある。

また、中国人の消費や海外旅行を押し上げているのは、株高よりも所得水準の上昇とみられている。国民の平均的な所得水準を示す1人当たり国民総生産(GDP)は、2014年の4万6652元(1元=20円で約93万円)と10年前の約3.8倍に増加している。

円安も中国観光客の「爆買い」を誘っている。いわゆるアベノミクス相場が始まる前は1人民元13円程度だったが、今や20円程度と約54%上昇した。中国人からみれば、円が54%減価し、かつて1000円だった日本の商品が500円程度で買える印象だろう。

さらに昨年は中国から240万人が来日したが、中国の海外旅行者全体の2%に過ぎない。香港へは4000万人が訪れており、訪日中国人の増加余地は大きいといえる。その意味で「インバウンド消費」は始まったばかりの可能性が高い。

だが、中国における株式市場のインパクトが。日々大きくなっているのも事実だ。中国の個人金融資産に占める株式保有比率は、2012年で10%程度(中国住民収入分配年度報告)だったが、足元の株ブームで口座数は急増。中国証券登記結算(CSDC)のデータによると、上海と深センの両市場で今年5月の株式口座開設数は、1200万口座を超えている。

<日本株市場でもインバウンド関連株が人気>

日本人投資家の中国株の保有額は10億ドル程度とみられ、それほど大きいわけではない。センチメントには影響を与えるかもしれないが、中国株の急落を受け、日本株を投げ売りする必要性に迫られる投資家は少ないとみられている。

しかし、日経平均.N225が15年ぶり高値に達した日本株の中身をみると、輸出株がさえない一方で、内需株が支えている。年初からの値上がり率上位銘柄には、コーセー(4922.T)などインバウンド消費関連株が多数占める。中国からのインバウンド消費がどうなるかは、日本株市場にとっても大きな問題だ。

5月の全国百貨店売上高は、店舗数調整後で前年比6.3%増の4886億円と大きなプラス。中でも訪日外国人売上は、中国や韓国、ASEAN諸国からの旅行客数が増加したことから、前年比266.4%増と、過去最高の伸びを記録した。

その中でも使うお金は中国が断トツだ。2014年でみると、旅行者数は台湾や韓国の方が中国より多かったが、旅行支出額は中国が5583億円と全体の4分の1以上を占める。1人当たりでみても、中国は23万1753円と、韓国の7万5852円や台湾の12万5248円を大きく引き離している(トップはベトナムの23万7814円)。

海外旅行客のための宿泊所が足りない、接客する人が足りないとして、非製造業の設備投資や雇用も増加。日本に経済の好循環をもたらしているのは、実はインバウンド消費の占める要素が大きい。インバウンド消費が減速してしまえば、日本の経済自体の好循環が止まってしまいかねない。中国株の行方はアベノミクスの先行きを占うキーポイントでもある。

(伊賀大記 編集:田巻一彦)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0P20QY20150622

コラム:人民元高が招く爆買いと日本買い負けリスク=植野大作氏
2015年 06月 22日 17:49 JST
植野大作 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 チーフ為替ストラテジスト

[東京 22日] - 人民元(以下、元)の対円相場が高騰している。5日には一時20.285円と約22年ぶりの水準まで上昇した。むろん、22年前は中国が現在と全く違う「二重為替レート制」で元を管理していたため、同じ基準では比較できない。だが、現行の管理フロート制の基礎となる制度変更が実施された2005年7月以降で見ても、足もとの元円相場は最高値圏で取引されている。

現行の管理フロート制が採用されてから過去約10年間の元円相場を振り返ると、最安値は2011年に記録した11.626円だ。わずか4年ほどで、元は円に対し7割以上も値上がりしている。中国からの訪日観光客による「爆買い」が目立つのもうなずける。

ただ、為替が大きく動いた場合、相方がドルの場合だけでなく、元であっても、メリットとデメリットがあるはずだ。今後の元円相場はどのような展開をたどり、我々の生活にいかなる影響をもたらすのだろうか。

<対円・対ドルで元高が続く可能性>

まず当面の元円相場は、主としてドル円相場の動きに依存して決まるだろう。昨年3月に中国人民銀行(以下、人民銀)が元の許容変動幅を拡大して以来、ドル元相場はこれまでより柔軟に動く様子が観察される時期もあったが、最近はなぜか再び動きが制御されている。3月の全国人民代表大会が終了した後、ドル元相場は安値が1ドル=6.20元前後で管理されており、変動率わずか0.63%程度の狭い値幅に抑え込まれている。

中国が採用している管理フロート制は、仕組みが詳しく公表されていないので理由はよく分からないが、これまでの運用実績を見ると、景気回復を狙った金融緩和局面では安定モードに切り替える傾向があった。最近の人民銀は、政府の目標である「7%成長」の確保を最優先課題に据えた金融緩和の推進に邁進している。当面のドル元相場は、6.20元界隈であまり動かさない運用が続きそうだ。

その場合、元円相場は「ドル円相場/6.2前後」で計算される状態が続く。今月のドル円相場は一時125円台まで上昇する場面もあったが、この先も続伸するなら21円台も視野に入る一方、最近の急激なドル高・円安の反動などから下落に転じる場合は、20円台の安定確保が難しくなりそうだ。人民銀が管理フロート制の安定運用を続けている間、元円相場の方向感はドル円相場によって、おおむね決まる状況が続くだろう。

ただ、足もとの元円相場が約22年ぶりの高値圏へ上昇した背景は、ドル円相場の13年ぶりの上昇だけでは説明できない。現行の管理フロート制の導入前には1ドル=8.2765元で事実上のペッグ状態にあったドル元相場が、過去約10年間でかなり元高に動いたことの影響も無視できない。

超長期的な視点で元円相場の将来を考える場合、最近の中国政府が目指している「元の国際化」に必要な為替市場改革の進ちょくによって、中長期的に見たドル元相場の水準が大幅に変わり、ドル円相場を割って求められる元円相場の変動域も動く可能性がある。

周知のように、中国は今秋に国際通貨基金(IMF)が5年ごとに実施する「特別引出権(SDR)」の見直しに際して、ドル、ユーロ、ポンド、円で構成される今の通貨バスケットに元を加えることを求めている。ただ、為替が人為的に管理されている現在の状態のまま、IMFが元のSDR参入を認める可能性は低い。

いわゆる「国際通貨」の基本的要件の1つである「市場に基づく為替相場への移行」を決断するか否かは、中国の意思決定に委ねられているが、この秋までの短期間に抜本改革が行われる可能性は低そうだ。元のSDR参入に必要な変動相場制への移行は、次回2020年までの検討課題になる可能性が高い。

もっとも、2020年までの間には、中国で一段の改革が進む可能性が高い。一昨年の秋に開催された第18期中央委員会第3回全体会議において、共産党は「今後の資源配置について2020年までに決定的な役割を市場に果たさせる」との方針を明示、人民銀も「原則として常態的な為替介入から脱却する」方針を示していた。

中国のような安定的な政治体制の国が、党の方針に則って為替の自由化を進めていく場合、長期的には元の対ドル相場は値上がりせざるを得ないだろう。以下2点を確認しておきたい。

<中国政府の元高是認は不可避>

第1に中国は経常収支の黒字国であり、自然体の需給に任せれば安定的な元高圧力が稼働する。昨年の春先以降に限って見れば、金融・資本収支や誤差脱漏を通じた国外への資金流出が目立っているが、筆者はたぶん一時的な現象だと見ている。ちなみに、中国の金融・資本収支や誤脱を通じた資金流出が目立ち、最近のように外貨準備が目減りした時期は2012年にも一度あったが、そのときも一過性だった。

一般に金融・資本収支の流出入は、その時々の金融市場環境の揺らぎによって猫の目のように入れ変わるが、貿易収支や所得収支などで構成される経常収支は、国内の貯蓄投資バランスという構造要因によって黒字か赤字かの別が決まっているため、符号条件が比較的安定している。今後、中国が恒常的な赤字国に転落しない限り、長い目で見た元高圧力が発生する状況が続くだろう。中国が黒字国のまま元の国際化を目指す方針を強化するなら、長期的な元高是認は不可避の選択になる。

第2に、米国と中国の間で途方もない貿易不均衡が拡大している。かつての米国にとって最大の赤字相手国は日本だったが、今世紀初頭に中国に交代した後は、前例のない速度で米国の対中赤字が一方的に拡大、2014年の実績では年間3500億ドル、円換算では40兆円を超える規模に達している。こんな状態でドル元相場を自然体の需給に委ねる改革を進めた場合、長期的には根強いドル安・元高圧力が発生するのは自明の理だ。

かつての日本もそうだったが、米国から貿易黒字を一方的に稼ぎ過ぎた国に対しては、米国政府からの通貨安是正要求が強まりやすい。米連邦準備理事会(FRB)が公表しているドル指数の比重を見ても、足もとでは1位=元(21.3%)、2位=ユーロ(16.4%)、3位=カナダドル(12.7%)、4位=メキシコペソ(11.9%)、5位=円(6.9%)の順になっている。過去数十年間もの長期にわたって米中間の貿易不均衡が一次関数のような形状で拡大している現状から見て、足もとの元相場は米ドルに対してまだ過小評価されていると思われる。

ちなみに、米財務省が半年ごとに発表している為替報告書を見ると、中国が異例の元切り下げ政策をドルに対して仕掛けていた1992年から94年にかけて、米国は中国を「為替操作国」に認定して非難している。その後は中国政府への配慮から公式な認定こそ控えているが、各種国際会議で要人が会談する度に市場に基づく為替変動への移行を求め続けている。今年4月に公表された直近の報告書を見ても、「元が依然として相当割安」であり、「中長期的に見て通貨の過小評価を是正する必要がある」との判断が明記されていた。

1989年の天安門事件の以前、米中間の貿易収支はほぼ均衡していたが、当時のドル元相場は4元前後で推移しており、現在の6.2元前後に比べて5割以上も高い水準にあった。米国としては、当時のドル元相場の水準近辺に至るまで、元安の是正を促す市場改革を要求し続けるだろう。

これまで、中国は自国の通貨政策について「外圧峻拒」の建前を貫いており、米国が露骨に圧力をかけると逆効果になる時期もあった。ただ、最近は当の中国政府が「元の国際化=市場化改革」を志向している。今後は中国の主体的な意思決定による市場改革を背景に、対ドルで見た元の割安是正が進んでいくだろう。

<日本から見た元高の損得勘定>

超長期で見たドル元相場がもしも米中不均衡拡大前の水準に里帰りしていく場合、対円でも一段の元高が進むことで、日本国内では悲喜こもごもの影響が錯綜するだろう。

もしも今後のドル元相場が1989年頃の水準である1ドル=4元前後まで元高になった場合、そのときのドル円相場が仮に今より円高の100円程度であっても、元円相場は25円程度と今より元高になる。

1ドル=4元はやや過激かもしれないが、1ドル=5元で計算しても、ドル円相場が100円以上の水準ならば、1元=20円を超えるため、今より元高・円安の水準になる。要するに、中長期的に見て元がドルに対して不均衡拡大前の水準に向かって回帰していく場合、元は円に対しても一段と値上がりする可能性を秘めている。

その場合、日本に対する好影響としては、対円での元の購買力が上がることで、中国本土での日本製品への需要増大や、中国からの来日観光客及び1人当たり支出額の増加、などが期待される。歴史認識や尖閣問題などに絡んだ中国民の対日感情が一段と悪化しないことが条件になるが、その場合は、日本からの中国向け輸出は一段と増加し、中国人観光客による「爆買い」や宿泊施設の稼働率アップが、日本各地で一層目立つようになるだろう。

また、円に換算した元の値上がりにより、日本産の農林水畜産物のスーパーにおける中国産品との価格競争条件が緩むことが期待できるほか、世界各地で中国製品と競合する日本企業の製品にも「元高・円安」の恩恵が及ぶことになるだろう。

他方、元高・円安が一段と進行した場合の悪影響としては、中国企業の購買力アップが天然資源の落札価格を再び高騰させる可能性がある。日本企業の海外資源調達コストにも上昇圧力がかかる可能性があるほか、資源獲得競争の現場で日本の「買い負け」リスクが再燃するかもしれない。

かつては2桁が当然と思われていた中国の自然成長率が徐々に低下し、「新常態」と呼ばれる水準に落ち着くまでは、近年の中国向け鉄鉱石価格の下落に象徴される資源ブームの反動安が続くかもしれない。だが、古今東西、景気や物価は必ず循環しており、モノの値段が安くなるのは、やがて値上がりする予兆となることがほとんどだ。中国の購買力アップによる日本の買い負けは、一部の高級海産物などではすでに再発が警戒されているが、将来的には化石燃料や金属資源などでも再び話題となる可能性はあるだろう。

また、円安による消費生活への影響という面では、元高・円安による日用品、衣料品、食料品などの値上げが痛撃になるはずだ。中国製品や人件費が安いという前提で成立していた各種ビジネスモデルは、一段の見直しを余儀なくされそうなほか、ドル換算で比較した中国と日本の経済規模の格差が一段と拡大し、国際政治やビジネスの現場における日本の影響力や発言力が低下する可能性もあるだろう。

総じて、我々が現在目撃している22年ぶり高値圏への元円相場の上昇は、今後も続く元高・円安の序章に過ぎない可能性がある。「中国の自然成長率が新常態に向けて低下していく中で元高はあり得ない」との指摘には傾聴すべき面もあるが、筆者の基本的な認識は、米国政府が為替報告書でずっと主張し続けているのと同じで、「これまでの元相場が中国政府の人為的管理の下で割安に抑制されていた」という点にある。

かつての日本も戦後の高度成長期から石油危機後の安定成長期、バブル崩壊後の低成長期、と潜在成長率が低下し続ける中で、すう勢的な自国通貨の増価を体験した。大ざっぱに言って、この先の元はかつて円がたどった道をより穏やかな形で歩むことになるのではなかろうか。

筆者の見立てが間違っていなければ、向こう10年程度の長い時間軸では元高・円安が今よりもっと進んでいる可能性を意識しておく必要がある。本コラムで列記したような複雑な影響が日本経済に及ぶ可能性を考慮すると、今のうちから必要な対策を準備すべきだ。

為替円安の功罪を論じる際に、ドル円相場だけに注目するのではなく、元円相場についても同じレベルの問題意識を持って考察すべきである。

*植野大作氏は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券のチーフ為替ストラテジスト。1988年、野村総合研究所入社。2000年に国際金融研究室長を経て、04年に野村証券に転籍、国際金融調査課長として為替調査を統括、09年に投資調査部長。同年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画、12月より主席研究員兼代表取締役社長。12年4月に三菱UFJモルガン・スタンレー証券入社、13年4月より現職。05年以降、日本経済新聞社主催のアナリスト・ランキングで5年連続為替部門1位を獲得。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(here)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0P20C520150622

アングル:インドネシア、若年失業率は20%突破か
2015年 06月 22日 17:01 JST
[ジャカルタ 21日 ロイター] - インドネシア経済がおよそ6年ぶりの低成長に落ち込むなか、企業の人員削減が止まらない。経済の立て直しなどを公約に昨年の選挙で当選したジョコ・ウィドド大統領にとって、雇用情勢の悪化は頭の痛い問題だ。

公式統計を見る限り雇用が特に悪化したという印象はない。2月の失業率は5.81%で、前年同月の5.70%から小幅上昇にとどまった。しかし公式統計は信頼性が低く、同国経済の3分の2に相当するとされる「非公式部門(地下経済など)」は適切にカバーされていない。

企業はインドネシア全土で人員削減を加速しており、企業幹部や人材派遣会社、求職者らは、状況は悪化しつつあると指摘する。

なかでも大きな打撃を受けているのは若年層だ。国際労働機関(ILO)の推計によると、インドネシアでは若年層の失業率は2013年に20%を突破。エコノミストは、現在はさらに上昇しているとみる。

インドネシアでは労働人口のおよそ3分の1が15─29歳の若年層。かつての中国や韓国のような人口ボーナスを享受できるはずだが、それも毎年労働市場に参入してくる200万人分の職があればの話だ。

経営者協会のスカムダニ会長は「政府には労働力を吸収するための青写真がない」と指摘。「こうした状況が続けば、人口ボーナスどころか人口災厄だ。犯罪率が高まり、社会が混乱しかねない」と述べた。

<インフラ投資は約束通りに進まず>

ウィドド大統領は8カ月前の就任時、インフラ投資と製造業の育成を約束した。しかし、官僚主義の悪弊でプロジェクトは停滞、土地接収をめぐる紛争も絶えないため、インフラ投資は計画通りに進んでいない。また、熟練労働者不足が付加価値の高い産業の成長を阻んでいる。

特に鉱業は鉱石禁輸と商品相場急落という二重苦にあえいでいる。

また、インドネシアの通貨ルピアが17年ぶりの水準に下落し、原料の輸入コストが膨らんだことから、繊維や製造業などの労働集約型の産業も打撃を受けている。経営破綻し資産が差し押さえられたある衣料品工場の従業員は今週、ジャカルタの金融街でデモを繰り広げた。

失業の増加はインドネシア経済の半分以上を占める消費を直撃。5月の自動車販売台数は前年同月比18.4%減と、9カ月連続で減少した。

インドネシア繊維協会のスドラジャト会長は「誰も買わないまま、在庫ばかりが積み上がっている。消費者の購買力は弱い」と嘆く。「こんなことは過去45年間、経験したことがない」と述べている。

<外国人も逃げ出す>

財務相助言役のブディマンタ氏は、政府は中小企業向けの貸出金利を半分にしたり、大半の物品をぜいたく税の対象から外したりするなどの対応をとったと強調。ただ、こうした対策も焼け石に水の感がある。

人材紹介会社ロバート・ウォルターズのインドネシア担当マネジャー、ロブ・ブライソン氏は、金融サービスなどの相対的に高給のポストにも、雇用情勢悪化の影響が及んでいるとの見方を示している。

ブライソン氏によると、インドネシアの労働ビザを持っている外国人の数は、2013年半ばから昨年末までの間に20%減のおよそ6万2000人となった。外国人の間では、インドネシアでの求職活動を打ち切り、雇用機会の豊富な西側諸国に流出する動きが出ているという。

ブライソン氏は「インドネシア企業は生産性向上を重視している」と指摘。「企業は多くの場合喜んで、1人を採用して2人を解雇するだろう。労働市場への圧力がますます高まるのも当然のこと」と語った。

(Eveline Danubrata記者、Cindy Silviana記者 翻訳:吉川彩 編集:山川薫)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0P20MR20150622
 

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