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20年後、東京近郊と地方の中古マンション価格はどうなっているか
20年後の住宅市場を大胆予測 郊外では「無価値」「廃墟」化も
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20150621/ecn1506210830002-n1.htm
2015.06.21 本当は教えたくないマンション業界の秘密 榊淳司 夕刊フジ
少し大胆な予測をしてみよう。ずばり20年後の住宅市場はどうなっているのか。
前提としては、日本の人口減少と少子高齢化がこのまま続くと考える。2035年頃の人口は、今より1000万人以上少ない約1億1200万人。住宅は今よりも1000万戸は多くなっているはず。すると、空き家数は今の倍以上の約2000万戸。率にすると約30%に達しているはずだ。空き家問題は今よりも深刻化する。
最も難しい問題は、多くの住宅が「無価値化」することだろう。つまり、中古住宅として売り出しても買い手がつかない状態になる。今は、地方の住み手がいない空き家がほぼ無価値。タダでももらってくれる人がいない状態。それがだんだん都心に迫ってくる。
首都圏でも、千葉や埼玉の都心まで実質1時間以上の通勤限界圏にある住宅は、よほど駅に近くない限り無価値化するだろう。例えば、千葉ニュータウンはその典型になるはずだ。港北ニュータウンも決して油断できない。関西なら西神ニュータウンが危険だ。
新築マンションは、都心の一部でしか供給されなくなる。郊外エリアでは中古マンションとの価格乖離が激しくなって、商品として成立しなくなる。新築の一戸建ても同じ。都心近郊エリアでしか成立しない商品となる。
築20年以上の中古マンションは、かなりの供給過剰状態になるはずだ。売り出し物件がたくさんあるにもかかわらず、買い手が絶対的に不足する状態。平均年収の2年分くらいで買えるようになるだろう。つまり、都心へ30分通勤圏で築20年の3LDKが1000万円程度で買えるようになる。
賃貸マンションの家賃も劇的に下落しているはずだ。都心でも今の貨幣価値にして10万円も出せば、家族でゆったり暮らせるマンションが借りられるだろう。
したがって、今35年ローンを組んで都心近郊や郊外にマンションを買っても、20年後にはその資産価値がローン残高を下回っている可能性が高い。これからの時代は、マイホーム購入で無理をしてはいけないのだ。
ただ、今後20年を快適に暮らすための住宅は必要。20年後の資産価値下落を覚悟して住宅を購入するか、当面の間は賃貸に住んで価格下落局面を待つか、それぞれの価値判断と人生設計に基づいて決めるべきだ。
ひとつ言えることは、需要と供給の関係に従えば、今後日本の住宅の資産価値が向上することは考えにくい。今の都心バブルのように、外国人や相続税対策の一時的な需要によって価格が上昇するような現象はあっても、中長期的にみれば下落すると考えるべきだ。現に、都心や一部地域以外の日本のほとんどのエリアで住宅価格は下落傾向にある。
われわれの子供たちは、親の世代よりも低価格で広い住宅に住めることがほぼ確実。これは良いことでもあるが、その代わり空き家問題という深刻な副産物を伴う。マンションなら廃虚化の危機に立ち向かわなければならない。
■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。1962年、京都府出身。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上携わる。不動産会社の注意情報や物件の価格評価の分析に定評がある(www.sakakiatsushi.com)。著書に「年収200万円からのマイホーム戦略」(WAVE出版)など。
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