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KADOKAWAの書籍
カドカワ、取次会社“外し”加速か
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150620-00010002-bjournal-bus_all
Business Journal 6月20日(土)6時1分配信
大手出版社KADOKAWA(カドカワ)は6月4日、埼玉県所沢市から購入した旧所沢浄化センター跡地に新しい印刷製本・物流拠点とともに、図書館や美術館、博物館を融合した文化施設を建設する「COOL JAPAN FOREST 構想」(以下、同構想)を発表した。その敷地は約37万平方メートル――東京ドーム8個分という広大なもの。
7月1日には同社の100%出資で、文化施設の建設を推進する株式会社ところざわサクラタウン(松原眞樹社長=KADOKAWA社長)を資本金1億円で設立する。KADOKAWAの角川歴彦会長は「2020年の東京オリンピック開催までには完成させたい」と意気込んでおり、その総事業費は300億円にも上る一大事業である。
しかし、この構想をめぐって、経営統合したドワンゴとの間で不協和音が聞こえてくる。関係者は語る。
「KADOKAWAは2015年3月期第2四半期連結決算で、9億円の営業損失を計上し、8億円もの最終赤字を計上した。文庫やコミックスの売上減と雑誌不振など本業の出版が低迷しているのが原因。経営状態が厳しい中、KADOKAWAは300人ものリストラを実行するなどしているにもかかわらず300億円もの投資をすることに、ドワンゴ側の経営陣から『どこからそんな金が出るのか』などとつつかれていたようです。しかも、土地の取得に当たって競争入札相手の何倍もの高い価格で購入したことも、ドワンゴの経営陣が不満を募らせる原因にもなっている」
こうした両者の不協和音を裏付けるようなやりとりが、6月4日の記者会見の様子からも見て取れた。共同持ち株会社KADOKAWA・DWANGOの川上量生会長は、こう挨拶した。
「本業と関係のないところに、会社のリソースを使いまくるというのが、僕が自慢にしていたこと。KADOKAWAと一緒になるに当たって、僕らは子どもの会社で、KADOKAWAは大人の会社。これからあまりむちゃはできなくなると思っていたが、今回の発表を聞いて、明らかに角川会長は僕よりもはるかにスケールが大きく、本業と関係のないところに力を入れていく人だと思い、非常に安心した。会社としても協力していきたい」
川上氏が「本業と関係のないところに力を入れる」というフレーズを繰り返すと登壇者から笑いが起こり、出席者に違和感を与えた。川上氏の挨拶を受けて、角川氏は「(川上氏に)やんちゃすぎると言われて、事業費300億円をどう減らすか、苦心している」とコメント。言葉の裏から、この事業に対する両社の温度差が感じられる場面だった。
●直取引拡大の意味
同構想は、図書館や美術館、博物館などの文化施設ばかりが目立っているが、もうひとつの柱である出版の製作・物流拠点についてもKADOKAWAは大胆な構想を持っている。それが、一部で報道されているアマゾンとの直取引に大きく関係するという。関係者は語る。
「今年4月から、アスキー・メディアワークスやメディアファクトリー、角川マガジンズなど傘下にある出版8社、いわゆるオールKADOKAWAの出版物を、取次会社を介さずにアマゾンに直接納品し始めた。今年に入ってその話題で業界はもちきりだったが、KADOKAWAはそれだけにとどまらなかった。アマゾンとの直取引と同時に、大手書店の紀伊國屋書店とも直取引の実験を始めたのです。ただ、商品管理が高度にシステム化されたアマゾンとは異なり、書店現場でこれだけ膨大な商品を管理するのは難しいようで、うまくいっていません。KADOKAWAには主要な取引書店を特約店として囲う『36法人会』というものが存在しており、これら書店法人との直取引を見込んで大胆に舵を切ったのではないか。そして直取引の機能を担うのが、所沢に建設するロジスティクスセンターであることはいうまでもないでしょう」
つまりKADOKAWAは、もう出版業界に取次会社は不要と考えているのだろうか。昨年、取次3位の大阪屋が経営危機に陥り、楽天ほか大手出版社が資金を捻出して債務超過を解消した。その際に角川氏は他の大手出版社に協力を求めるために、「取次を救済するのではない。その先にいる書店さんを救うためだ」と訴えた。角川氏が絶えず見据えているのは、販売拠点である実店舗とネットの書店なのである。
●KADOKAWAの狙い
ただ、「取次を外す」のは、そう簡単ではないと出版業界関係者は言う。
「取次はいわば、出版社とアマゾンとの間で壁となってくれていた部分もある。取次とアマゾンとの販売報奨などの交渉は、かなり熾烈なもののようだ。出版社はそういう交渉を毎年アマゾンと互角に行えるのか」
果たしてKADOKAWAは、疲弊していく書店と直取引することで、書店の利益率の改善につなげようとしているのか。それとも、縮小していく業界で、取次機能がいずれは不要になるものと見越しての行動なのか。取次不要論は極論すぎるきらいもあるが、KADOKAWAが、縮小する出版業界において新たな流通イノベーションを起こそうとしているのは間違いなさそうだ。「業界3者による利益分配」のモデルは、もう終わりを告げようとしているのかもしれない。
KADOKAWAという大手出版社が、アマゾンと直取引を始めた――この報道の裏側には、「将棋5段」の腕前を持つ角川氏の深慮遠謀が潜んでいるのかもしれない。
(文=佐伯雄大)
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