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就職バブル期の再来か? 今年の就活はホントに楽勝?
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2015.06.19 11:00 THE PAGE
1.バブル期の就活とどこか似ている今年の就活戦線
今年の就活戦線は売り手優位市場として、バブル期就活戦線の再来か、などと報道されています。景気回復や人手不足の影響で、実際、企業の採用意欲は非常に高まっています。株式会社ディスコの最新調査(5月発表)では、36.3%の企業が今春実績よりも採用数を増やすと回答し、大手企業の45.4%をはじめ中堅・中小企業も総じて採用数を増やしています。
就活生にとってはチャンスの多い年と言え、16卒学生の6月1日時点の内定率(内々定含む)は35%(日経就職ナビ・モニター調査)。すでに、内定の確約を得た学生に話を聞くと「意外とあっけなく内定が出て驚いた」「厳しい感じがしない。むしろ企業のほうが焦っているようだ」といった声が聞こえます。企業調査では、中堅中小企業を中心に、「6月が内定出しのピーク」との結果が出ていたので、内定率は6月から7月にかけてさらに上昇していく気配です。
今年から採用活動のスケジュールが変わったことで、学生の活動パターンも変わってきました。昨年までは、4月から大手の選考が始まり、一息ついた5、6月から中堅、中小の選考が始まっていました。今年はというと、8月から始まる大手の選考前に、中堅、中小企業の選考を受け、できれば内定を持った上で、指針を守る大手企業の選考に臨む、というのが就活巧者のスタイルのようです。一方、内定は出したけれど実際に入社してくれるかわからない状況に対して企業は、「オワハラ(就活終われハラスメント)」と呼ばれるプレッシャーを学生に与え、一部問題化されています。また今後、8月1日の選考解禁日に他社を受けられないよう、1日(土)ないしは3日(月)に、いわゆる「拘束」を掛けるのでは…などの憶測も飛び交っています。
夏の採用解禁前に、大手企業より先に中小企業が採用活動を行って内定を出し、時には接待。辞退しよう素振りをみせでもしたら圧力がかかる…。ある年代の方はよくご存じの光景ではないでしょうか。そうです、今のように学生優位の「売り手市場」だった、25年前のバブル期の就活も、実は今年と同じようなスケジュールで行われていました。
2.バブル期の就職活動はどんなものだったのか
今のように「採用広報開始」の取り決めはなかったものの、当時は会社訪問解禁日の取り決めがありました。8月20日が解禁日で、内定開始が10月1日と就職協定で定められていました。しかし、当時も、まずは就職協定に縛られない多くの中堅、中小企業が選考を行い、6月ぐらいからこぞって内定を出し始め、その後、大手企業の選考が始まるといった具合でした。当時は、協定上の会社訪問(説明会)は8月20日からでしたが、その前に選考が進んでいて、8月20日当日は、ほとんど最終意思確認だけという企業もありました。
バブル期の採用活動は、なにかとお金がふんだんに使われていました。企業セミナーは一流ホテルのバンケットルームで、コーヒーサービスがあるのは当たり前。交通費は全額支給どころか、説明会に行くだけで1万円をもらえるケースもありました。リクルーター面談といえば高級レストランが相場です。食品メーカーのセミナーでは、大きな紙袋2袋分のサンプル(実際の商品)をもらって帰ることも。自社製品を配れない業態の企業では会社のロゴの入ったオリジナルのテレホンカード(テレカ)を大量に配布するといった具合でした。かくいう私も、当時の就職活動中の先輩に会えば「使い切れないから」とテレカを何枚ももらえたことを憶えています。(筆者自身はバブル崩壊後の1993年卒ですが、2〜3年先輩はバブルの絶頂期に就職活動をしていました)
「面談と称し、豪華な食事をご馳走になり、お土産と一緒に“内定”をもらって帰ってくる」。これがバブル期の象徴的な就活でした。そして8月20日の解禁日前後には、他社の選考に行けないように研修と称して海外旅行(!)に連れて行ったり、リクルーターが毎日のようにボウリング、カラオケ、飲食といった「接待」をしてくれたりしました。すべての企業ではありませんが、実際にあった話ばかりです。また、特に元気があったのは知名度で大手に劣る、準大手や中堅企業で、かなり派手に行っていたようです。
3.楽勝とは言えない今の就活事情
バブル期に就職活動を行った先輩たちは就職活動を心待ちにしており、実際十分に楽しんで、いよいよ1社に決めてリクルートスーツを脱ぐ段になると「楽しすぎて辞めたくない」と名残惜しさをにじませていました。今年の就活生も同様かと言えばそんなことはなく、インタビューで会う学生の大半は、「覚悟していたほど厳しくないが、できれば早く終えたい!」と言います。それは、企業の採用意欲が高まっているとは言え、誰でもよいわけではなく、自社の基準に合う学生でないと内定を出さないという姿勢があるからでしょう。バブル期の就職戦線では、主導権は明らかに学生側にありましたが、現在は企業側にあるようです。就職氷河期の頃の企業姿勢(厳選採用)の名残に加え、スケジュール変更による不透明感からくる不安で消耗し、「早く終えたい!」に繋がっているのだと思います。
内定をめぐる攻防も、大きく異なります。前述のようにバブル期は他社を受けさせないために接待攻めにするという「物理的」な拘束だったのに対し、そんなにお金をかけられない今は就活終了を条件に内定を出すという「心理的」な拘束へと変わっています。
実際、就職活動モニター学生からは「内定が欲しければ、もう就職活動をしない旨の内定承諾書にこの場でサインするように言われた」、「内定通知から入社の意思確認を1週間で決めるよう言われ、2日に1回の頻度で電話がかかってくる」、「自由応募で受けたはずなのに、教授推薦書の提出を求められ、出せなければ内定はなかったことにすると言われた」などなど。誓約書に法的拘束はないと知っている学生も多いですが、「やはりプレッシャーや心苦しさがある」と言います。ディスコの6月調査では、内定学生のうち、こうした「オワハラ」を受けたことがあると回答したのは12.9%。学生の中にも「プレッシャーは感じるけれどハラスメントとまでは思わない」という意見もありますが、これからも「心理的拘束」は増える可能性があり、学生の負担は増してくるでしょう。
「人手不足」「売り手市場」と、キーワードだけみると似て見えるバブル期と今の就職活動。にもかかわらず就活の実態がこれほど大きく異なるのはなぜなのでしょうか。理由はいくつか考えられますが、やはり大きいのは大学生を取り巻く環境の違いではないかと思います。
大卒求人倍率が2.86倍と最も高かった1991年卒者の場合、四年制大学への進学率は25%で、1学年の人数は約45万人でした。大学設置基準の緩和(1991年)で大学の数が1.5倍に増えた結果、今就活を行っている2016年卒者の場合は大学進学率が50%を超え、1学年で60万人もいます。この25年間で「大学生」というブランドの価値は下がり、一方で産業界が求める大学生の数(求人数)は、ここ数年で大きく回復したとはいえ、バブル期に比べればまだまだ少ない。今と当時では受給バランスが異なるのです。
4.見倣うは、バブル期社員!?
日本の就職活動の良い点を挙げるとしたら、就活のプロセスの中で社会準備ができるという点です。学生は、業界・企業研究や何回もの面接を通して確実に成長します。中には就活前と後とで別人のようになる人もいます。欧米と違って就業型のインターンシップが未発達で、なかなか社会とリアルな接点を持ちにくい環境において、就職活動を経験すること自体が成長につながるのが、この国の大学生の特徴です。そうすることで、最終的には自分に合う会社を見つけていけるのです。あっけなく内定が出た人も、苦労してやっと内定が出た人も、これから本命企業を受ける人も、売り手市場という追い風が吹き、スケジュールが繰り下がった今だからこそ、自分に合う企業(仕事)なのかをじっくり考えて、自分にフィットする最適な1社に決めてほしいと思います。
きっとバブル期の先輩たちが、いい意味でも悪い意味でもお手本になるはずです。内定先企業にバブル期に入社された先輩社員がいたら、ぜひ話を聞いてみてください。
武井房子(たけいふさこ)
株式会社ディスコ キャリアリサーチ 上席研究員。1970年生まれ。1993年株式会社ディスコ入社。採用広報営業部にて、主に化学、機械、エネルギー業界等を担当。1997年調査部門に異動し、企業調査ならびに学生モニター調査の設計、実施、分析等を手掛ける。1999年〜2007年には、顧客向け情報誌『人と採用』編集長を兼務。1年間の育児休暇取得後、2009年に復職。現在、大学生や企業の採用担当者、留学生などを対象とした調査を年間約20本実施。年々広がる就活生とのジェネレーションギャップをものともせず、数多くのインタビュー調査を自ら企画・敢行し、就活生の本音をウオッチし続けている。
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