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公共投資の逆襲
バブルが弾けてから既に20数年が経とうとしている。
ここにきてようやくデフレ下の公共投資が、経済を波及的に縮小させていることが顕著になってきた。おびただしいインフラの拡大がなんら経済を成長させていないのである。
それどころか地方の空洞化が目立ち始めてきた。公共投資の恩恵が少ない地域や産業が空洞化し、人口の流出や、多くの企業の倒産廃業から、商店街、駅前通りなどの地域経済協同体(コミニティー)破壊されている。
その上国の借金が莫大なものになっている。
デフレ下の公共投資は、投資された地域に、資金、人、技術、建設資材、建設機材、資源が集中し、インフラ(社会基盤)はできるが、それ以外の地域から、資金、資源、人、建設資材を奪い取るため、それ以外の地域を広範囲に疲弊させる。
公共投資で潤った地域の発展以上に、それ以外の広大な地域を衰退させるのである。
その結果、借金で賄った公共投資の費用によりインフラ等の設備や施設は完成するが、借金で賄った公共投資の費用は、実体市場の縮小収縮により全く徴収できず、実体市場の借金増と合わせて借金額が2倍になる。
これが日本の大借金の原因のひとつである。
デフレ下の公共投資が借金を倍増させることは理論的に容易に推測されたが、実際に実体市場において、借金を倍増させていることは分かりづらかった、しかしここにきて、地域経済を空洞化させ疲弊させていることからはっきりと認識できるようになった。
バブル崩壊後のデフレの当初は、まだまだどの地域も経済がしっかりとしており、市場の大規模な収縮が起こっていても、目で見えるところまでいかなかったのである。
そのためこのようなことをいっても何を言っているのだという反応が大半であった。
しかし現在、バブルが崩壊し、デフレに陥ってから20年近く経った現在、多くの地域で、地域経済の惨状が明らかになってきたのである。目で確かに誰しもが見えるようになってきたのである。
それでも現在、なお多くの政治家や専門家は、公共投資をした最初の生産増による実質GDPの成長率に目をくらまされ、公共投資神話に酔いしれたままである。
実際は公共投資がより速く経済を衰退させていたのである。
若年労働者の流出、商店街のシャッター通り、飲食店、喫茶店の減少、などにより町がなくなる悪夢が、あるいは商店街の廃墟化が多くの人に見通される事態になってきた。
デフレ下の公共投資は明らかに、実体市場の物の生産を増加させながら資金を枯渇させている。
ケインズ経済に代表される乗数理論は、インフレや正常な経済で、拡大再生産が行われている場合に成り立つ理論であるに過ぎない。
それは公共投資分の乗数倍の規模の市場に波及し、公共投資分の貯蓄、もしくは付加価値が形成されるというものである。
(簡単に言うと、100億の公共投資は、実体市場を乗数倍の規模で発展させ、貯蓄を100億増やすという理論)
なるほど日本の高度成長期は物の見事にその成果が現れた。
しかし市場が縮小循環にあるデフレ下では、そのような乗数効果は全く見られない。それどころか莫大な借金が残ってしまった。
その根本原因は、デフレ下では貯蓄よりも借金の方が大きく、その返済のために経済が縮小循環になっているためである。
貯蓄より借金が大きいから、限界貯蓄性向などというものが成り立たない。逆にどの程度の借金返済率があるかにより、逆乗数が存在している。
例えば、デフレ下で、インフラ整備のための莫大な公共投資が行われると、その関連企業の生産が波及的に増加する。しかしデフレ下の多くの企業は、借金過多のため、赤字を余儀無くされる。
すなわち借金による100億の公共投資は、逆乗数倍の規模で生産を刺激するが、100億の借金を作ることになる。
投資したインフラだけができあがるが、企業に貯蓄が生まれず、借金が倍に増くれあがり、デフレがどんどん進行する。
バブル崩壊後、莫大な借金による公共投資を繰り返してきた。その都度、一時的な、自律しない成長を繰り返し、人々は実質GDPが伸びたことに束の間安堵したものだ。
しかしその都度、借金を加速度的に増加させた。そして日本の産業基盤をより速く疲弊させ、産業の崩壊を早めたのだ。
私達は、インフレ下で是であった公共投資を、デフレ下で行うことの愚を知り、これ以上の景気対策という名の公共投資を止める又は止めさせる必要がある。
アベノミクスが始まって、既に2年以上が経つが、ここにきて再び経済の停滞が明らかになってきている。
今期の456月期、789月期のgdpの成長率の鈍化が明らかになると
、政府はまた再び同じような公共投資を気が狂ったように仕掛けるであろう。しかしそれは一時的な痛み止めに過ぎず、事態はさらに悪化するのである。
デフレ下では、公共投資神話は本当に神話であり、
公共投資に頼る景気対策を即刻止めさせなければならない。
東北復興や、2度目の東京オリンピック、リニア、などの公共投資型の景気対策はデフレ下では無意味である。
東北に立派な防潮堤や東京にすばらしいオリンピック施設、日本の中央にリニア幹線ができるだろう。
しかしその他の地域は見る見る疲弊し、漠漠たる光景となろう。
日本は公共投資によって滅びようとしている。阿部政権のオリンピックに掛ける意気込みが、日本をノックアウトするのである。
これ以上の安易な景気対策として無意味な公共投資をしてはいけない。社会資本として意味の有るものだけに絞り、消費を増大させる方向への投資に振り替える必要が有る。
一言主
参照
http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/
http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi/
(現在日本の病巣の一つは、あまりに多く公共投資をしたため、公共投資で潤う企業が既に莫大な借金を返し終え、内部留保が増え続けていることだ。(例ゼネコン)そして莫大な公共投資の借金が消費税を引き上げさせ、肝心の消費がどんどん減少していることである。)
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