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減少が始まった中国の原油輸入 解消されない原油市場の過剰供給(JBpress)
http://www.asyura2.com/15/hasan97/msg/804.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 6 月 19 日 00:55:15: igsppGRN/E9PQ
 

中国では一大金融街に成長することを期待して開発された地域がいまやゴーストタウンと化している。天津の響螺湾地区の人けのない街路(2015年5月14日撮影)。(c)AFP/GREG BAKER〔AFPBB News〕


減少が始まった中国の原油輸入 解消されない原油市場の過剰供給
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44058
2015.06.19 藤 和彦 JBpress


「今の戦略は機能している。市場が均衡を取り戻すには時間がかかる」

 6月5日のOPEC総会後の、サウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相によるお決まりの発言である。

  2014年11月、OPECは米国のシェール業界などのライバルからシェアを死守するため、市場が供給過剰に陥っていた中での「減産見送り」という戦略を採用した。

 サウジアラビアが「OPECの戦略が機能している」と見なすのは、原油価格の下落により需要が目を見張るほど伸びて、市場の過剰供給の解消につながるとの期待からだ。IEA(国際エネルギー機関)も6月11日「原油安を背景に今年の原油需要は急増する」との見通しを示した。

 だが、果たしてそのとおりになるだろうか。

■原油生産の手を緩めないOPEC主要国

 現在の原油市場は、昨年11月よりも、OPECが好ましいと考えている原油価格のレンジ(1バレル=60〜70ドルか)を逸脱させかねない要因が増加している。

 目下の不確定要素として挙げられるのは、(1)イランの原油市場への復帰、(2)中国の需要の伸び、(3)米石油業界の動向等である。

 今月のOPEC総会では、現行の原油生産目標(日量3000万バレル)を据え置くことが全会一致で決定されたとされている。「原油相場が下落しても、国際的な制裁措置の終了から6カ月以内に原油輸出を倍増する」とのイランの主張は、他の加盟国から黙殺されたようである。

 6日午後、OPECの会合から戻る中でイラン石油相は「6月8日の週にイラン産原油の輸出の第1弾がロシアに到着する」と語った。イランは2014年4月にロシアとの間で原油と食料のバーター取引に合意していた。ロシア側は昨年からイランへ穀物を輸出しており(130万トン)、イラン側もこれに応える形で原油輸出を開始した格好である。イラン石油相は「カザフスタン、ベラルーシも今後イラン産原油の輸入を行うだろう」と期待を表明している(5月の原油生産量はUAEを抜き第3位の産油国となった)。

 OPEC主要国(サウジアラビア・イラク・UAE)の5月の原油生産も過去最高となっており、OPECとの思惑とは裏腹に、需要の伸びを上回る生産の伸びが今年3月からの相場上昇を抑える可能性が高まっている。

■「大きな下方圧力」にさらされている中国経済

 次に中国の原油需要であるが、5月の原油輸入量は1日当たりの原油輸入量が550万バレルとなり、前年比11%減となった(4月の輸入量は日量740万バレル)。

 大規模な製油所が定期修理に入り原油の処理量が伸び悩んだことに加え、原油安の局面で積み上げた戦略備蓄の需要が一服したことが要因とされる。中国の原油輸入は、今後さらに鈍化するとの見方も浮上している。

 5月の輸入が前年比18%減の1313億ドルで7カ月連続の前年割れとなり、今年に入って毎月10%以上の大幅減を記録するなど、中国経済の減速ぶりが鮮明になっている。

 投資の伸びが鈍化する中国経済にとって数少ない好材料は株高である。中国株式市場の時価総額は直近1年間で3倍となり、中国の名目GDPとほぼ同じ規模の約10兆ドルに達した。平均的な予想株価収益率(PER)も84倍となり、2007年時点に比べて2倍も割高な水準である。

 しかし、この状況は金融緩和に依存するバブルであるとの懸念も高まりつつある。景気てこ入れのために人民銀行が2014年11月以降預金準備率の引き下げ、追加利下げと矢継ぎ早に金融緩和を行ったことから、これに反応した投機マネーが暴走し、中国株の値動きが制御できなくなっているように見える。投機マネーは不動産バブルが弾けて、理財商品にシフトし、さらに株式市場へと移動し、不動産や理財商品の損失が株価上昇のキャピタルゲインで帳尻合わせをしているのだろうか。

 2007年の中国株の上昇の時はホットマネーの暗躍が騒がれたが、最近ではそのホットマネーが中国から流出している。外貨準備減少と資本・金融収支赤字増加の合計を資本流出と定義すれば2014年下半期の中国からの資金流出額は約2500億ドル規模であり、欧米による制裁強化を背景にロシアから流出した約1000億ドルを上回っている。

 中国の資本流出懸念が一時的な杞憂に終わったとしても、中国の負債額の膨張ぶりは深刻である。中国の負債額のGDP比率は2008年の150%から2014年には282%と急上昇し、米国の269%を上回るなど新興国の資金需要の大きさを考慮しても異常である。負債額の膨張を招いた主要なセクターは地方財政であるが、企業部門でも社債発行のベースが5年間で約5倍となるなど債務の急増が顕著となっている。

 李克強首相は6月11日、「国内経済は比較的大きな下方圧力にさらされている」との見方を表明したが、株価が暴落した際に中国政府に有効な景気回復カードはあるのだろうか。中国政府はリーマンショック後の2008年11月に4兆元の経済政策を打ち出して景気支援を行ったが、その弊害は大きく、今後同じような政策を繰り返すとは考えにくい。

 リーマンショックの時の世界のGDPに占める中国の割合は7.2%だったが、現在は15%と2倍以上になっており、世界経済の需要を抑制する効果は甚大である。

■中国に「情報戦」を仕掛ける米国

 さらに気になるのは米国との関係が急に冷え込んだことである。

 6月8日の主要7カ国首脳会議(G7サミット)は、東シナ海や南シナ海で緊張が高まっている現状に懸念を表明する宣言を採択した。数カ月前には想像もできなかったことだが、「米中軍事衝突」を懸念する声まで聞こえるようになった。

 米国側の表向きの理由は「中国が南シナ海で大規模な埋め立てを行っている」ことだが、この問題は以前から存在していた。中国が本格的に埋め立てを開始したのは2013年であり、2014年5月のASEAN首脳会議でフィリピン政府はこの問題を提起し中国に抗議している。それにもかかわらず、米国はこの問題を最近まで放置していた。

 中国で汚職撲滅運動を先導している王岐山 共産党中央規律検査委員会書記(共産党内の序列6位)を巡るスキャンダルも米国内で発生している。

 米国の証券取引委員会(SEC)は、中国国有企業の米証券市場への上場などを巡って便宜を図ってもらうため、一部の金融機関が中国の高官の子弟を雇った疑いがあるとの調査を2013年頃から行っていた。その調査の過程で、先月末に王岐山の名前が飛び出したのだ。

 5月28日付ウォールストリート・ジャーナルによれば「金融大手のJPモルガンに対し、王書記を含む中国の高官35人との会話記録などを提出するようSECは命じた」という。王岐山は2009年夏に開催が始まった「米中戦略・経済対話」において当時の米ガイトナー財務長官とともに経済部門の取りまとめを担うなど米国経済界との間で太いパイプを有するとされてきた。

 米国が急に中国の動きを大々的に非難し始めたのは、アジアインフラ投資銀行(AIIB)ではないかと筆者は考えている。

 3月12日、最も緊密な同盟国であるはずの英国が米国の制止を振り切りAIIBへの参加を決めたことを皮切りに、その後、ドイツ・フランス・豪州・韓国・イスラエルなどが続々に参加を表明し、米国に衝撃を与えた。

 クリントン政権後半期の財務長官であり2009年にオバマ政権の国家経済会議議長を歴任したサマーズ氏がは、4月5日にブルームバーグに寄稿したコラムの中で、「AIIBへの支持が従来からの米国の同盟国を含めて広がっていることから、米国は『世界の経済システムにおける引受人』として役割を失いつつある」との見方を示している。「米国の支配力衰退と中国の影響力拡大」という事態を見過ごせば、米国の覇権は危うくなる。

 これまで中国に対して融和的であった財務省や経済界に替わり、国防総省など強硬派の発言権が高まったとしても、中国と一戦を交えるのは得策ではない。そこで、その代替手段として、今後「中国経済の崩壊は近い」という情報戦を展開して中国経済にダメージを与え、AIIBを機能不全に陥れようとするのではないだろうか。

 中国は経済力や軍事力で世界1位の米国を猛追しているが、経済分野の「情報戦」では米国に歯が立たない。しかも「中国経済崩壊論」は単なる噂ではなく、経済成長率は年々下がり、賃金水準の上昇等により外国企業の転出が増加しつつある状況下でにわかに現実味を帯びてきている。米国が持ち前の「プロパガンダ」を駆使すれば、中国の経済的栄華の崩壊の「最後の一押し」になり、「予言の自己成就」が起きる可能性がある。

■米国で数百基のリグが再稼働?

 米国の石油生産量は昨年39年ぶりに世界一となった(6月10日付けBP統計)。その一方で、国内市場の需給バランスを調整していた一握りの石油メジャーは、約100社に上るシェール企業群の台頭により、かつてのような影響力を急速に失いつつある。

 米国の稼動リグ数は昨年11月以降半分以下(5月29日時点の稼動リグ数は646基)となったため、徐々に底打ち感が出てきている。原油価格急落局面を何とか乗り切ってきたシェール業界は、「稼動リグを大幅に減らした現在の慎重な業務運営を続けるべきか」、それとも「市況がやや回復した機会に乗じて掘削拡大を開始するのか」という深刻なジレンマに直面している。

 シェールガス業界も2009年に同様の状況にあったが、市場が底を打った後、9カ月の間にシェールガスの生産が50%も拡大したため、天然ガス価格は再び低迷してしまった。

 米エネルギー省は6月10日、「シェール企業が未完成の油井を稼動させ生産を増加させることから、米国の今年の原油生産は43年ぶりの高水準になる」との見通しを示した。個々のシェール企業の動きは小さくても全体では一気に数百基のリグが再び稼働する事態が起こりうるため、原油価格の今後の動向は依然不透明である。

■世界の債券市場崩壊の危険性も

 金融市場に目を転じると、リーマンショック後の世界各国の金融緩和政策により急拡大した世界の債券市場だが、金融システムのリスクを低下させるために導入された規制が金融機関の「値付け」機能を低下させているため、市場の流動性が低下し、突然大きな値動きとなりやすい状態が続いている。

国債をはじめとする世界的な債券相場の急落が生じている中で、原油価格の回復等を理由にジャンク債市場は「避難所」の役割を演じてきた。だが、第2四半期の世界の債券市場の下落が過去最悪になるとの見方が出てくるにつれ、ジャンク債市場も最近の「総崩れ」の流れに呑まれてしまったようだ(6月10日付ブルームバーグ)。

金融関係者の間には「米国の社債市場は2008年以降で倍増したが、その8割を投資信託が購入している。金利上昇に伴い投資家が突然解約に一斉に動いた場合、何が起きるか心配だ。金融危機が7年ごとに発生する傾向にあるとすれば、次の危機発生の可能性を心配し始めてもよい頃だ。(6月5日付ブルームバーグ)」との声も出始めている。「債券市場は緩慢な崩壊過程にある」(バンクオブアメリカ・メリルリンチ)のかもしれない。

 このような神経質な状況が続く中にあって、原油価格の下降トレンドが再び明らかになれば、「中国経済の崩壊」とあいまって世界の債券市場崩壊の「最後の一押し」になってしまうのではないだろうか。


 

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コメント
 
1. 2015年6月19日 09:29:22 : snAc501eHi
なぜ原油は40ドル以下にならないのでしょうか?

不思議ですね。
供給は急増大、需要は減少しているのにですよ。

管理統制経済なんでしょうね。


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