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<東洋エンジニアリング>11期ぶりの最終赤字に転落 受注目標「5000億円」の呪縛(週刊ダイヤモンド)
http://www.asyura2.com/15/hasan97/msg/802.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 6 月 19 日 00:24:30: igsppGRN/E9PQ
 

【東洋エンジニアリング】11期ぶりの最終赤字に転落 受注目標「5000億円」の呪縛
http://diamond.jp/articles/-/72872
2015年6月19日 週刊ダイヤモンド編集部


プラント大手の東洋エンジニアリングが迷走している。採算度外視の受注獲得があだとなり、前期決算では11期ぶりの最終赤字に転落。拡大路線に赤信号がともっている。(「週刊ダイヤモンド」編集部 千本木啓文)


「年間5000億円の受注を目指してきた。だが、十分なキーパーソンを確保できなかった」──。


 5月14日、2015年3月期決算説明会の席で、中尾清・東洋エンジニアリング社長は苦渋の表情を浮かべた。中尾社長は、業績悪化の責任を取って辞任した石橋克基前社長に代わり、4月1日に登板したばかり。東洋エンジは、15年3月期だけで3度にわたる業績下方修正を実施、経営の迷走が続いている。


 迷走の元凶は、行き過ぎた拡大路線にある。近年、海外プロジェクトを薄利で受注してきた。現中期経営計画(12年4月〜16年3月)の策定時に、「(年間受注額)50億ドルの会社を目指す」と、拡大路線を高らかに宣言。12年3月期に2800億円だった受注額を1.6倍にする方針を打ち出した。


 当時の経営陣の言葉通り、受注額目標の達成率は13年3月期93.7%、14年3月期98.7%と高水準を維持し、15年3月期に至っては114.7%と目標値を超えた。一見して、業績が順調に推移したかのようだ。


 しかし、実情は全く異なる。受注額目標の達成率が高まる一方で、営業利益目標のそれは反比例するように下がり、15年3月期には▲40.6%となった。最終的には赤字を生むという本末転倒の結果を招いてしまったのだ。



 かねて、社内でも「無理に受注を増やして、誰がプロジェクトを管理するのか」という悲鳴が上がっていたが、「欧米から仕事をもらうには、企業としての規模感が必須」(東洋エンジ幹部)として、経営陣は拡大路線を歩み続けた。


 こうした放漫な企業体質を象徴するプロジェクトがある。11年に500億円で受注した、インドネシアの国営肥料会社、カルティムの肥料プラント建設がそれだ。


 この案件では入札段階から、「二番札に1億ドルもの差をつけて、一番札を入れる」(業界関係者)という見積もりの甘さを露呈。その後も工事の不備が相次ぎ、合計100億円の損失を出した。


 プロジェクト失敗の原因は、現地子会社の実力を過信した、本社のマネジメント力の欠如にある。


 同肥料プラント建設の実行部隊だったインドネシアのエンジニアリング会社、イーカーペーテー(IKPT)は、入札後に子会社化されたが、後になって、入札時の経費の見積もり漏れが発覚している。


 さらに、プロジェクト遂行の役割分担を、「同じ企業グループならば同水準の仕事ができるはず、という理想に基づいて決めた」(東洋エンジ関係者)ため、工事の遅延を招いた。基礎設計を韓国の子会社が、詳細設計をIKPTが担ったことが、不具合の責任の押し付け合いにまで発展してしまった。


「海外の現地オペレーションが拡散し、本社が統率することができなくなっていた」(中尾社長)のだ。


■受注額目標の引き下げも疑問が残る再建策


 そもそも、なぜ東洋エンジは、拡大路線をまい進したのか。


 その背景には、熾烈な国際競争がある。東洋エンジが得意とする化学肥料や石油化学プラントの建設案件では、韓国・中国企業と競合し、薄利の消耗戦が繰り広げられているのだ。


 だからこそ、東洋エンジは徹底的にプロジェクトの現地化を進め、人件費を抑制してきた。いまや6000人のグループ社員のうち、4500人は海外要員だ。だが、そうした人件費抑制策をもってしても、採算性は改善していない。


 それどころか、現地化の手法の失敗で、本社のマネジメント力の欠如が露呈してしまった。


 業績低迷には、ブラジルの国営石油会社、ペトロブラスの贈収賄事件という“特殊要因”が影響していることも事実だ。だが、その根底には、本社が、ブラジルの孫会社が抱えるリスクを読み切れなかったという、インドネシアと共通した課題がある。


 中尾社長ら新経営陣は再建策を打ち出し、中期経営計画を事実上、見直した。向こう3年間は受注額を年間3300億〜3500億円に抑え、高収益な大規模案件を狙って、300億円前後の売上総利益を目指す。


 この他、インドネシアやブラジルの大規模プロジェクトを立て直すための日本人の派遣や、応札時からプロジェクト遂行までの事業評価の精度向上にも取り組む。


 もっとも、受注額目標を5000億円規模から引き下げたとはいえ、実は、直近3カ年の平均受注額と比べれば同水準。規模拡大路線の旗を降ろしたとはいえない。


 しかも、6590億円という過去最高の受注残を抱え、人的リソースは逼迫している。


 日揮や千代田化工建設のように、利益率が高く、日本人を現地へ大量投入できる「LNG(液化天然ガス)プラント」事業へシフトすることも難しい。


 リスク管理の強化に掛かるコストを補って余りある高収益案件は限られており、経営再建策には疑問が残る。


 

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