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東京海上日動火災保険本店(「Wikipedia」より)
“強すぎる”東京海上、損保他社を圧倒
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150618-00010007-bjournal-bus_all
Business Journal 6月18日(木)6時2分配信
東京海上ホールディングス(HD)が米国保険会社のHCCインシュアランス・ホールディングスを約75億ドル(約9413億円)で買収する。国内保険会社の企業買収としては過去最高額になる。1兆円近い巨額投資が注目を集める一方で、買収の背景には「業界の雄」の堅実経営が透けて見える。
「毎月買収候補をリストアップしているが、有力候補先としてモニターしていた。数カ月前から交渉していた」――東京海上HDの永野毅社長は、買収発表会見の席上でうれしさを隠さなかった。約1兆円の巨額買収と聞けば、業界に地殻変動を起こすような華々しい再編劇を想像する。新聞報道などでは「海外事業強化の足掛かり」との解説も散見されるが、HCCは収益性は高いものの地味な企業だ。
HCCは医療・傷害保険や会社役員賠償責任保険、農業保険など「ニッチ」な専門性の高い保険を手がける。売上高に相当する収入保険料は約30億ドルで、純利益は4億6000万ドル。買収により、東京海上HDの収入保険料は単純合算値で3兆5400億円(2015年度見通し)から3兆8900億円に拡大する。とはいえ、業界地図を塗り替えるようなディールではない。では目的はなんだろうか。
永野社長は、以前から経営戦略における「リスク分散」という言葉を繰り返し強調してきた。今回の買収も、この考え方が根底にある。損害保険会社は台風などの災害の頻度や規模で、年度の収益が大きく左右される。そのため、地域や保険種目を分散させることで、業績の浮き沈みを小さくすることに東京海上HDは重きを置いてきた。
少子高齢化が進む上に異常災害も頻発する日本国内のリスクを抑えるため、海外展開を加速。08年3月に英キルン、08年12月に米フィラデルフィア・コンソリデイティッド、12年5月に米デルファイ・ファイナンシャル・グループを買収。さらにHCCをグループ化することで、利益に占める海外保険事業の割合は38%から46%にまで高まる。
HCCは地域分散に加え、専門性が高い保険を多く手がけるため、保険種目の分散にもなる。永野社長も「HCCは専門性が強い約100種の事業体を手がけていて、事業の分散効果が高い。これまで以上に、事業ポートフォリオの分散が可能になる」と語る。
●自社の経営戦略への自信
しかし、気がかりなのは、1兆円に見合う買収なのかどうかという点だ。HCCの時価総額は約55億ドル。米国の株価上昇や、為替が円安であることを踏まえても、割高感を指摘する声は少なくない。
保険業界に詳しいアナリストは「株高の環境では、ある程度の価格を出さないと相手が見つからないのは事実。足元の株価に37%のプレミアムを乗せるのは許容範囲内だろう」と語る。
買収資金は手元資金を中心に一部、融資などで外部調達し、新株発行などエクイティファイナンスは予定しない。同アナリストは「東京海上の堅実さと余裕を感じさせるディール。好業績に浮かれたわけでなく従来通りの買収路線である上に、財務的に大きな負担がかかる策でもない」と指摘する。
東京海上HDは国内損保事業単体の規模では昨年、損保ジャパン日本興亜(SOMPOホールディングス)に抜かれ、長年堅持してきた首位の座を明け渡した。ただ、それでもなおグループ全体での収益や利益率では他の損保を寄せ付けない。
「生命保険業界では、日本生命保険が売り上げに当たる保険料等収入で、戦後初めて第一生命保険に逆転された。日生はこれまで消極的だった海外M&A情報を貪るように集めており、なりふり構わず再逆転を目指している。ストックビジネスの生保では契約件数や資産規模が重要で、それらは依然として他生保を圧倒しているが、泰然自若さが消えている」(前出のアナリスト)
対照的に東京海上HDはMS&ADホールディングスやSOMPOホールディングスに猛追されているが、自社の経営戦略に自信があるからか、余裕たっぷりな印象。社内では当然、国内損保事業の首位奪取への大号令がかかっているものの、表向きは涼しい顔をしているのは「ガリバー」の自負があるからだろう。今回の巨額買収では、貫いてきた経営戦略の基盤強化と同時に、「業界の雄」としての自信を深めたのは間違いなさそうだ。
(文=黒羽米雄/金融ジャーナリスト)
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