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日米両横綱がたまらず牽制、ドル高はどこまで進む?“レームダック”状態のオバマ政権が譲れないこと
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44044
2015.6.18 鷲尾 香一 JBpress
5月21日に「ドル高で悲鳴を上げ始めた米国経済」(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43798)を掲載した。この時点では1ドル=121円程度の水準だったが、記事掲載後もトレンドに変化はなく、6月5日には125円後半まで円安・ドル高が進んだ。
■円安・ドル高を牽制する発言が相次ぐ
ただ、6月に入ると円安・ドル高を牽制するような発言が相次いだ。
6月1日には、元財務官で、いわゆる「通貨マフィア」の異名をとった榊原英資・青山学院大学教授が次のように発言した。
「(ドル・円の水準)が130円程度の円高になれば、米国も気にしてくる。日本にとっても望ましくない『悪い円高』になり、日本経済にネガティブな要因にもなりかねない。(米国は)過度のドル高は望まない。これ以上は望ましくないという水準がどこかにあるはずだ。(ドル・円の水準が130円を超えてきた場合)協調介入はしないまでも、協調した行動が可能となる。口先介入はできる。米国と協調して口先介入すると結構効くかもしれない」
6月4日には原田泰・日銀審議員が、「いろんな産業が競争力を取り戻しているところを見ると、過度の円高修正はかなりいいところまできたのかもしれない」「米国が実際に利上げをしても、必ずしもさらに円安になることはないのではないか」と述べている。
原田委員は、元早稲田大学教授で3月に委員に就任したばかりだが、岩田規久男・日銀副総裁とともに、“バリバリのリフレ派”と見られている。リフレ政策の中心の1つでもある円安政策に原田委員がこのような発言をしたのには、ある種の意外性があった。
そして、8日、ブルムバーグが仏政府当局者の発言として、先進7カ国首脳会議(G7サミット)でオバマ米大統領が「ドル高は問題と発言した」と報道した。米政府報道官がすぐにこれを否定したが、市場では心理的なフシ目でもある1ドル=125円水準のドル高に対する牽制と受け止める向きも多かった。
為替水準に関連した発言はこれで終わりではなかった。10日には元財務官の渡辺博史・国際協力銀行総裁が「足元の(為替)水準は米国の金融政策の変更を織り込んでおり、130円台まではいかない。(米国が利上げを行った場合でも)1〜2円程度の円安でとどまる」と発言。
極め付けは、黒田東彦・日銀総裁の10日午後の衆議院財務金融委員会での「実質実効為替レートでは、かなりの円安水準になっている。実質実効為替レートが円安に振れるということはなかなかありそうにない」という発言だった。
「実質実効為替レートでは」と断りを入れた上での発言であり、名目為替レートに言及したわけでなく、物価と為替水準に着目した政策当局らしい意図を持った発言だったのだが、日銀総裁が為替水準に言及すること自体が極めて異例である。市場は円安・ドル高牽制と受け止め、124円台半ばだった為替レートは122円台半ばまで急落した。
■黒田総裁が為替水準に対して積極的に発言、その意図は?
さすがにこれだけ円安・ドル高牽制と受け止められる発言が相次ぎ、異例中の異例とも言えるオバマ米大統領と黒田日銀総裁という“両横綱揃い踏み”の発言報道は、「1ドル=125円という為替水準を牽制している」と市場が受け止める状況証拠としては十分だった。
そして、元通貨マフィアの榊原・青山学院大教授の「協調介入はしないまでも、協調した行動が可能となる。口先介入はできる。米国と協調して口先介入すると結構効くかもしれない」との発言が思い出される。
金融政策の正常化、低金利政策からの脱却のための利上げを控えた米国にとって、金利上昇は、例えば日米の金利差によるドル買いから一段の円安・ドル高要因になり、米金利上昇下でもドル高を抑制することが大きな課題となってくる。
実は黒田総裁は10日午前の衆議院財務金融委員会で「米利上げが市場にほぼ織り込まれているとすれば、それ以上のサプライズがなければ、これ以上のドル高になる必要もないように思われる」と答弁している。
これは、明らかに米国は利上げに向かい、日本は低金利を継続するという金融政策の方向性違いにより、円安・ドル高が進むことを意識した発言だろう。
元財務官の黒田総裁なら、口先介入が一時的な効果しかなく、円安・ドル高というトレンドを変えることはできないと熟知しているはずだ。それでも、1ドル=125円水準で為替水準に対し積極的に発言しているという事実は意味を持つ。
もはや、大統領任期中は“レームダック(死に体)”状態と揶揄されるオバマ大統領だが、伝統的に保護貿易主義の民主党出身であり、大統領就任時の公約が「輸出倍増計画」だったことを思い起こせば、そこに透けて見えてくるものがある。
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